![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/41861120/rectangle_large_type_2_07122bcb58c522f96ce4093c992879e4.jpg?width=1200)
感想「ひぐらしのなく頃に業 祟騙し編」
ちょっとタイミングを逃した感がありますが、祟騙し編について語りたいと思います。
鬼騙し、綿騙し編の感想は以下にリンクします。
以下、祟騙し編並びに過去作のネタバレ注意!
↓
↓
↓
祟騙し編
綿騙しのように魅音・詩音の入れ替わりが発生していないため、観ている分には単純なのですが……
そもそも「祟殺し編」における肝は雛見沢大災害における村全滅ですが、今回はどうもその鍵を握る鷹野が鬼騙し、綿騙しとイレギュラーな動きをしているせいで、全く違う結末が予想できました。どうなるか分からない不穏の塊といったところです。
っていうかそもそも「祟殺し」→「皆殺し」の解答がトンデモすぎて、まともな推理が出来るとも思えませんが……
とりあえず一つずつ語って行きます。
・鉄平帰宅
冒頭で沙都子の叔父、鉄平が雛見沢に戻ってきました。この展開は「祟殺し編」と同様ですね。
が、一つ見逃せない点が。鉄平が何かの薬を服用している事です。そういえば登場時も、何か調子が悪そうでした。これは「祟殺し」には無かったはずです。一体どういう事なのでしょうか。雛見沢症候群にかかった事の不安さを鉄平自身が通常の精神病と認識した結果、雛見沢の外の病院で精神安定剤でも貰ってきた……とかでしょうか。鉄平が狂った世界線となると、なんだか面白そうですね。
・悟志について
「綿騙し編」では一切言及がなかった沙都子の兄、悟志についてここで梨花ちゃんが言及しました。
梨花ちゃんが自分から状況を動かそうとするのは、非常に珍しい事ですね。鬼騙しではレナに怯える圭一に助け船を出し、綿騙しでは圭一が魅音に人形を渡すアシストをしていましたが……他はほとんど自分では動かず、静観を決め込んでいます。本来ならループしている梨花ちゃんが一番いろいろ考えて動かないといけないのですが……彼女、今回静観ばっかですね。たまに動いたかと思えばヤケクソムーブしたりして……どうせループが続くからと、とりあえず様子見しているのでしょうか。それとも一つの章で特徴的な動きが出来るのは一回だけという縛りでもあるのでしょうか。そんなわけはないと思いますが。
まあ今までの事はともかく、今回梨花ちゃんはきっちり動きました。が、鬼騙しや綿騙しの時と違って、意味があるのか否かよく分からない言及です。ここで悟志を意識させる事で、圭一と沙都子の絆を深める結果にはなりましたが……それが従来の「祟殺し編」の解決の糸口になるとは到底思えません。それでなくとも、元々「祟殺し編」では圭一と沙都子はかなり親密な関係になっていて、だからこそ圭一による鉄平殺害も起こっていたわけです。
もしかして梨花ちゃん、鬼騙しや綿騙しで行っていた従来の解決方法では攻略は不可能だと考えて、試行錯誤を始めたのでしょうか。そうなると、なかなか面白いですね。
・野球
……
沙都子はなんで制服で野球をしているのか。
いや、それよりも。
沙都子が八百長抜きで亀田くんからホームランを打ちました。
亀田くん、この世界では甲子園投手じゃないんですかね。それにしても小学生にホームラン打たれるなんて、彼は一体どうしたのでしょうか。
いえ、この場合沙都子がどうしたのか問うべきでしょう。
ギャグ描写とはいえ、あまりにも不自然です。その辺りは尺の都合で適当になった……とかですかね。
・入江監督
野球そのものをカット出来なかったのは、圭一と監督を合わせるためですね。
まともではありませんが、いい大人ですよね。結構好きです。でも祟騙しではあまり活躍しそうにありませんが。
・詩音
……
この人ヤバない?
