「狙い」と「練習方法」について(その2)
前回は、的の真ん中をしっかり狙うことが大切ということをお伝えしました。まだお読みになっていない方は、以下のリンクより御覧ください。
さて、今回は「距離」と「狙いの高さ」について述べてみたいと思います。
1 「距離」について
(1)弓道の場合
「近的28m」と「遠的60m」です。
(2)アーチェリーの場合
ターゲット競技では長距離が「90m」「70m」「60m」、短距離が「50m」「30m」、他にインドア競技の「18m」、フィールド競技「5m〜60m」などがあります。
弓道では道場も大会も「近的28m」が圧倒的に多く、中には「遠的60m」をやったことがないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
2 「狙いの高さ」について
(1)弓道の場合
「近的28m」に対して「遠的60m」の場合、当然矢を上に向けなければなりません。
弓道はベアボウですから、的と弓がどういった位置関係に見えるかをしっかり合わせて狙います。
(2)アーチェリーの場合
例えば男子シングルラウンド競技においては、「90m」「70m」「50m」「30m」と距離が4種類ありますから、サイトピンの高さが4種類存在します。
ただし、「サイトピンを的の黄色(10点)に合わせて狙う」ということ自体は距離が変わっても同じです。
3 弓道における「距離」と「狙いの高さ」についての練習方法
弓道ではサイトがありませんから、「狙いの高さ」について稽古することは、アーチェリーよりも重要であると思います。
そこで、道場内でできる以下の練習方法を御紹介します。
注意点として、道場に他の人がいる場合、きちんと全員の了解を得て行って下さい。何よりも安全が優先することを最初に申し上げておきます。
(1)28mよりも近い距離で練習する。
矢道から(3m、5m、10m等々)行射をして、距離の違いによる高さの狙いを稽古します。
距離が近くなりますから、28mの狙いよりも矢を下に向けなければなりません。
(2)足踏み(スタンス)を変えて別の的を狙って練習する。
例えば安土に5つの的が立てられている射場の場合、3的に立って、足踏みの方向を2的や4的、1的や5的に合わせて狙って練習します。
距離が遠くなりますから、28mの狙いよりも矢を上に向けなければなりません。
4 「狙いの高さ」についての捕捉
近的指導において、矢は床と平行でなければならないということは、全く根拠のない間違いです。
弓の強さや引尺、身長や足踏みの開きなどによって狙いの高さが異なるのは明々白々です。
しかし、高さが全く分からない競技者に対し、デフォルト位置として平行から練習するのは有効であると考えます。
左右のみならず高さについてもしっかり「狙う」ことを日頃から稽古しておくことが大切です。