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砂山影二「銀の壺」掲載原稿 2
今日は第2号の原稿です。表記は、当時のままで掲載しています。頁は、掲載されている頁を記載しています。
「銀の壺」は、函館市中央図書館の蔵書を参照しています。
「銀の壺」第二號
大正七年六月十九日印刷納本 ・ 大正七年六月二十日發行
P25 幼き日の友
中野草夢
学業の出来ざる友と親しみて間もなくやがて喧嘩しにける
意地悪のにくゝてならぬ友ありて死んでしまへと願ひてしかな
わがにくき友が教師に叱られて泣くをきみよきことゝ思へり
過ぎし日の遊びの友と路上にて逢ひしにたばこくわいゐにけり
久しくも逢はざりし友の飄然とおとづれて来ぬ空晴れし夜
肺病みて死せる友ありよくわれと釣に行きたること思ひ出づ
われひとり近所の友の仲間より除かれしかの日の涙かも
そのかみの近所の友の大方は行方知れずになりにけるかな
そのかみを手とり遊びし友らみなはなればなれになりしかなしさ
P80 同人同語
■中村草夢
やつぱりおくれた。
創刊號も今號も印刷がまづいので恥づかしく思つてゐる。がまんして貰ひたい。
第三號こそ七月二十日に出したい。今度は少しばかり編輯ぶりを變江やうかと考へてゐる。続々御投稿あらんことをお願ひする。社友は次號に紹介する。
地方雑誌と云へば大てい、三號か四號で止めるのださうだ。しかし、自分は、この可愛らしい「銀の壺」を、いつまでもいつまでもつゞけたい。けれど十一月頃から来年の二月頃までは工場が急がしいので、毎日夜業がつゞく。その時には出せるか出せないか、今から心配でならない。