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【再起】戦力外からの逆襲に期したい投手たち

プロ野球の支配下選手登録枠は僅かに70。
ドラフト会議やFAでの新加入等、華々しく迎えられる選手たちがいる影で、哀しくもチームを去らなければならなくなった人も毎年います。

戦力外通告。

しかし、戦力外通告を受けた選手も、完全に希望が絶たれたわけではなく、移籍先で新たに契約を結ぶ選手もいて、まだ一筋の光が残されているとも言えます。

今回は、そんな戦力外通告からの逆襲に(個人的に)期待したい選手にフォーカスを当てていこうと思います。


戦力外通告を受けた選手

https://www.baseballchannel.jp/npb/85521/


①宮國 椋丞
名前…宮國 椋丞(みやぐに・りょうすけ)
投打…右投右打
ポジ…投手
年齢…28
経歴…糸満高→巨人10②→
成績…21登 0勝0敗0S 25.1回 防御5.33

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2020年は開幕から一軍に帯同し、ビハインドや大差リード時をメインに、稀に僅差の展開でもマウンドに上がりました。8月9日の中日戦では今期唯一の先発マウンドにも上がっています。

この宮國に対してファンから多く聞かれたのが、『ビハインドやリード時では抑えるのに僅差ではダメ』という声が多かったです。

本当にそうなのか調べてみました。
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±4点差以上がついた展開の成績
12登 0勝0敗0S 13.1回 防御率3.38
±3点差以内の展開の成績
9登 0勝0敗0S 12回 防御率7.76
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本当でした。
とはいえ、±4点差以上がついた展開では、イニング跨ぎを問わず防御率3.38とまずまずの成績を収めていることが分かります。

また、この自責点5の内容ですが、自責点が全てホームランによる失点です。
大差の展開で登板するリリーフ投手には、失点をしないことよりも、多少失点してもテンポよく投げ込んでイニングを消化することが求められます。試合の大勢は投げる時点で概ね決まっているので、あとはゲームプランを破壊しない(ex リードが縮まりすぎて勝ちパターンが出てくる・打たれすぎて降板する)ように遂行すれば良いのです。

与四球率は2.85と四球でランナーを溜めて打ち込まれる投手ではないのも、リリーフ版イニングイーターとしては有り難い要素。

また、左右別の成績を見ると、左打者に対して被打率.350と滅多打ちにされた一方、右打者には得意のスライダーを活かして被打率.217、奪三振率は7.50と抑え込んでいます。
対戦相手の打線や2番手の投手との兼ね合いによってはショートスターターや右のワンポイントとしてもある程度計算できる投手だとも考えます。

巨人では15年1位の櫻井俊貴、終盤に覚醒したビエイラとの兼ね合いもあり戦力外通告を受けましたが、この手の投手が居ることで《本来大差の場面で投げなくても良い有能リリーバー》を護ることができますし、投手の駒に苦戦している球団は繋ぎとして獲得しても面白いかもしれません。



②能見 篤史
名前…能見 篤史(のうみ・あつし)
投打…左投左打
ポジ…投手
年齢…42
経歴…鳥取城北高→大阪ガス→阪神05自
成績…34登板 1勝0敗1S 24.2回 防御4.74

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ビハインドリリーフとして期待したい投手ならば、阪神一筋16年の大ベテランを忘れてはいけないでしょう。

虎のエースとして2010年代を支えた能見は、年齢的な衰えもあり、金本前監督の直訴を受けて2018年途中にリリーフに転向。
昨年は40代の投手として日本新記録となるシーズン51試合に登板しました(それまでは17年岩瀬の50)。

球界一美しいとされるワインドアップから、フォームで微妙なタイミングのズレを生み出す技術は今なお一級品で、特筆して凄まじいボールが無くとも日本代表まで登り詰めた彼の技術力の高さを感じます。

