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格好悪くても、不器用でもここで生きていく。「LIVE DESIGN School」の一年間を記録してみた。
どうも皆さん、はじめましての方ははじめまして。
そうでないかたは、こんにちは!
山本尽日です。
2023年に始まった、ローカルにおける広義のデザインを学ぶ学校「LIVE DESIGN School(通称LDS)」。
まだまだ生まれたばかりで、謎が多い本スクールですが、1年間参加した僕なりの記録をつらつらと書いてみようと思います。お付き合いいただければ。
そして最初に!初年度は270名が参加、2024年も100名〜が参加するのではないかというLDS、ENTRY〆切が4月29日(今日だよ!)です。本記事で少しでも興味を持った方は上記HPからすぐにENTRYしてみてください。
LIVE DESIGN Schoolって一体なんなんだい?
地域とデザインの学校 LIVE DESIGN School。各地に根づいて活動する日本のトップランナーのデザイナーたち、そして各地で多様に生きる参加者同士が1年間どっぷり関わり合いながら、学び、ともに考え、実践していく生態系(スクール)です。
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※LIVE DESIGN Schoolに参画するデザイナー陣は、あくまで参加者を先導・伴走する存在として、講師ではなく「リードデザイナー」と呼んでいます。
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この通称「おもデザ」本の編著者 / 著者 / 編集者たちが全国キャラバンへ繰り出し、24か所を訪問した後、皆でLIVE DESIGN Schoolを立ち上げました。スクールに参画するデザイナーたちの活動や思いについては、ぜひとも事前にこの本をお読みいただけるとうれしいです。
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なんとなく伝わりましたでしょうか。もっと知りたい方は以下PRTIMESに詳しく書いてありますので覗いてみてください。
参加した際の実際の雰囲気って?
こちらになんとなく参加の雰囲気を掴める映像をご用意しました。
1分もないのでちょっと歯でも磨くついでに、みてくれると嬉しいです。
※すべて実際に行われたFW(フールドワーク / 現地に入り学ぶ活動)の映像です。
いわゆるデザイナーになるためのスキル(Illustrator / Photoshopなど)を学ぶのではなく、近代におけるデザインっていったいなんなんだろう?ということを仲間とともに1年間本気で考え、体験して、学ぶそんなイメージかと思います。
尽日がLDSに参加したきっかけ
さぁそろそろ本題に。
2020年に友人とリモートで立ち上げた「有限責任事業組合まちの人事企画室」。
コロナ禍の真っ只中、東京から公共交通機関で最も遠いと言われる京丹後でその活動は始まりました。私は東京、メンバーは京丹後。実際に全員で初めて顔を合わせたのは1年後の2021年でした。
最初の活動は「その人自身でいられること、主体的であること」をテーマに、高校生と地域の人達の居場所「京丹後市未来チャレンジ交流センターroots」の運営。
地域と東京でやっていくことに「できるのかな…」「そもそもやったことないしな…」「僕たちが高校生に教えられることなんてあるのかな…」とたくさん不安を覚えたことを今でも思い出します。
その後、紆余曲折。メンバーたちの大活躍により2022年に京丹後市さんと共に、グッドデザイン賞を受賞させていただきました。
同じタイミングで、リードデザイナーの坂本大祐さんが手がけるまほうのだがしや チロル堂も大賞を受賞されました。授賞式の映像を撮影してインスタに投稿した際、メッセージをいただき、そこから坂本さんのSNSを見るようになって、LDSの開校を知りました。
チロル堂さんの活動からも刺激を受け、「何かわからないけれど、確実に自分には何かが足りていない」と迷って悩んでいたのですが、迷って悩んでいる時にこそ、動かなければ何も変わらない。とりあえずやってみよう。と気が付けばLDSに飛び込んでいました。
2023年4月30日 開校
そして色々忙しすぎて何も追いついていない日々を過ごし、開校式が行われるアクシス ギャラリーに向かいました。(もちろん1人です。)
会場に入ると人がいっぱいる…不安しかない…原研哉さんが喋っている…!
