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ヤママユ

2024年9月。
僕が通っている中学校の国語の先生に「ヤママユって捕まえられる?」と相談されました。

3学期の国語でヘルマン・ヘッセの「少年の日の思い出」という小説の授業があり、その話に「クジャクヤママユ」が出てきます。
ただし、クジャクヤママユは、中央ヨーロッパとかに生息する昆虫なので、簡単には手に入りません。代わりに同じヤママユガ科で日本に生息するヤママユを生徒に見せてあげたいという事でした。

ヤママユ $${Antheraea  yamamai}$$
チョウ目 ヤママユガ科

調べると、ヤママユは関東では、9月中旬から下旬にかけて採集できます。

僕は、埼玉昆虫談話会に所属しているので、そこが運営している加須市かぞし大越昆虫館おおごえこんちゅうかんに行ってヤママユの情報を聞くことにしました。

加須市大越昆虫館

小さな昆虫館ですが、毎月のイベントでは、昆虫採集や観察会、標本作成を行っていて、たくさんの親子が参加しています。

埼玉県のヤママユの大まかな生息地を聞いた後、色々なヤママユガ科の標本も見せてもらいました。

クスサン(標本)
シンジュサン(標本)

日本最大の蛾のヨナグニサン(外国産の標本)。
最近、ヘラクレスサンが世界最大に認定されてしまいました。

ヨナグニサン(標本)

そして、その翌週の9月23日の深夜。雨あがりの山に向かいます。

山道の街灯や道の駅など、蛾がたくさんいそうな場所を探します。
ただし、多くの昆虫は、最近の街灯に使われているLEDライトに興味がなく、なかなか大型の蛾を見つける事が出来ません。

街灯を見る僕

あ、いた!
触角がフサフサしているので、オスのヤママユです!

ヤママユ(オス)

しかし、急いで捕まえようとした時、ヤママユは飛び立ち、道路をバサバサ(※)と逃げていきました。
※すごく力強く羽ばたきます。

急いで、お父さんと一緒に追いかけて、捕まえるチャンスをうかがいました。

すると、突然。
空からトビが突っ込んできてヤママユをさらっていきました。
普通、夜間にトビは飛ばないと思うのですが、この場所は街灯がたくさんあり、とても明るく、蛾などの昆虫がたくさんいたので、夜も狩りをしていたようです。

残念。

気を取り直して、ヤママユ探しを続けます。
そして、1時間後。

ヤママユ(オス)

別の場所でもう一匹見つけ、採集する事ができました!!!

ヤママユガ科の成虫には口が無く。寿命は1~2週間程度です。
採集後、観察を続けましたが、数日で死んでしまいました。

下は、採集したヤママユの乾燥標本です。
初めて蝶・蛾の標本を作ったので難しかったです。

ヤママユ(オス・標本・上から)

開帳16cm。
すごく美しい生き物だと思いました。

ヤママユ(オス・標本・正面から)

ちなみに、ヤママユのはねには丸い目玉模様があり、中心が透明です。

ヤママユの翅の目玉模様

下から光を当てると、向こうが透けているのが良くわかります。

ヤママユの翅の目玉模様(下から光を当てた所)

今年のヤママユのシーズンは終わりましたが、近縁種のウスタビガは10月~11月だそうです。
夜に街灯で大きな蛾を見かけたら、怖がらずに観察してみてください。

おしまい

下の埼玉県昆虫談話会のページ内で、加須市大越昆虫館の開館日とイベント情報が見られます。


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