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西尾維新『ぺてん師と空気男と美少年』その7 ステルスリアクション・エクストラ063

(ステルスリアクションとは、見えないリアクションである。表向き別の事を表現しているように見せながら、同時に、特定の何かに対するリアクションとしても意図された、そのような表現方法なのだ)

(ご注意・本稿では西尾維新『ぺてん師と空気男と美少年』のネタバレを含みます。閲覧の際にはあらかじめご了承ください。表紙画像と本文は一切関係ありません。また、登場人物や組織の実名は伏せられている場合があります。そして、明かしづらい内容は不明瞭な表現となっている場合があります)

前回はこちら(関連リンクは末尾を参照)。

また本稿においては「西尾・忍殺」を重要な関連資料として参考して頂きたい。


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・サービス業に従事する人間に横暴な口を利く種の人間ではない

以前よりサービス業経験が有る為、自然第三次産業従事者に親和的な対応が標準化してしまっている。

元々さして他人をぞんざいに扱うのが好きな方ではないというのもあるが、当然無差別に親切に応対できるものでもない。


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・笑顔は何の証文にもならない

責任回避の為に言明を避けつつ表情で納得させようというのはある程度以上の段階では通用しないのではないか。

つまりその程度の信頼性でこれまでも、これからもあるという事だ。


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・「そんな招待状を発見できる遊び心」があるなら告発しないだろう
・採算
・経費
・効率

全く以て残念な事に遊び心の有無と対応能力や告発に踏み切る判断の有無ははっきりと異なる水準にあるものだろう。

得手勝手が過ぎると狙いや条件を精査する事さえ頭をよぎる事がなくなるのだろうか。判断力の低下と呼ぶには少々疎ましい現象だ。


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・鋭い
・目敏い
・同好の士の香り
・仲間意識さえ

鋭敏な者同士の親交のあり方にしてはベータロンの作法は牛歩。生き馬の目を抜く水準こそ要求されていたのではなかったか。

生兵法は大怪我のもとが人の形を取ったような存在を師と仰ぎ、広告戦略等一切の裁量権を有させるという事態は、最早一種の処罰であり無謀・蛮勇でさえないと言えるだろう。

再三再四述べている事ではあるが、条件の不一致が主たる要因であって、不義理やまして根性などという水準ではありえない。


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・『わたしのような視力の持ち主でもない限り』

本シリーズでは完全に特殊能力として造形されている為当人にその自覚があるのだが、果然僕の洞察力・観察力の類が特段優れた能力としてあるものなのだろうか。増長予防策として僕自身評価を自制する傾向にある上、外部から評価される状況になく、且つ客観的評価にはサンプル数が満たされない(意識として自衛過剰気味の疑いが払拭できないが)。


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・透視という『ズル』

作中ではチート設定故現実世界に存在する僕がどう考えるべきかの指針にはし難いものがある。フィクションを参考にしようというのが間違いかもしれないが。


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・何かが便利になれば、何かを失ってもいる

といって、少々の知名度と引き換えに残りの人生を失うつもりはない。ベータロンに関係者全員の利害調整が出来る器があれば、と思わなくもないが、典型的なないものねだり。


・・・

・分散投資

一点のみに全て集中すれば一か所の破損で総崩れを招来しかねない。安定性確保の為の基本的なリスクヘッジ。人間一人に全てがかかる一発逆転に踏み切るなら万全のフォローとバックアップを最低条件にしなければ僕なら怖くて出来ない。


・・・

・労働訓練(インターン?)

見習い期間・研修制度・徒弟制度・書生、何でもよいがあらゆる反応が兎に角固定的な上下関係の構築に方向付けられており、閉口した事を記憶している。




(続く)

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関連リンク

第1話「ゼロ年代の終わりに」(西尾維新篇・1) 西尾維新を読むことのホラーとサスペンス、ニンジャスレイヤー、そして批評家の立場と姿勢の話

からの「西尾維新篇」。

第5話「『ニンジャスレイヤー』をオマージュする西尾維新」(ニンジャスレイヤー篇・3) 西尾維新を読むことのホラーとサスペンス、ニンジャスレイヤー、そして批評家の立場と姿勢の話

第6話「過渡期の人」(策謀篇・1) 西尾維新を読むことのホラーとサスペンス、ニンジャスレイヤー、そして批評家の立場と姿勢の話

から

第13話「閉じろ、その地獄の釜の蓋を」(策謀篇・8) 西尾維新を読むことのホラーとサスペンス、ニンジャスレイヤー、そして批評家の立場と姿勢の話

までの「策謀篇」。

第14話「『天狗の国へ連れてゆく』」(昇華篇・1) 西尾維新を読むことのホラーとサスペンス、ニンジャスレイヤー、そして批評家の立場と姿勢の話

第15話「『どうだ ピンク色の光が見えてきたか?』」(批評篇・1) 西尾維新を読むことのホラーとサスペンス、ニンジャスレイヤー、そして批評家の立場と姿勢の話

から

第19話「『俺は向こう側に、天狗の国に行かなきゃならねえ』」(批評篇・4) 西尾維新を読むことのホラーとサスペンス、ニンジャスレイヤー、そして批評家の立場と姿勢の話

までの「批評篇」。

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#批評 #小説 #コラム #ステルスリアクション #西尾維新

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比那北幸@批評
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