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まぁでも折角来たのだから、とりあえず会話しよう。
話はそれからだ。の、持ち前のマインド + 運営局の出雲路本制作所の素晴らしい采配で、いろいろな方とお話することができ、なぜか初対面の中井きいこさんに二次会隊長に任命され、全く知らない面々20名くらいを連れて居酒屋で話すというのが、私のLDS生活のはじまりでした。
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2ヶ月間のオンラインレクチャー生活
開校式を皮切りに、大体隔週木曜日の20:00-頃から、2時間程度のレクチャーを受ける生活が始まりました。見てもいいし見なくてもいい。自由。
思い返してみても、全然リアルタイムで参加していなかった。(忙しかった)でもアーカイブもあるからそれをちょろちょろ見たりみなかったり、メンバーとSlackでやり取りしたり。
オンラインレクチャーは「へぇーー!!」くらいの感度で見ていた記憶だったのですが、地域=京丹後でしか活動していなかった私にとっては、他地域の話はとても刺激的で「現地に行きたい…!」という気持ちがどんどん湧き上がってきました。
一部レクチャー内容抜粋
*5/11 Basic Lecture 01|坂本 大祐
・5/25 オンライン雑談会
*6/8 Basic Lecture 02|迫 一成
・6/15 番外編 | 自治体職員とデザイナーのアイデアトーク
・6/16 番外編 | 10代20代に根掘り葉掘り聞く会
■ 6/22 Design Talk 01|お金について
・7/5 番外編03|外から人が集まる井波。何が成功して、何が壁になったのか
*7/13 Basic Lecture 03|新山 直広
最大の転機、フィールドワークへの参加
LDSの特徴として「フィールドワーク」というものがあります。
これはリードデザイナーの活動拠点に大体2泊3日で訪問して、関わった仕事やプロジェクトを見たり、その土地の伝統や文化に触れたり、そこに暮らす方々の話を聞いたり。地域からの信頼がある皆さんだからこそ、一見では聞けないようなお話や訪問先に一緒に伺わせていただくことができる素敵プログラムです。
初回は7/15。新山さんが活動されている、越前鯖江。
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名前は聞いたことがあるけど行ったことがない。メガネが有名?そんなレベルの知識で伺わせていただいたのですが、これが本当にすごかった。
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到底オンラインで資料や映像を見ただけでは理解できない、地域とデザインの解像度があがっていく。体験でしか得られない知識がそこにはありました。
フィールドワークへどっぷりはまっていく。
そんな体験をしたものだからさぁ大変。
完全にFWにハマってしまい、FWジャンキーになった尽日は、
①知る:オンラインレクチャーを受ける
②深める:フィールドワークに参加する
のスパイラルから逃れられなくなっていきます。
2回目は8/24。小林さんの活動されている、島根県の温泉津。
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初回と打って変わって「デザイナーが重機をぶん回す」というありえない体験から始まりました。
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これもデザインなのか…!デザインの懐の深さを知ると共に、圧倒的なスケールの大きさから、今までの自分の視野の狭さに気づき、驚かされました。
その時自分が書いた、感想の一節を下記に記載いたします。
里山に入り、草刈りや杉の皮を敷く。など様々な経験をさせていただいた。山はとても大きく、猿も虫もたくさんいて、大雨も降る中みな足元泥だらけで作業した。今回は皆で電気柵を作った。ここだけ切り取ると「デザイナーがなんで?」と言われがちなので気をつけよう(理由:たのしいから!)身近なデバイスで情報を手軽に手に入れられるようになった今、自身の「体験」の質が非常に重要になっている。実際にその場に行き、目で見るだけでなく、五感で感じる。自然の中に入り一つ一つを愚直に、時に効率的に行為を積み重ねる。小林さんの言っていた「デザイナーは全員包丁を研げるように」。ものづくりの本質への一番の近道はそこにあると改めて実感した。全てはつながっていると言うことが、見えづらい世の中だからこそ、自分の目で見なければいけない。
この時、自分の中のデザインが、狭義のデザインから、広義のデザインに移ったことをはっきりと実感しました。これは「狭義のデザイン」だけだった自分の世界が「広義のデザイン→狭義のデザイン」に移ったということです。
また当時、デザイナーなのに紙のことを知らなさすぎる→印刷会社に入ろう→まだわからなさすぎる→紙を作ろう→畑で楮を育てよう→畑をまず作ろう。といった流れを実践していた、自分にとってすごくスムーズにインストールされたことを覚えています。
では③実践:アウトプットはどうする?
