【捕手】ドラフトを経てのBs2021年捕手陣
ドラフト会議を終え、戦力外通告・引退報道など徐々に2021年シーズンに向けて編成が変わり始めるこの時期。
だからこそ、現段階での2020年のオリックス・バファローズの陣容と2021年以降に向けてをポジション別に書いてみようと思います。特に捕手陣。
①2020年のふりかえり
②一軍運営と二軍運営
③むすび
①2020年のふりかえり
《捕手登録選手》(年齢は2021年4月1日)
#23 伏見 寅威(30)
#33 松井 雅人(33)
#37 若月 健矢(25)
#44 頓宮 裕真(24)
#45 飯田 大祐(30)
#62 山﨑 勝己(38)
#005 鶴見 凌也(19) 育成選手
#123 稲富 宏樹(21) 育成選手
#130 フェリペ (21) 育成選手
↑若月は自身初の7番で開幕を迎えるも、終盤は攻守に精彩を欠き、主戦を伏見に譲った。
まずは、2020年シーズンを通した捕手陣の見立てです。
シーズン序盤は、昨年.178 1本 OPS.460と散々だった若月健矢の打棒が炸裂しました。
トップを作ることをテーマに改造したフォームが功を奏し、一時はHard率で柳田・鈴木誠也・吉田正尚らを抑えての両リーグNo.1野手にまで到達。
7/21の楽天戦では、セットアッパーの宋豪家から、値千金の逆転満塁ホームランで勝利に導くなど、開幕1ヶ月足らずで、本塁打・打点の累積系の成績は昨年の成績を超えていました。
OPS.638(10月終了時)は通算成績を1割以上上回ります。
その若月が、疲労込みで成績を急落させてきた頃に、今度はアキレス腱断裂の大怪我から復活した伏見寅威が合わせるように復活します。
西村前監督の(事実上の)更迭も味方に付けた伏見は、後半戦だけで6本塁打を放つ活躍。
高めを効果的に使ったリードも中嶋監督は高く評価しており、若月から主戦捕手を奪い取ろうという位置にまでいます。
アキレス腱断裂の大怪我から、翌年にキャリアハイをたたき出すまでの復活を遂げた選手は、過去を見ても殆どありえない話であったため、失礼ながらこれには大きく驚かされました😮
2年連続の最下位が早々と内定した後は、打撃力が魅力の頓宮裕真(25)が昇格します。
長打力が魅力の頓宮は、10月31日の日本ハム戦で、早速エース有原航平から左中間へ確信ホームランを放つ活躍。
ボールアプローチの変化から更なる打撃面での進化を遂げており、2021年度は捕手・一塁手両面での活躍が待たれます。
このように、選手を変えながらも年間を通して高い打撃力を維持し、ポジション別wRAAではソフトバンクに継ぐ2位にまで成り上がった捕手陣。
去年はこの数値が、12球団でもずば抜けて最下位だった-29.0なのを考えると、目覚しい文明の進歩といえるでしょう。
この他には、昨年中日からトレードで移籍した松井雅人が2.3番手の捕手として定着。
途中でウイルス性胃腸炎により登録抹消された時期を除けば(ベテランの山﨑勝己(現バッテリーコーチ)が昇格)、こちらも落ち着きのあるリードで "欲しい場面" を埋めるなど、ベテランらしいいぶし銀の働きでチームに大きく貢献しました。
守備面に目を移しても、若月は守備では昨年よりもスタッツを落としたものの、依然としてパ・リーグ水準以上の守備力をキープ。
特にフレーミングを中心に進歩が目覚しく、また、複数のスローポイントを使い分ける盗塁阻止の高い技術も必見です。
伏見もブロッキングを中心に改善の兆しが見られました。
定着当初は抑えのディクソンにナックルカーブを投げてもらえないなど苦労しましたが、現在では同点や1点差の緊迫した場面でも構わず、ナックルカーブを投げてもらえているなど、時間をかけながらも成長していることが読み取れます。それに伴いプレーイニングも増加していきました。
一方で、まだ頓宮はブロッキングの面で信頼を得られておらず、10/28の日本ハム戦では要求を断られるなど課題が明確といえるでしょう。
この日は、24球中21球がストレート(2球ナックルカーブ、1球チェンジアップ)。
『捕手』として生きていくためには、彼の守備面でのスキルアップは絶対条件といえるだけに頑張って欲しいところです。
一方で二軍を見てみると、育成対象として大きく期待されていた《4番 捕手 頓宮裕真》が、7月1日のウエスタン中日戦で自打球を受け、左脛骨の骨折で長期離脱を余儀なくされました。
復帰するまでは飯田・稲富・フェリペがほぼ同じ配分で回る形に(前述の山﨑勝己は実質的にコーチ専念)。
また、稲富が二軍初本塁打含む.239 2本 12打点。フェリペは捕内外を問わず守る器用さを評価され、3人の中で最も多い46試合出場と、育成選手ながらそれぞれがプレーイニングを与えられます。
なお、育成5位ルーキーの鶴見の試合出場はなく、身体作りや基礎技術の習得に専念。
飯田大祐は2020年限りで現役を引退し、来期から一軍ブルペンコーチ補佐(ブルペン捕手兼任?)に就任します。
②一軍運営と二軍運営
ドラフト会議では、5位で豊橋中央高の中川拓真(18/右右)、育成4位で京都国際高の釣寿生(18/右右)の2人の高校生捕手を指名しました。
事前に福良GMによって高校生捕手の獲得は明言されており、牧原巧汰(日本大藤沢高=ソフトバンク③)、関本勇輔(履正社高)ら候補が上がった中での指名で、中川&釣の期待の高さが伺えます。
支配下選手最年少捕手が24歳の頓宮と、それ以下の世代がガラ空きな中での納得の指名であり、同時に2人の高校生捕手獲得は、頓宮を二軍から卒業させるという強い意志を感じます。
有事がない限りは、二軍は中川・稲富の2人を中心に捕手を回し、そこをフェリペ・釣・鶴見ら育成選手が出番を伺う形になるでしょうか。
一軍は若月・伏見の共にキャリアハイを収めた捕手に加え、ベテランの松井雅人が軸となり、そこに頓宮が本格的に殴り込みにかかると考えられます。
来期25歳の年齢に加え、高校生年代の複数加入、21年が大卒捕手豊作イヤー(中大古賀、慶大福井ら)ということもあり、頓宮が捕手として生きるか死ぬか(=1Bへのコンバート)は2021年で決すると考えても過言ではないでしょう。
シーズン途中での一塁専念があっても何ら不思議ではないと思っています。
個人的には1Bとしても文句のない打撃ポテンシャルを持ち合わせている点、緊急時の捕手としては遜色ない守備力、壊滅的でない1B守備、走力、1Bのプロスペクトが不足気味なことを踏まえ、基本は1Bとしながらも、捕手を使い切った際はCも守る形がベストと考えていますが、現場は(恐らく)また別のはずです。
③むすび
このように、2020年は昨年とは打って変わって『上手く行き過ぎた』面はあったものの、捕手陣全体のレベルアップには大きく成功した年だと認識しています。
プロスペクト勢の台頭によって、現存の一軍レベルの選手(若月、伏見、松井雅人)を脅かすことを信じてやみません☺︎
同時に彼ら3人は簡単に頓宮や中川拓真にレギュラーを明け渡さないで欲しいとも思います。