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産業廃棄物処理場で見た、モノと私たちの関わり

持ち込まれた産業廃棄物の99%をリサイクルしているという、なんだかすごそうな廃棄物処理を行う「株式会社ナカダイ」の工場見学に行ってきました。

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何かと感じることが多かったので、ちょっくら書いてみようと思います。

リサイクルは、超絶細かく素材ごとに分けることだった

家で「これはリサイクルできるな♪」という気軽なテンションで牛乳パックと魚のパレットを仕分けをしていて、それこそがリサイクルなんだと思っていたら、どうやらそうではなさそうでした。

ナカダイのナビゲーターさん
「お菓子のパッケージでも、コレは開けやすいけどアレはビニールが伸びるな、と感じることもあると思います。実は、お菓子の種類によって使われているプラスチックの種類が違っていて、それらを分けないとリサイクルできないんです。」

え...。

ナカダイのナビゲーターさん
缶も、ビールの缶とミルク系の飲み物を入れている缶とでは、種類が違います。ビール系はアルミ缶、ミルク系はスチール缶です。これも分けないと次の業者さんにとって価値のあるものにはならず、買ってもらえません。

え...。
細かっ!

いやそれは大変だよ...と思いますが、マテリアルとして再び活用をする事業者にとっては、自分たちが使いたい素材以外のものが混入していたら困る、というのは理解ができる話

室外機などの機械をリサイクルするときも、全てを解体して需要があり価値とされやすい「銅」などをまとめて、マテリアルリサイクルするのだそう。

そう考えると、アムステルダムで展開されている、全て自分で解体できる&部品を交換できるスマートフォン「Fairphone」のやりたいことが腹落ちします。解体が簡単で、仕分けがしやすいことがリサイクルに繋がる。そして言うなれば、ユーザーがモノに対して自分が介入をできることを思い出させてくれるものにしているのかも、と思いました。

終わりを考えて、ものづくりをする

ナカダイに集まってくるものたちは、とにかく上で説明したように細かく細かく分けられ、

・マテリアルとして再利用されるもの
・汚れや混ざりが多いため、燃やして熱エネルギーとして再利用されるもの
・焼却・埋め立てされるもの

に分類されていきます。

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正直、ナカダイの処理場の中をぐるりと見学をして思ったのは、私たちの生活を豊かで便利にしているモノたちは、こんなにも複雑かつ様々な素材や部室を組み合わせた上に成り立っているのかということ。

使う瞬間に焦点が当てられ、次に生産コストに意識がいき、結局最後の捨てる場面について考えることはあまりされていない。

そんな風に感じました。

でもそうは言っても、この最後の場面は見ないことにしてしまえば綺麗に世の中は回っていく。モノをつくる側にとって、最後を気にすることがどれくらいのメリットになるのか、正直あまりわからない。

そういう意見もあるだろうけど、これからはそうじゃなくなってくると思います。少なくとも私は、最後の瞬間まで気にしたい。きっとそういう人が増えてくるから、今こそ考え始める時なんだと思います。

モノと私たちの関係

誰が、どんな材料で、どんな風に、どうやってつくったか。
そういうことをちゃんと知っていて、使えなくなった時にはつくり手に修理してもらったり自分で直し、最終的にもどこを再利用すればいいか知っている。

そんな時代もあったはずです。

でもいま私の部屋にあるモノの95%は、どこの誰が何を使ってどうやってどんな機械でつくったのかわからないものたち。最近は自分で作ったり昔から持っているモノをリメイクしたりしているので、5%くらいはわかる。でもそのほかは壊れたらお手上げだし、どんな材料が使われているかを1つ1つきちんと確認をして「捨てる」以外の選択肢を選ぶ余裕って、正直なところあまりない。

なぜなら、私は毎日いろいろなモノを買っていて忙しいし、それを買うために働くので時間がないから。

......それでいいんだっけ?

どうなんでしょう。

モノや消費との向き合い方は、お金や幸せについての価値観にもつながってくる。そんなことを考えはじめてしまうと長くなりそうなので、この辺りで終わりにしようと思います。

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見学の次にやったワークショップは、ナカダイで出たマテリアルを自由に使ってなんでも作っていいよな工作タイム。

ここで、見学で見てきたことを「あ...こういうことね」と納得することが。使おう〜♫と思ってザックザクに取ったビーズなどが混ざりに混ざり、元の場所に戻すのにめちゃくちゃ苦労するという、まさしくナカダイさんがやっていることの1000分の1を身を持った経験した私でした。

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そして何ができたかというと...

絶対に家でも使えるものにしようと、カクテルシェイカーの下半分を、シンプルにそのままお持ち帰り。さっそくお花を生けました。

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そういえば、ワークショップで使い切れなかったマテリアルを捨てることになってしまった時のナカダイのナビゲーターさんの言葉が忘れらません。

もともと捨てられるはずのマテリアルだったんです。こうやって楽しんでもらえただけで、マテリアルも喜んでます。
捨てても焼却して道路に使われることもあるので、心配しないでください。

リサイクルとか処理とかコストとかじゃなくて、マテリアルへの愛だなって思いました。

私たちが暮らすのにモノも欠かせないし、ゴミもやっぱり出てしまう。だからこそ、愛を持ってモノにもゴミにも関わることができたらちょっといい感じになるんじゃないかなと、今日は思いました。

今回連れて行ってくださったパワフルで素敵な大人のみなさん、本当にありがとうございました!






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森野日菜子*ライター
言葉で、日々に小さな実りを。そんな気持ちで文章を綴っています。