Non-Player Character
突然だが自分は、RPGで言うと「そこそこ役に立つ、味方のNPC」なのではないか、と思う。主人公に旅の途中でアドバイスをしてくれる、プレイヤー(人)が操作しない、ゲームの中で勝手に動いている存在のことだ。
主人公が冒険を進めるとき、自分がその邪魔をする可能性は低そうだ。体力はそこまでではないが、知識はおそらくあるから、行き詰まった主人公にそれっぽいアドバイスはできる。それが本当に役立つかはわからないが、攻略のきっかけくらいは与えられるだろう。
敬語を使わないがちなので、礼儀正しいという感じではないが、悪い奴ではないと思う。基本的には悩みも聞くし、お節介なまでに相手の心配をして、ずっと考えていることも多い。
ジャグリングだってそうだ。チームを組むことも多いが、自分が100%の主役ということは少ない。技術面の問題から、大技の最も難しいパートを僕が引き受ける、ということは多いが、基本的にはマネジメントが優先だ。技術はそこまでではないが、クラブパスをやりたい、という人たちを育成して、できるだけ彼らが目立つような演技を作り上げる。それが使命だと思っている。
こういう生き方をすること自体に、特に躊躇いはない。自分は性格的にも、(演技力とか)技術的にも、本来はステージに立てる、主人公になれる立場ではない。むしろ、裏方として、彼らの輝ける場を作る方が楽しいし、そういった仕事の方が向いてると思う。
例外的に自ら表に立つのは、ステージの司会か、チームで演技することくらいだろうが、それも別に自らが主人公だとは思っていない。強いていうならプロデューサーだろうか。
ただ…それだと困るのは「人間関係」という分野のRPGである。このRPGにおいて、「自分」はどこにも存在しないのではないか、と思えてしまうのだ。
僕はそれなりに友達はいると思う。コミュニティも、思ったより減ることはなく、交友を保っている数も多い。しかし、その中で「親友」と呼べる人はどれくらいいるのだろうか。自分は親しいと思える人にはできるだけ自分のことを話しているし、相談にも真摯に答えているつもりだが、相手はどうなのだろうか。ひょっとしたら、単に「都合のいい・優しい友達(先輩・後輩)」のように思われているのではないか。
いや、それはそれで構わない。相手にとって、自分の存在がマイナスでないのなら、それは喜ばしいことだろう。
でも逆に言えば、「こいつは親しくなるほどではない」と思われてしまっている、ということでもある。
そんな相手に、自分は親しくなっていると思い込んで、変に自分の深い部分についての話をし続けてしまっていたら…もしかしたら、遠ざけられてしまうかもしれない。あるいは、「優しい人だと思っていたのに…それは引くわ…」と、近づいたがために嫌われてしまうのかもしれない。それはものすごく怖い。
それを避けるためには、不用意に近づかないことである。あくまで「優しい友達」まで。NPCであり続ければ、今まで通りの関係を続けていられる。話しかけられるまで、こちらは行動してはならない。
それでいい…でも…それはとてもしんどい。何より、ふとした時に襲ってくる孤独感や、「みんな僕と親友にはなりたくないんじゃないか」という不安感が、ココロを激しく削ってくる。今はそれが、とてもつらい。