その一方で、来季42歳とパ・リーグ最年長であることは見逃せません。ストレートの被打率.321、空振り率3.1%と《剛》の面での衰えはどうしても隠せず、それが四球率の増加にも繋がってしまっています。

昨年は29.2%あった決め球のフォークの空振り率も今期は19.8%とやはり経年劣化は見られますが、《大差の展開のイニングを食う》という立場上、今期は新たにシュートを交えることで、昨年よりも球数をかけずに決着をつける展開が増えました。

投球マップを見ても、代名詞の右打者へのクロスファイアーや低めフォークの投げ分け、左打者へのスライダーでストライク→ボールを徹底するなど、根本的なコントロールの破綻ではないことが分かります。

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出典🔗 http://www.baseball-lab.jp/player/detail/500038

オリックスが能見の獲得に動いていることが判明。9月にも阪神とのトレードで中継ぎ左腕の飯田優也(31)を獲得しましたが、慢性的に左の中継ぎ投手が少なく、また多くのプロスペクトを抱える反面、彼らの先陣を切るベテラン選手が少ないこともあり、良い補強だと思います。

オリックスは大差のビハインドの試合が多く存在するため、間違いなく頻繁に登板機会があるでしょう。
山田修義(30)、齋藤綱記(25)、富山凌雅(24)ら、既存の中継ぎ左腕を守る意味でも必要ではないでしょうか。西村前監督時代では、大差のビハインドでも大抵山田が投げていました。

一軍の大差のリリーフとして待機しながら、先発中継ぎ両面での豊富な経験値(試合の入り方・組み立て・調整法・ケアetc)を一軍投手に伝授することが、現実的な彼の役割になってくると思います。


③風張 蓮
名前…風張 蓮(かざはり・れん)
投打…右投右打
ポジ…投手
年齢…29
所属…伊保内高→東京農業大北海道→ヤクルト14②
成績…11登 0勝0敗0S 14.1回 防御率7.98

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伝説の2014年ドラフトのただ一人の生き残りも、今オフ遂に全滅。その生き残りの選手だったのが風張でした。

2018年には年間を通して場面を問わず登板し続けるタフネスさを武器に53試合に登板。投球回(57.2回)よりも多い61個の奪三振でプチブレークを遂げました。

ただ、その後は続けず。2019年、2020年と2年続けて10試合前半の登板数に留まり、防御率は7.11。今期はほぼ8点台となる7.98を記録するなど散々な成績で戦力外通告を受けました。

ただ、この投手、本当に戦力外なのか疑わしいほど力強いボールを投げています。イースタンリーグの日本ハム戦では153km/hのストレートで姫野を空振り三振。リリースポイントが前な上に指の押し込みが強く、いわゆる《ノビのある》ストレートです。
https://twitter.com/okiswa65/status/1282917687119671298?s=21

また142km/hのベース盤付近で鋭く落ちるフォークで巨人のモタを空振り三振に仕留めるなど、打者を制圧する支配者リリーフとしての素晴らしいポテンシャルを持ち合わせています。
https://twitter.com/okiswa65/status/1294620018127208448?s=21

またバラツキはあるもののスラッターも140km/h前後で縦に鋭い変化をする性質を持っています。メカニクス的にも大きな問題点は感じられず、球団次第で化けせることができれば、140km/h後半〜150km/h規模の《スラットスプリット型》投手となり得るポテンシャルを持ちます。

神宮球場のマウンドの特異さにミスマッチとなり、本来の投球から崩れてしまう投手は多くいます。直近では、ドラフト3位ルーキーとして創価大から加入した杉山晃基投手もその1人と言えるかもしれません。
東京という土地の利もあり、今のところ2031年まではヤクルトは本拠地を変えないそうですが、傍から見ていると勿体ないと感じてしまう部分もあります。

もし改造できる球団ならば、今オフの戦力外市場からの1番の拾い物になるのは風張だとぼくは見ています。

野手編へ続く(と思う)

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