「祟殺し編」では見せない一方的な姉ムーブは、「皆殺し編」での詩音のものです。という事はどちらかというと「皆殺し編」に近い風に進んでいくのか……と、この時点で読み取れます。あるいは詩音が圭一の代わりに鉄平を殺すかもしれませんが。
しかし沙都子の態度は、圭一と詩音とで全然違いますね。圭一に対しては満更でもない風でしたが、詩音は割と本気で嫌がっている風でした。まああんなにべたべたされたら離れたがるのは当然ですが、こうまで露骨だと別の可能性も考えてしまいます。
元々詩音は沙都子を憎んでいました。「綿流し編」では沙都子を拷問した後殺害までしており、もしも沙都子がその事を覚えていたとしたら、詩音に懐くはずもありません。「綿騙し編」では露骨に怪しい動きをしていましたし、沙都子の記憶が継承されているという可能性は、真面目に考慮し始めてもいいかもしれません。もっともそう考えた場合、綿流し編において沙都子視点では知り得ない魅音と詩音の入れ替わりを看破していなければなりませんが。
・圭一の夢
二話の冒頭にて、圭一は鉄平を殺害する夢を見ています。
「祟騙し編」の圭一はこの時点で鉄平に遭遇していません。ですからこれは明らかに「祟殺し編」の記憶です。
今回の圭一も、断片的ではありますが過去の記憶を継承しています。
であれば今後の展開は本格的に「皆殺し編」ですね。
・大石について
今回の大石は随分と敵意に溢れています。圭一の身からすれば圧倒的に理不尽です。理不尽さのあまり、入江先生からも嫌われています。一体どうしてでしょう。
この部分だけでも、大石の言動には違和感だらけです。
まず、大石が圭一に敵意を持っている理由からして不明です。大石は周りの子ども達に圭一の名前を尋ね、そこで初めて圭一の素性を認識しています。という事はこの大石、相手が圭一であろうがなかろうが同じような態度を取っていたという事です。無意味に敵を増やす事に一体何の意味があるのでしょうか。あるいは圭一の素性を知っている上でプレッシャーを掛けようとしたのかもしれませんが……圭一をそこまで敵対する理由が大石にあるのでしょうか。
また、大石が沙都子に会いに来た理由も不明です。教師を通さず直接……というのがまた不可思議です。3年目の事件があるとはいえ、今更沙都子に一体何の用事があるというのでしょう。沙都子が何かしら不審な動きをしていないと、大石が動くわけがありません。沙都子は一体、何をした結果警察に目を付けられてしまったのでしょうか。
あるいは何かしら大石に対して取引でも仕掛けていたのでしょうか。
何も分かりません。
・沙都子救出まで
大石の言動以外は、「皆殺し編」とほぼほぼ同様のまま、相談所を丸め込んで沙都子救出を行いました。
そこまでの展開で疑問なのは二つ。
まず一つ、「祟殺し編」および「皆殺し編」ではしっかり描写されていた沙都子側の描写が全く無い事。あまりにも不自然です。沙都子が虐待されているという根拠は、実は全くありません。
加えて言うなら、沙都子が救出される経緯すらも、沙都子自身から語られたのみです。その後問題が起こっていない以上、間違いなく救出そのものは行われたのでしょうが……ここまで徹底して描写が無いのは不自然極まりないです。
そしてもう一つは言うまでもなく大石の事です。大石は今回の件、執拗に圭一を邪魔しているように見せて、その実動きとしては「生温い」ようで、本気で邪魔をする気はないようです。その上で「圭一は正しい事をしていると信じ切っている」「今だけは圭一に華を持たせてやる」と不穏な事を口にします。
「北条家の現状を知ってもらいたい」というセリフも意味深です。絶対に額面通りの意味ではない事は明らかです。が、それが一体どういう意味なのかというと……ちょっと分かりません。大石は沙都子の虐待以外の何かが確かにあるのだと確信しているようでしたが……ですが実際、沙都子はそれ以降警察に勾留されたりマークされた様子もありません。大石は空回りしたのでしょうか。
・沙都子がシャワーを浴びるシーン
沙都子の肌は真っ白ですね。虐待の痕が一切ありません。
もう断定してもいいでしょう。沙都子は虐待など受けていません。であれば圭一にした事後報告の電話は完全な嘘で、フラッシュバックは演技という事になります。何故そうする必要があったのか……という動機は、現在時点では考えるだけ無駄でしょう。沙都子は何かしら企みがあって、鉄平から虐待を受けていないという事を仲間達に隠していたのです。
では鉄平はどうなったのか。
部活メンバーや村人達が特に異常を聞いていない様子なので、児童相談所から然るべき処置を受けたのでしょう。ですが沙都子に虐待をしていない鉄平がどうしてそんな事になったのか、そもそも何故虐待をしなくなったのか、それが全く説明がつかない状況にあります。謎が増えるばかりです。
・沙都子の誘い
ここからです。
よりによって綿流しの、梨花の奉納演舞の時に沙都子が圭一を誘って自宅に戻るという大胆な動き……ここからは皆殺し編とは全く違う展開になります。
圭一を「にーにー」と呼び、ある物を渡そうとする沙都子。わざわざ「悟志が大切にしていたもの」という前情報があるところからそれそのものがブラフというわけではなさそうです。「知られると恥ずかしい」と言われても全く思いつきません。あるいは圭一に興味を持たせ、食いつかせるための情報に過ぎないのでしょうか。
・ここはもうにーにーの家でもあります
……
…………
……………………
さらっと言ってますけどここめっちゃ怖くないですか?
