(25)Genius Hour Project: 実践したい学生さんへの対応スキル7つ~「新コーチングが人を活かす」から~
みなさん、こんにちは。日本語講師のHinakoです。みなさんは、学生さんと話す時、個人面談の時など、何か意識されていることはありますか。現在、ジーニスアワープロジェクトをしていますが、プロジェクトは完全学生主体制なので、私は徹底して学生さんのサポートに回らないといけません。では、そのプロジェクト中にどうやって学生さんと接していけばいいんでしょうか。いつもの先生の立場で色々提案してしまったら、それは先生のプロジェクトになってしまい学生さんのものではなくなってしまうと思うんです。うまく最後まで学生さんを導くために、プロジェクトを通して、「新コーチング人を動かす」の中から、実践したい7つのスキルを紹介していきたいと思います。
トピック決めの時:何をすればいいかわからない子がいた時の提案
プロジェクトを実施にあたり、学生さんは自分の興味のあるトピックをきめなきゃいけません。簡単に見つかる子はいいんですが、無趣味の子もいますし、何が好きなのかよくわからない子もいると思います。そんな時に使ってみたいのがスキル23。
not want いやなことを30分話す(Skill23) p.83
好きなことを話すのは楽しいけど、したくないことを話すなんて嫌だと思いました。しかも30分も?!でも、とても能動的な教育を受けてきた子はそんなに簡単にやりたいことが見つからないかもしれません。私は学生さんにはそもそも「やりたいことがある」という前提でマインドマップを作らせたり、Brainstormingさせてたりしてましたが、失敗でした。
「人の脳というのは対比することで事象を思い浮かべやすいという傾向があります」(p.82) なるほど、逆の発想かと思いました。しかし、一人の学生さんと30分も話す時間はない。とりあえずトピックが決まらない子には、やりたいことじゃなくて、”やりたくないマインドマップ”を作って、Brainstorming してもらい、何がしたいのか探ってもらうことにしました。
プロジェクトに行き詰ってる子への質問
「〇〇さん、どうしたんですか。ちょっと計画通りに進んでいないようですね。」なんて声をかけて現状を確認しそうですよね。そうすると、おそらくいろんな言い訳がダラダラとかえってくると思いませんか。本の中では、「なぜ」というのは悪いことをしたときにきかれ、こたえる方はとても守りに入ってしまうそうです。大事なのはいち早く学生さんをプロジェクト実行に導くことです。そんな時は「どうしてですか」と理由を聞くのではなく、「何が障害になったのかな」と原因を探れるような質問をして、その障害をどうやってなくせばいいか一緒に考えれば、早く次の行動に結びつけられていいのかなと思いました。
"なぜ"の代わりに"なに"を使う(Skill05) p.25
面談の時に気を付けること:5つの話し方のコツ
1.沈黙を効果的に活用する(Skill6)(p.29)
ここでみなさんに質問です。例えばプロジェクトの面談(経過報告目的)で学生さんに質問をしたとします。でもなかなか学生さんは質問にこたえてくれません。みなさんは、どうしますか。おそらく忍耐強く、何か一言話すまで待ちますよね。でもこれって待たせてる方、学生さんには相当のプレッシャーだと思いませんか。そんな時は「ゆっくり考えて。黙っていますから」(p.29) と一言いえば、沈黙だって効果的になるわけです。これがあるのとないのでは全然質問に対する態度や精神状態が変わってくると思います。まあ私は「ちょっとトイレに行ってきます」とか「コーヒーとってきます」とか言おうとおもます。
2.オウム返し同じ言葉を繰りかえす(Skill 14)p.53
この部分を読んだ時は、言語学的にも証明されている方法だなと思いました。同じ言葉を繰り返すことで、お互いの関係の親密度が高くなるという研究報告も読んだことがあります。本の中では親密度ではなく「安心感」を生み出すと書いてあります。ぽつりぽつりとしか話さない子にはこのオウム返し作戦でいこうと思います。
3.コミュニケ―ションを上から観察する(Skill50)p.166
これは例えば面接時に質問しまくってしまった!なんて時に使えると思います。おそらく面接時間が決まってるので焦って質問攻めにすることもあり得ますよね。そんな時には客観的に自分と学生さんとの会話をみて、「あれ、ちょっと私質問攻めだよね。大丈夫?」なんて言ってみると、一方的だったコミュニケーションの形が軽くなるそうです。おそらく、共感することが大事なんだと思います。
4. ファイアー心に火をつける(Skill 43) p.144
面接の最後には、必ずプロジェクトの次の計画を話します。基本放任主義なので、自分で決めた締め切りに間に合うようにすればいいんです。でも、もし学生さんが行動にでなかったら、それは私の面談の時のコーチング力不足なんですって。こわっ。と思いました。そうか行動させるキーワードとして、ファイヤーだと思いました。ファイアーとは、ストレートな行動のリクエストをすること。「やってくださいね。絶対に」と「低く落とした真剣な声で、リクエストします」(p.145)だそうです。そんな声出るかわかりませんが、とりあえずびしっと言ってみます。
5.アクノレッジメント”I”の立場でほめる(Skill20)p.71
たぶんこれが先生であれば、一番役に立つスキルだと思います。みなさん、学生さんをほめますよね。私も基本ほめ殺しです。英語だと「グットジョブ!」日本語だと「よくできたね」でもこれって、いやいやわたしなんてまだまだです。なんて否定されることも可能なほめ方らしいです。なぜなら、Youのスタンスだから。ほめる時に”I”を入れると否定できない。つまり「計画通りよくできましたね。私も○○さんみたいに計画通りに仕事できたらいいなと思います」、「すごい発音きれいですね。(私は)目をつぶってたら日本人ですよ」なんて言うと、ほめられた方も、めちゃくちゃうれしいんじゃないでしょうか。ちょっと意識してつかってみたいと思います。じゃないと、「上手!」「すごーい」「いいね」とかで終わりそうですから。伝わるほめ方がポイントです。
まとめ
この本では62のスキルが紹介されています。他にもたくさん使えるスキルがありましたが、今回はうまくこの7つのスキルを取り入れて、プロジェクトを通してサポートしていきたいと思います。
最後に、この「新コーチングが人を活かす」というのは、JFの村上先生が毎月Twitterでやっていらっしゃる#日本語講師ブッククラブの12月の課題図書でもありました。日本語の先生がどんな事を呟いているのか、Togetther 覗いてみてもいいかもしれませんね。読んでいただきありがとうございました。