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モノのプロの情熱〜ジーンズ屋さんの場合〜
彼が新しいジーンズが欲しいと言って、いろいろと調べていた。
その中で出会ったのが「RESOLUTE」というブランドで、「RESOLUTE」を吉祥寺の我が家からすぐ近くのお店で置いているというのだから、その日の仕事帰りに2人で立ち寄ってみた。
お店は目立つ感じではなく、古着屋が立ち並ぶエリアでもないので、入るのにちょっと勇気がいる。
「まあ、行ってみようよ。」
暑いしお腹が空いてきた私は、彼の背中を押した。
お店に入ると、ジーンズがずらりと並んでいた。近づいてみると、見たことのないブランドと、あった、「RESOLUTE」のジーンズだ。
”かっこいい”。
それが、最初に浮かんだ印象だった。
彼も同じ表情を浮かべていて、早速試着をしてみたいということになった。
店員さんは、1人いた。
ちょっと怖そうだったので、彼は恐る恐る声をかけた。
「あのう、すいません。試着してもいいですか...。」
はい、と答えてくれた店員さんは、思いの外明るい声で、私たちの不安はすぐに消えた。
と、消えるどころではなく、そこから湯水のようにジーンズについての愛トークが湧き、お兄さんの顔はどんどん興奮していった。
ジーンズは、裏っ返して洗ってあげると、皮脂油とかが取れて引き締まるんですよ。洗わないと、ダメージの上にダメージを重ねることになるから、ちゃんと洗った方がいい。
RESOLUTEのこともよく知らない私たちに、いかにデザイナーの林さんがかっこよくて、いかにRESOLUTEが特殊かを教えてくれた。
リーバイスの通称「66モデル」の世界観を目指していながらも、日本人がかっこよく履けるようになっているんです。しかも、このブランドで展開しているのは、ジーンズの型4つだけ。ジージャンやチノパンはやらないんです。
その代わり、裾直しをせずにかっこよく履けるように、数ミリごとにサイズがあって、そのサイズサイズで型も微妙に違う。
こういう愛を持った物売りのプロの話は、聞けば聞くほど、おもしろくなってしまう。
そして、私の彼はRESOLUTEのジーンズを買うことに決めた。
今日履いてこられたジーンズも、できればリペアして長く履いてあげてくださいね。それも、これからいい顔になってきますから。
最後にお兄さんは、彼がその日履いてきたジーンズをそっと褒めてくれた。
新しいものや、自分のお店の物を使ってもらいたいという気持ちの前に、ジーンズを、服を、モノを長く大切にして欲しいという思いがある。
本当の物売りのプロはこうやって、新しく買うものも、自分が今身につけているものも、全部を愛おしいと思わせる力があるのかもしれない。
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![森野日菜子*ライター](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/37018776/profile_8ecd2abdc5f71b0d3ec136c83b4ea7f9.jpg?width=600&crop=1:1,smart)