「オンライン葬儀」の解禁
葬想式をリリースして3週間が経過しました。リリースしたことで世間から多くのフィードバックをいただき、社会と共にこれからの時代に不可欠な選択肢を創っていることに使命感を感じながら日々を送っています。
私は葬想式の説明をする時、「距離と時間を超えて故人を偲ぶ スマホでできる偲ぶ会です」と偲ぶ会としての位置づけを強調してきました。
「オンライン葬儀でいいんじゃない?」と仲間に言われた事もありましたが
「家族葬、直葬、ついにオンラインまできたか」
と、葬儀の簡素化の流れに乗ることを恐れ、これはお葬式ではなく、お葬式が今まで担ってきた「思い出を共有する」「故人を偲び、自分の生を見つめ直す」といった役割が失われつつあるなかで、それを補完するものである、あくまで偲ぶ会であると、この意思を曲げることはありませんでした。仮に「オンライン葬儀」を謳った場合、それを利用した家族は周囲の人に「あの家は葬式をオンラインで済ませたらしいよ」といった噂が立つことも考えられます。サービスを利用してくださった方の心的負担になりうる言葉選びはできないと、自分の中で線引をしていました。
とはいうものの、自信のなさが「オンライン葬儀」と言わせなかったことに最近気が付きました。葬想式が世間に認められる選択肢の一つとなり、ご遺族もご参列者も、満足いただける体験を実現できれば
「葬儀がオンラインになって、簡素化した」
などと言われることはありません。むしろ、
「最近は家族葬が増えていて、葬儀に参列する機会が減っていたけど葬想式がでてきて、お別れに立ちあう実感が持てるようになった」
と。
家族葬は、内に閉じるというコミュニティの性質に則った合理的な葬法のため、すべてが一般葬に戻るとは考えられません。しかし、一般葬ではなく家族葬にすることによって失われるものはあります。その穴を埋めるのが葬想式です。
葬想式が「オンライン葬儀」の純粋想起をとることで、オンライン葬儀という新しい選択肢を簡素化の流れに乗るものではない位置を確立します。
参考:
コミュニティを問い直す 2009 廣井
ITビジネスの原理 2014 尾原
葬儀業のエスノグラフィ 2017 田中
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