めちゃくちゃたのしい。なんだこれは。
これだけのインプットがある。FWをもっと広めたい。
現場に身体を入れ続けないと理解できないことは理解した。が、私だけじゃなくて、広くきっかけを伝えるにはどうすればいいんだろうか…。
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そんな時、趣味でFWの最中に上げまくっていた(豆粒になるまで)インスタのストーリーズの感想を、メンバーからたくさんいただいていた事を思い出しました。
「行きたかったけど行けなかった。ストーリーを見てたのしかった」
「すごく行きたくなった。絶対にあらためて行く」
そうか、
①知る:オンラインレクチャーを受ける
②深める:フィールドワークに参加する
の間に、
①-2:疑似体験する
があってもいいんだ。と言うことに気づきました。
そして、温泉津FWがおわってから、すぐに運営局(出雲路本制作所)の中井きいこさんに「すべてのFWに参加して映像を撮りたい。それをまとめるから良ければ2期の募集の時に使ってほしい。撮影も編集も全部やりたい。」と無理を伝えました。
快諾いただいたのですが、仕事になると香盤を作ったり、スケジュールを決めなければいけない。それは「ライブデザイン」の映像ではない。と言った直感を信じて、相談のうえ参加者のまま皆と同じようにFWに参加して、動画を撮ることに。
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実践 + 実践 + 実践
決まってからは早いモノで、全てのFWに参加して映像を収め続けました。
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各回のFWを紹介していると、とんでもない文量になるので、またどこかで書かせていただくとして、大体全部で10,000本〜位の撮影総数になりました。
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編集が楽しすぎて一生終わらない、20分でいいのに120分の映像になるという事態も乗り越え
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成果物は以下!
各リードデザイナー インタビュー 11本
PR用 ティザー映像 1分
FW映像 20分(寄港式用)
ギリギリ完成したー!!
Youtubeにあがっているので、宜しければ是非。
※ティザーのBGMは山形FW中にLDSのみんなで演奏したものに、運営局(出雲路本制作所)の田渕さんが現地で録音した音をリミックスしてくれました。みんなで作ったので、最後のクレジットにもぜひ注目いただけると。
1年間の総まとめ!4/14 寄港式へ!
LDS2024がますますおもしろくなりそうだからこそ、2023メンバーに「卒業」してほしくない!ということで、「卒業式」ではなく「寄港式」。ローカルという大海に出た小舟がこの日は港に集まり、また次の1年に向けて出航の準備をしていく。そんな日が日本デザインセンターにて開催されました。
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そうして私の1年間は終了しました。
撮影させていただいた皆さま、関わってくださった皆さま、
Mr.LIVE DESIGNと呼んでいただいた皆さま、本当にありがとうございました!
あとがき
私が1年間を通してLDSで学んだことはたくさんあります。
が、その中でもひとつ大切なことを学びました。
それは「自分の興味があることに素直に生きる」ということです。
気になることを泥だらけになってもやる。
その勇気があるかどうか。
誰に何を言われたって、続ける。
それはすぐ思えたのではなくて、
わからないことをわからないままにせず、
おもしろがってただやり続けたから。
考えてからやる、分かりきった答えに向けてやる。
ではなく、
迷っているからこそ、やりながら考える。
わからないことを、ごきげんに楽しむ。
という考え方もあるかもしれません。
LDSは心理的安全性が高くて気づきが多い場所です。
なにかに取り組みながら考え続けている人が多いので、自分だけじゃないんだと気づいて、お互いに刺激しあえる仲間が見つかるかもしれません。
デザイナだけじゃなく、なんとなくデザインで迷っている人はとりあえず初めてみるもいいんじゃないでしょうか。
約270名が参集し、新しいデザインの鼓動と手応えを交感したLive Design Schoolは、いま、第二期生を募集中です。締切は4月29日。僕は応援団を務めています。飛び込むなら、扉が閉まる前に。 https://t.co/HvBNlRbAUY
— 原研哉 (@haraken_tokyo) April 13, 2024
飛び込むなら、扉が閉まる前に。