#hello5strangers vol.5:岩vs砂vs水
お久しぶりです、hinaです。あけましておめでとうございます。
やはり新年を迎えて、2025年という年にはなんとかアメリカ横断の日記は完結させたいなと思ったので、2020年3月から約5年が経とうとしていますが、残り数本書き切りたいと思います。
Vol.5となる今回は、アメリカを文字通り「横断」して体感した車窓の景色の移ろいについて。これは5年経った今でも変わることのない体験かと思うので、写真と共に、さやか号との思い出を振り返っていきたいと思います。
岩のエリアから砂のエリアへ、「水」と「色」が恋しくなる乾燥地帯
カリフォルニアを出発し、ネバダ、ユタ、アリゾナと車を走らせる旅が始まった。前半はグランドサークルに費やしたため、その間窓の外に広がるのは、永遠に続くかのような「岩」の景色。
乾燥した空気の中、ひたすら続くこの荒野に心を奪われると同時に、色彩と水が恋しくなる瞬間が訪れる。
そんな時に現れたのが、カラフルで夢のようなSalvation Mountain、
砂漠のなかに際立つ原色のSeven Magic Mountains。
そしてラスベガスの街に到着すると、光と水が織りなすベラージオの噴水ショー。
どれもこのエリアでは定番の観光スポットだけど、それは砂漠で喉を潤す水のような、心が弾む瞬間だった。
旅はさらに続き、ニューメキシコ、テキサスといった「砂のエリア」に入ると、それまでとは違って岩の風景から砂の広がる世界へと変わっていった。障壁物のない、ただただ広がる荒れた大地。車窓からぼーっと眺めていた景色が、次第に意味を持ち始める。
この先にはどんな景色が待っているのだろう、と思いながら、グランドサークルに長居してしまったツケを回収するべく、1日1000km近く大爆走をして、ルイジアナやフロリダの湿地や海へと入る。
乾燥と湿気、砂と水という相反する景色が、車という移動手段ならではのダイナミックな変化をもたらしてくれた。
待望の「水のエリア」で待ち受けていたものは天の川と、蚊。
砂漠を抜けて水のエリアに足を踏み入れた瞬間、歓迎してくれたのは……蚊だった。ルイジアナやフロリダのキャンプ場で、50箇所以上刺された時には、異なる気候を肌で感じた。
それだけでなく、それまで「Firefly」と呼ばれていた蛍が、ここでは「Lightning bugs」と呼ばれることを知り、アメリカの方言の奥深さにも触れることができた。
そんな苦労も吹き飛ぶような体験が、キャンプ場の夜空に待っていた。
生まれて初めて肉眼で見た天の川。その美しさに、思わず時間を忘れて見入った。
相変わらず蚊の被害を受けた両足は痒くてたまらなかったけれど、それも笑い飛ばせるくらい。
周囲は真っ暗で、聞こえるのは虫の声と焚き火で燃える薪の音だけ。
ホームシックになりかける中で生まれた一体感
知らない人たちと長旅を共にするという状況は、時にホームシックを呼び起こすこともあった。節約生活の中、疲れや不安が募ることも。でも、旅が進むにつれて、ただの「stranger」だった彼らが、次第に「teammate」のような存在になっていった。
誰もいない国立公園で寝そべりながら語り合ったり、街を彷徨いながら手紙の受取人を探したり、キャンプファイヤーを囲んで笑い合ったり。広大な道路で左ハンドルに戸惑いながら逆走しそうになり、「右!右!右!」と全員で叫んで事なきを得た瞬間には、みんなで手を叩いて笑い合った。そうやって生まれた一体感は、何にも代えがたい旅の宝物だ。
こんなふうに、景色の変化や出来事を通じて、アメリカという大地の広大さと、そこに広がる自然の豊富さを体感し、なんというかありきたりな言葉だけど、人とのつながりだったり、「観光」ではなく「旅」をすることの素晴らしさを改めて実感する旅だった。
車でアメリカを巡る旅は、ただ移動するだけではなく、その土地の空気や人、出来事と自分が交わる貴重な体験なのだと思う。
というわけで今回は旅の中で出会った景色だったり、移動を共にした5人に対する気持ちの変化などを書いてみました。
次回は、私たちが移動するのに伴って北米でも猛威を振るい始めたコロナvs私たち、ゴール前後のお話をしてお終いにしたいと思います、では。