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「あざとさ」と「リモート飲み会」

「あざとい」という言葉をよく聞く。本来の意味は「小狡い」や「あくどい」などであるが、最近では男女間の計算された駆け引きのような意味で使われることが多い。テレビでもそういった「あざとさ」を特集している。先日は「リモート飲み会」での「あざとさ」についてで、普段とのギャップを出す、中学のジャージを着るなど様々なテクニックが再現ドラマ化されていた。

通常の飲み会と異なるのは「自宅」であるということ。服装だってゆるゆるのパジャマかもしれないし、すっぴんかもしれないし、普通だったら絶対に見せることのない「部屋」。

要するに普段隠している部分を公開するということだ。だからこそ、勝負をかけたい人にとってはここがアピールチャンスとなる。同時に一人しか話せないものが多いシステムが多くどれだけ注目されるかが勝ち負けというのであれば、ギャップ勝負、リングライトを当てる、見えそうで見えない格好をするなどは「プレゼン」みたいなものだろう。自分の自信を武器とし相手の反応を先読みする。こういった行動は武器を持たない人から「あざとい」と呼ばれてしまう。

リモート飲み会は、昨今のウイルス感染拡大による自粛が生んだものであり、今年の流行語大賞にノミネートされるのではないかと個人的に思っている。もともと外に出る機会がなかった方、家庭の事情で夜出ることができない方、SNSで出会った顔や本名を知らない人同士などなどの息抜きとして定着したと思う。

飲んだ後に「帰らなくてよい」という手軽さから、多くの人が一度は体験しているのではないかと思うが、私は正直リモート飲み会が好きではない。

みんなと対面になるところ

飲み会に限らず「対面」というのは気軽に話しにくい。もともと人の目を見て話すのが苦手であるからかもしれないが、隣あるいは斜め45度くらいの位置が一番落ち着く。リモート飲み会は基本的にはカメラに対して正面となる場合が多いため、結局は全員と対面となりみんなの目がこっちを向いている状況となる。もちろん私を見ているわけではなく「カメラ」を見ているわけだが、目があったような感覚がしてしまう。

音声

リモート飲み会をすると画面と会話している気分になり、時々我に返ると切なさを感じてしまうことがある。特にイヤホンをつけなかったときにそう思うことが多いので、ワイヤレスイヤホン(AirPods)をつけることで比較的耳のそばに人がいるかのように感じる。ただこのワイヤレスイヤホンは音楽を聞いている分には問題ないが、リモート飲み会で利用すると何故かバッテリー切れすることがある。だからといってワイヤレスではないのは体の自由がきかない。

空気が読めない、温度感がわかりにくい

どちらかというと普段空気を読んで生活をしているが、リモートとなると空気を共有していないからか空気が読みにくい。正面を向いているので表情はわかるが

家の人が気になる

なんといっても一番は家の人が気になるというのが理由。部屋は私専用の部屋であるが同じ家に家族がいるというだけで集中できずに楽しめない。別に乱入してくるわけではないが、飲み会というのは家族に聞かれたくない話がしたいことが多い。飲み会というのは日常でないからこそ特別感があり気分が高揚する部分があるのではと思う。

リモート飲み会という飲み方がトレンドとなったことで、遠距離などで実際に会えない人たちと気軽に話をでき、大げさでなく世界が身近に感じる。リモート飲み会が苦手ではあるが、それは実際の飲み会と比較してのことであり、楽しいものと思っている。

直接会って話すということにはかなわない。ただ当面はまだ自粛の状況が続くことが想定されるためにリモートを活用し交流していくことになるだろう。男女間で注目されたいという思いは全くないが、どうせなら美しく映りたいという願望はある。

部屋はあまり片付いていないためオシャレなバーチャル背景を設定し、リングライトは持っていないが、どうしたらお肌を美しく見えるかなどの研究をしリモート飲み会に望むことは「自己満足」である。

「自己満足」=「あざとさ」

そんな図式が見える。そう考えると「あざとさ」も悪くない。