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土木教育の目的

 硬いタイトルになってしまいましたが、土木に関わる全ての人にとってしっかり認識しておくべき事として書き進めます。

 「インフラ整備やその維持管理がどれだけ人々の生活に不可欠なものであるか」「土木の魅力とは」などに関することは、過去の記事をお読み頂けたらと思います。

 さて、土木教育と一言に申し上げましても、様々なところでそれは行われています。

 私が勤務している「工業高校」のみならず、「大学の工学部」「専門校」「企業等の研修」「工事の現場」などなどあげればたくさんあります。

 今回は、「教育機関」すなわち、高校や大学等の観点で述べていきたいと思います。

 始めに結論です。
 土木教育の目的は、
「土木的価値観を有する人間育成」
 です。

 将来「技術者」になろうが、「研究者」になろうが、「土木的価値観」を有していなければその仕事は全く光りません。

 それでは「土木的価値観」とは具体的に何なのでしょうか。

 土木施工の4大管理とは「安全」「品質」「工程」「原価」です。
 具体的には、「質の良いものを安全かつ適切な工事期間と価格でつくること。」です。

 この価値観がしっかり備わっていないとどうなるか。

 「安全管理を怠ると事故を起こします。」
 人が怪我をしたり死亡します。現場がストップします。多数の関係者が対応に追われます。

 「品質管理を怠ると利用する人が危険にさらされます。」
 定められた強度がなく、重力や水圧、土圧に耐えられない状態になります。

 「工程管理、原価管理を怠ると品質に悪影響が及びます。」
 特に突貫工事はその影響がとても大きいです。慌てて行った行動の結果にろくな事がないことは誰もが承知のことです。原価については言わずもがなですね。不正そのものです。
 品質に悪影響が及ぶということは、最終的に危険、事故につながるということです。

 残念なことに、上述のようなことをやってしまう会社があります。
 それは「土木的価値観」のない粗悪な会社組織といわざるを得ません。
 利益のみを追求する会社経営なら「土木的価値観」のない不勉強な人間にも一時的に出来るのかもしれません。
 いくら利益があり、給料が高く休みが多かろうと、私は教育者としてそのような会社に生徒を送りたくありません。

 生徒や学生は、工業高校や大学の工学部で土木の専門分野をしっかり学ぶことによって「土木的価値観」を身につけています。

 卒業後もこの「土木的価値観」を更に高め、磨き上げていってほしいものだと心から願っています。

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