(27)オンラインクラスのプロジェクト実践紹介:Genius Hour Project: Part 2 トピック決めとスケジュール
みなさん、こんにちは。日本語講師のHinakoです。
今日は、私が新しく挑戦しているGenius Hour Project(ジーニアスアワープロジェクト)のPart2を書きたいと思います。
プロジェクトのコンセプトと目的はPart1で紹介させていただきました。まだ読んでいない方は是非こちらから読んでいただくと今回の内容がわかると思います。
Part2では、トピック決めと全体の流れのスケジュールをご紹介します。
トピックをきめる
まずはどんなトピックに興味があるか、Mentimeter.comのWord Cloudという機能を使って学生さんにこたえてもらいました。これを見ると、アニメ、マンガ、旅行、食べ物あたりに興味がありそうですね。
計画表を提出させる
次にProposal(計画表のようなもの)を提出させました。決めさせたことは
1.プロジェクトのトピックと名前
2.トピックを選んだ理由
3.計画表(どんな日本語の知識が得られるか、締め切り、どこから材料を引っ張ってくるか、考えられる壁、その壁の克服方法)
下記は私の学生さんのProposalの例です。(学生さんの許可をとって公開してます)この子は、マンガというトピックを選び、「よつばと」というマンガから新しい単語、漢字、カジュアルスピーチの使い方などを勉強したいとのことです。この学生さんのすごいなと思ったところは、Week4は他のクラスの宿題があるから週の後半でするとか、Week6は中間試験が2つあるから早めに終わらせるとか、ちゃんと先を見て計画を立てているとこです。
よくあった質問
これを書いてもらうにあたりよくあった質問が、「同じ作業を繰り返さなければいけないのか」という質問でした。というのも、例えば、「料理」をトピックにして、バンクーバーのおいしいラーメン屋を日本語で紹介し、ラーメンやで日本語を学びたいという学生さん。毎週ラーメンを食べに行ってもいいかということでした。この場合、やり方は2つあって、毎週ラーメン屋に行って日本語でメニューを読んで日本人のサーバーの人に質問するのもよし。全体のプロジェクトを通して、最初はラーメン屋のリサーチをしたり、メニューを翻訳したり、それから、お店に行く、ラーメンの感想を日本語で書く、など一連の流れでプロジェクトを完成させてもいいということです。「まあ、ラーメン好きなのはわかるけどコロナだからほどほどに」というアドバイスをしました。
締め切りについて
このプロジェクト、私は「裏プロジェクト」と読んでいますが、「自分で締め切りを決めて、自分で予定を立てることができるか、計画を実行できるか、自分で軌道修正ができるか」というのが本当のプロジェクトのキーになります。私は一応ざっくりとした計画表を下記のようにだしました。私がお願いしたのは、1週間に60分やってほしいということ。1日10分するのもよし、毎週木曜日の10時にやると決めてするのもよし。どのぐらいやるかは彼ら次第。今ちょうどプロジェクトの後半ですが、面白いことに、ちゃんと計画的にできる子、他のことに追われて何にも手つかずに放置状態になっている子など、本当に色々です。数人、恐ろしいことに、完全に手つかずの子もいるんですが、私からは何度もリマインダーはしません。リマインダ―はいつも先生からではなく、今は色々なアプリにリマインダー機能が付いているので、自分で締め切りを管理することも大事なんですね。
しかし、リマインダーの匙加減が本当にむずかしい。じゃ、学生さんに全部丸投げか?といったらそれは酷かもしれません。だって、私たちもメールで予定をわすれちゃったりしますしね。大事なのは個人面談やSlackなどで、ちゃんと学生さんがやってるか確認して、話を聞いたり、アドバイスをすることもとても大切です。
スケジュール
最後に全体のスケジュール紹介をします。
このプロジェクトは8週に渡りコツコツしていくプロジェクトです。(注意:👆の表ではWeek3からスタートしていますが、これは学期中のスケジュールの中でのWeek3となっています。)
8週間の詳細はこんな感じです。
【Week 1-2】最初の2週間でProposalを出します。この2週間は、自分のプロジェクトが難しすぎたりした場合のためのトライアルウィークとし、ちゃんと続けられるプロジェクトかどうか軌道修正を行います。
【Week 3-6】次の4週間で、自分のプロジェクトを実行し、その記録をBookcreatorに載せていきます。2週間に1回、ジャーナルといって、どういうところが難しかったのか、面白かった点、計画通りにできたかなど、振り返ってもらうフォームを提出してもらいます。
【Week 7-8】最後の2週間で、TEDトークという自分のプロジェクトをクラスメートに売り込む動画を作ってもらい、相互評価を行います。
学生さんとはこの間2回の個人/グループ面談を設けています。こんな感じで全体のスケジュールを組んでいます。
今のところ
最後になりましたが、今のところ学生さんはとても楽しくプロジェクトをしているようです。がしかし、問題もてんこ盛りです。他のクラスが忙しくて何もできない週があったりした子もいました。また、プロジェクトやりすぎ問題!どこまでやればいいのか自分で調整できない問題!また難しい日本語ばかりに手をだしちゃったよ問題!色々ありますが、とにかく1週間に1時間という時間制限を超えて、楽しくなくなったらそこでその週はストップ!と指示しています。このプロジェクト自分が楽しめないとただ苦痛なだけで継続の効果がなくなってしまうからです。プロジェクトから教科書ででてきてない語彙が増えた、文を読むのが早くなった、リスニングがよくなってきたなど、色々、効果も出てきているようです。
次回は、アンケート結果、TEDトーク、相互評価などについて書いてみたいと思います。読んでいただきありがとうございました。