持久走大会、息子をご褒美で動機づけるのはよくなかった
「ご褒美」のデメリットを学んだ出来事がありました。
先週、息子が通う小学校で持久走記録大会がありました。
校庭内800mのコースを走り、そのタイムを記録するという行事です。
部活動とは異なり、授業の一環であるこの大会は、あくまでタイムの記録がメインで、順位を競うことが趣旨ではないといいます。
ですが、1位から最下位まで順位付けがなされ、かつ5位以内に入ると賞状も貰えるので、どうしても何位でゴールしたかが注目されがちなイベントになっています。
昨年、小学1年生で初めて臨んだこの大会で息子は4位でした。
体育の授業で持久走の練習が始まった11月初旬ごろ、夕食の席で、今年は何位が目標なのか息子にたずねてみると、
「うーん、とりあえず、まぁ、入賞できればいいかなぁ」
と、やる気があるとは言えない、のほほんとした反応。
すると夫が、
「去年は4位だったから、今年も4位以内に入ったら、鉄道博物館に連れて行ってあげる」
と言い出しました。
息子は小さい頃から鉄道が大好きで、大宮にある鉄道博物館は、息子にとってディズニーランドに相当するくらいテンションの上る場所です。
そう、この上なく分かりやすいご褒美作戦に出たのです。
その時は私も、どうせやるなら去年より高い順位を目指して頑張るのはいいことだと思っていたので、特に反対もしませんでした。
お腹周りのお肉が気になりはじめた夫の提案で、次の日から息子は平均週3日、親子でランニングをすることになりました。
鼻先に人参をぶらされたことで息子のやる気に火がつき、それによって体力がつくのであれば、一石二鳥です。
しかし、思わぬところでトラブルが。
練習の成果が少しずつ出てきて、いよいよ大会が翌週の月曜に迫った金曜日、 息子がお熱を出してしまったのです。
まさか、このタイミングで?
とは思いましたが、毎日の寒暖差が激しく、クラスの同級生も風邪でお休みしている子が多かったので、体調を崩しても仕方がない状況ではありました。
幸い、一日安静にしたことですぐに解熱しましたが、鼻水や咳はまだ残っている状態 。
大会前日の日曜日に、体調チェックの意味で家の周りを走った時も、 息が上がると咳が出て少しつらそうでした。
そして迎えた、本場。
私と夫は仕事で応援に行くことができなかったたけれど、息子は一生懸命に頑張ったそうです。
それでも結果は、5位。
病み上がりな中、かなり健闘した方だとは思いますが、目標としていた4位にはわずかに届きませんでした。
5位でゴールした瞬間、息子は涙が止まらなかったそうです。
鉄道博物館に行けないことが余程ショックだったようで、学童に迎えに行った時にも真っ先に、
「4位になれなかった。鉄博行けないわぁ」
と嘆いていました。
この時、私はご褒美で息子を動機づけたことを、後悔しました。
そちらの方に意識がいきすぎて、目標の達成に向けた努力やプロセスの大切さが、小さく感じられてしまっていたからです。
息子は、学校の体育の授業以外にも、夫と一緒になって練習したことや、体調が万全でない中でも一生懸命頑張ったことよりも、
「鉄道博物館に行けなくなった」
という事実に打ちひしがれ、800mを完走した達成感を味わうことができませんでした。
何らかのご褒美を設定することが有効な場面はあると思います。
でも、今回に関しては失敗でした。
目標を達成できなかった時に、息子がにどんな気持ちになるかもっとよく考えるべきでだったし、そもそも目標自体が「去年が4位だったから今年はそれ以上」という安直なものでした。
夫と話し合った結果、私たちは息子を鉄道博物館に連れて行くことにしました。
「いいの?4位になれなかったんだよ」
という息子に対して、苦しくても頑張って走り切ったのであれば、 何位になったとしても、連れて行ってあげるつもりだったと、苦しい言い訳をするのでした。