ミツマタカギカニムシ
前回のつづき
今回はミツマタカギカニムシを紹介します。
ミツマタカギカニムシ $${Bisetocreagris japonica}$$
カニムシ目 コケカニムシ科
大きさは3~5mmくらい。
アカツノカニムシと同じ土壌性のカニムシです。
他のカニムシより体が大きく、観察、実験がしやすかったです。
だけど、歩くのが速くて、同定の時は保冷剤で冷やして動きを鈍らせてから、顕微鏡で撮影しました。
鋏顎の先端にある兜状体の中間部分が、3本のフォーク状の枝になっていて、枝端がさらに2歯に分かれているので、ミツマタカギカニムシであっているようです。
保冷剤をどけると、室温であっという間に元の速さに戻ります。
赤いハサミと、大きな体がかっこいい!
エサのトビムシを与えてみました。
死んだトビムシを待ち針の先につけて、カニムシの目の前で揺らすと、すぐ食いつきます。
餌付けにも成功しました。
うちで繁殖しているミルワーム(チャイロコメノゴミムシダマシの幼虫)の若齢幼虫もあげてみました。
※体長10~15mmくらいのサイズ
動画もあります。
動画の43秒くらいの所で、ミツマタカギカニムシがハサミでミルワームを突いています。
とても早くて、僕のデジカメの動画では、その瞬間をとらえることはできません。
スローモーションで確認すると、後脚の位置がほとんど変わらないので、体重移動だけでこのスピードを出していることが分かります。
この時、ハサミから毒を出しているようで、どの個体も同じように、ミルワームを突いて弱らせていました。
突いたあと、ミルワームを取り上げて観察すると
しばらくミルワームは脚が麻痺して、後退しかできなくなります。
※その後、ミルワームは復活します。
ただ、何度も攻撃を受けたミルワームは、毒で死んでしまいます。
こうして、自分より体の大きな獲物を倒しているようです。
※人間には害がないと言われています。
2分45秒でミルワームの反撃をうけているシーンが、すごかったので、ぜひ見てください。
これからも、いろいろ観察してみます。
同定に協力してくださった、森の学校キョロロの大平さん、ありがとうございました。
おしまい