西尾維新『ぺてん師と空気男と美少年』その10 ステルスリアクション・エクストラ066
(ステルスリアクションとは、見えないリアクションである。表向き別の事を表現しているように見せながら、同時に、特定の何かに対するリアクションとしても意図された、そのような表現方法なのだ)
(ご注意・本稿では西尾維新『ぺてん師と空気男と美少年』のネタバレを含みます。閲覧の際にはあらかじめご了承ください。表紙画像と本文は一切関係ありません。また、登場人物や組織の実名は伏せられている場合があります。そして、明かしづらい内容は不明瞭な表現となっている場合があります)
前回はこちら(関連リンクは末尾を参照)。
また本稿においては「西尾・忍殺」を重要な関連資料として参考して頂きたい。
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・ステージに上がる理由
・狙い
とりあえず当たってみて様子を見よう、と思ったらベータロンが一気にマイペース全開で来たもんだから面食らったなー。つまり0か100か、「俺はこういうキャラでお前とはこういう関係にするから。それを認めるかやめるかだ」って態度。実際は僕側に「やめる」って選択肢がある事を想定していない、一本道が確定しているかのような心境だったんじゃないかなぁ。
そもそも状況認識が違うのに、その可能性を最初から排除した対応になっちゃったのはもうミスとしか言いようがないよね。
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・推理ではなく勘
・予期(スペシャル・プログラムの存在を)
勘が働く時もあるけど、ちょっとあれは想像を絶する展開になったからねえ。その場でどう切り抜けるかの基準も雰囲気とか勢いでおかしな事にならないように、事前に計画を立てていたからこそ、というのはあるかもしれないなあ。
完全アドリブでも原則を意識していれば何とでもなりそうではあるんだけど、はじめから「いざとなったら未練を残さず手を引こう」と覚悟は決めてたのはやりやすくてよかった。「今か? まだか? じゃあどのあたりをデッドラインにする?」って落ち着いて検討できたからさ。
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・うがちすぎ?
・わからない
態度とかいろんなシグナルで何かを伝えようって時は、相手が理解出来ているのか、出来てないのか、理解した上で「それには乗らない」反応をしているのかを見分けるくらいやろうとしないと見せかけの自発性を一方的に強要するだけになるからなあ。
そういうやり取りの、ある種の奥深さに無自覚なようじゃあちょっと担ぐ気にはなれないよね。まして心から師事するなんて笑い事ですよ。
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・解説や案内が得意
・会話
得意っていうか、これこそ「呪い」って奴で、「面白い、と思ったもののどこがどんな風に面白いかをきちんと書きたい」欲求が強過ぎるんだよ。だから説明上手になっていく。
元々「好きなものの感想を言いたくって仕方がない」だけなんだけどね、「どうせなら分かってもらいたい」、「どうやら批評として書き残す価値くらいはありそうだ」、って転がってった結果が今なんだよ……。
どうしてこうなったのか……。自分でも分からない。
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・技術は習得しなければ、身につかない
批評でもそうだし、会話や交渉でもそうなんだけど、そもそも術以前の方針の段階と一体化して「口先と態度と立場でゴリ押し」されるともう服従か反逆かしかないじゃないですか。
そういう野蛮なスタンスでなくて、もちょっと洗練されたスタイルが来ると思ってたんすよね……。
言い過ぎかなぁ。でも仕方ないよなぁ、アレじゃあ。
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・初対面というわけではなさそう
全くのノーデータではないだろうけど、ベータロンと顔合わせたのは初めてだよ(作中で出会う前から因縁がある、って表現かもしれないけど)。
何かやるつもりなら、顔合わせた数よりも態度や実行力の方が大事っぽいけどなあ、いやそれ以前にやっぱり文化かなあ、とか悩む程ハードワークしてる人と組んだ事もないけどね。
(続く)
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関連リンク
第1話「ゼロ年代の終わりに」(西尾維新篇・1) 西尾維新を読むことのホラーとサスペンス、ニンジャスレイヤー、そして批評家の立場と姿勢の話
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第5話「『ニンジャスレイヤー』をオマージュする西尾維新」(ニンジャスレイヤー篇・3) 西尾維新を読むことのホラーとサスペンス、ニンジャスレイヤー、そして批評家の立場と姿勢の話
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第6話「過渡期の人」(策謀篇・1) 西尾維新を読むことのホラーとサスペンス、ニンジャスレイヤー、そして批評家の立場と姿勢の話
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第13話「閉じろ、その地獄の釜の蓋を」(策謀篇・8) 西尾維新を読むことのホラーとサスペンス、ニンジャスレイヤー、そして批評家の立場と姿勢の話
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第14話「『天狗の国へ連れてゆく』」(昇華篇・1) 西尾維新を読むことのホラーとサスペンス、ニンジャスレイヤー、そして批評家の立場と姿勢の話
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第15話「『どうだ ピンク色の光が見えてきたか?』」(批評篇・1) 西尾維新を読むことのホラーとサスペンス、ニンジャスレイヤー、そして批評家の立場と姿勢の話
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第19話「『俺は向こう側に、天狗の国に行かなきゃならねえ』」(批評篇・4) 西尾維新を読むことのホラーとサスペンス、ニンジャスレイヤー、そして批評家の立場と姿勢の話
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