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西尾維新『屋根裏の美少年』その12 ステルスリアクション・エクストラ113

(ステルスリアクションとは、見えないリアクションである。表向き別の事を表現しているように見せながら、同時に、特定の何かに対するリアクションとしても意図された、そのような表現方法なのだ)

(ご注意・本稿では西尾維新『屋根裏の美少年』のネタバレを含みます。閲覧の際にはあらかじめご了承ください。表紙画像と本文は一切関係ありません。また、登場人物や組織の実名は伏せられている場合があります。そして、明かしづらい内容は不明瞭な表現となっている場合があります)

前回はこちら(関連リンクは末尾を参照)。

また本稿においては「西尾・忍殺」を重要な関連資料として参考して頂きたい。


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・嫌われる
・初対面でこの対応は失格

まぁそりゃ普通に考えてベータロンの対応はイカれているというかナメ切っているというか。人を下に見て歯向かわれる事がないと思い込んでいる人間の取る態度だったなー。

なんかもうそろそろ考察する気もなくなってくるねえ、散々やったから。


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・初手から容赦しないのは師匠としては正しい
・いい弟子にはなれない

それは師弟関係が確立してからやるべきだし、いいも悪いもまず弟子になる気がないしで話にならないよね。未確認のまま予断で特攻、玉砕したようなもんだよあれ。

馬鹿馬鹿しいけど、それが事実だから仕方なく書き記すけども……。


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・これまでのしきたりを大胆に破る

歴史寓話の言明。暗黙のうちの、一種秘儀的なものであったそれを白日の下に晒す理由というのも当然あるのだが。


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・神
・信仰

どちらも歴史寓話上の頻出する要素。本作で具体的にどう書かれているかは忘れた。

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・それを描くのではなく、それ以外を描かない(それ以外は消している)

歴史寓話にしろステルスリアクションにしろこれは結構壮絶な事を宣言しており、とどのつまり全てをそれによって構築している、という意味。作品に必要なあらゆる要素にそれが含まれ、利用され、欠けることも足りないところもない(ある程度どこかしら「それ以外」が含まれそうなものだが)。


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・神格化

まぁこれも「現人神」かな(ベータロンの自己認識、という筋も考えなくもないが……)。


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・『描きたいものを描かない』技法

描かなかったという事を如何に気付かせるか、というポイントが勝負になると思われる婉曲表現技術への言及。

これをやる理由は、まぁそういうメディア、ジャンルでその内容を扱うにはその方法でという、無理矢理な混合によるアクロバットなのだろうが、それへの批評的言及はいずれまた。


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・もう過去の出来事でしかない

ベータロンが言ったっぽいんだよなーこういうの。無反省に突き進んでおんなじ失敗繰り返してるんだろうなー(どうでもいい)。


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・お前のわからねーことはひとつじゃない

この件の直接、間接の関係者全員に当て嵌まるであろう指摘っていうのもまた珍しいものですのね。


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・見つけたときに『なんだこれ?』って思って欲しかった

それが多方面から波状で襲い掛かってきたらどうなるかとか考えなかったんだろうなあ西尾さんも翻訳チームも。

しかもどっちも筆速いじゃない。そんな目に遭わされる奴なんてなかなかいないとは思うけどさぁ、だからって喜びの数倍で追い込まれるって体験はあんまりしたくないよね……。


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・思惑通りにその謎かけにハマってくれるなんて想定外

そーだったのかー。じゃーやめていーい?

ていうか実はSREそのものがひとつのプラクティスなんだよね、回転を上げる際の体力・精神力・行動力の使い方と配分ほか諸々の調整含めた。ネタが切れないから書き続ける負担は軽くて済むし、手頃だったもんで……。まぁ勿論、ある時期にあった西尾維新の作風の特徴や複数のクリエイターが絡んだひとつのムーブメントを記録しておくって意味もあるんだけれどさ。




(続く)

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関連リンク

西尾維新を読むことのホラーとサスペンス、ニンジャスレイヤー、そして批評家の立場と姿勢の話

西尾維新篇

第1話「ゼロ年代の終わりに」(約1,600文字)

第2話「西尾維新からの応答」(約3,200文字)

ニンジャスレイヤー篇

第5話「『ニンジャスレイヤー』をオマージュする西尾維新」(約2,600文字)

策謀篇

第6話「過渡期の人」(約1,900文字)

第7話「茶番の始まり」(約1,800文字)

第8話「違和感の塊のような」(約2,100文字)

第9話「地雷と第二次性徴」(約2,200文字)

第10話「アメリカンなジェスチャー」(約3,500文字)

第11話「俺に合わせろ」(約2,900文字)

第12話「物語の終わり」(約1,800文字)

第13話「閉じろ、その地獄の釜の蓋を」(約3,200文字)

昇華篇

第14話「『天狗の国へ連れてゆく』」(約1,700文字)

批評篇

第15話「『どうだ ピンク色の光が見えてきたか?』」(約2,300文字)

第16話「『やめろ!俺の頭から出て行きやがれ!狂気め!』」(約2,800文字)

第17話「『消えろ』‘彼を呼ぶのだ!’『消えてくれ』」(約2,400文字)

第19話「『俺は向こう側に、天狗の国に行かなきゃならねえ』」(約3,400文字)

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#批評 #コラム #ステルスリアクション #小説 #西尾維新

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