思わず「綿騙し編」の魅音が脳内をよぎりました。しかも今回は前回と違って圭一には何の危機も訪れていない状況……いや、危機はすぐに訪れるんですが。
この辺りの沙都子の態度はとんでもなく違和感があります。これも演技かもしれませんが、圭一相手にはさすがに過剰な気もします。
・鉄平登場
急展開に笑いました。でも冷静に考えると普通におかしいです。
まず鉄平は圭一に対して「ハメられた、許さん」みたいな感じで先制攻撃を行います。が、そこからまずおかしいです。
確かに沙都子救出作戦のリーダーとして活動していたのは圭一ですが、鉄平がそれを知っているわけがありません。
仮に知っていたとしても、鉄平と圭一は面識がありません。顔を知らないのに、一体どうしてそれが圭一だと分かるのでしょう。
加えて鉄平は背後から圭一を殴っています。顔が見えるわけがありません。
それでも鉄平が圭一を自分の仇だと認識出来たとすれば、それは誰かが手引きしたからに他なりません。たとえばこの家の住人が鉄平を家の中に匿い、「今からお前の仇を連れてくる」とでも言って焚き付けでもしない限り、この展開はあり得ません。
ただしその場合、その人物が鉄平の登場に驚いていた事が不思議です。もちろんそれも演技という可能性も否めないのですが、金属バットを持った大の大人が脳天に先制攻撃加えた状態で、自分よりも一回り以上小さい体格の子どもを見下ろしている状況で、今更そんな演技が必要でしょうか。
沙都子にとっても、鉄平の登場は予想外だったのでしょう。
では鉄平は一体何故圭一を襲う事が出来たのでしょうか。
考えうるのは3パターン。
一つ、鉄平が雛見沢症候群に罹っていて、疑心暗鬼の末に偶然圭一を敵だと認識した場合。冒頭の薬の描写も考えて、現実的な線でしょう。
一つ、鉄平が圭一同様過去の記憶を継承していて、その復讐をしたパターン。記憶継承が圭一の身にしか起こらないというのは都合の良い考えですものね。
一つ、そもそもそこに鉄平が来ていなかったという場合。雛見沢症候群に罹っていたのは鉄平ではなく圭一で、圭一は幻覚を見てしまったと考えるのは、納得できる説だと思います。
頭に金属バットの一撃を受けてすぐに反撃できるのはおかしいですし、そもそも今更憎む理由もない鉄平を相手に反撃の際、わざわざ殺害する気で攻撃しているのも不自然です。これまでの圭一に発症の描写が無かったのが気にかかるところではありますが、すっきりする説明はこれでしょう。
・熊谷刑事とのやり取り
入院した圭一の頭に包帯が巻かれているところを見るに、頭部にダメージを受けたというのは確かなようです。ただし記憶が曖昧なのが不思議です。首に怪我をしていないので、少なくともL5に発展していないのは確かなようですが。
さて、熊谷刑事、大石に関して言い淀みます。暗に大石が事件に関わっている……あるいは既に死亡している事を示していると思います。それがどういう意味か、この時点では分かりませんでしたが……
・レナの証言
……
あんなの、意味が分かんないよ!
こっちのセリフです。このツッコミを心の中でしなかった視聴者は果たして存在するのでしょうか。
本筋と全く関係ありませんが、ここのレナ好きです。
あまり声優さんに詳しくはありませんが、レナの声優さんは特徴的なので知っています。平常時の可愛い系の声と、弱った時の消え入りそうな声、叫ぶ時の迫真の声が全部すごいクオリティーで、引き込まれてしまいます。「意味が分かんない」をレナが言う事で、視聴者はより首を縦に振りやすくなっているような印象を受けたり受けなかったりしました。
さて、レナの証言の内容を噛み砕いてみましょう。
・圭一君はあの夜沙都子ちゃんの家に居て幸運だったと思う
レナは圭一が沙都子の家に居たという事実を知っています。つまり圭一が沙都子の家を訪れたのは事実で、それは部外者であるレナも知り得る情報という事は、圭一の事は公な事件として扱われているという事になります。それは熊谷刑事が訪れた事からも明らかです。
圭一に接するレナの態度からして、圭一がその事件の加害者として扱われているという事は無さそうです。あの場面を見たまんま考えても、あれは明らかに正当防衛なので当然でしょう。その認識が正しくない場合は話が別になってきますが。
・大石さんがいってきて……拳銃を……
どうとでも取れるセリフではありますが、少なくともその場に大石がいたという事は確かなようです。
・魅ぃちゃんも、詩ぃちゃんも、梨花ちゃんも、沙都子ちゃんも
ここで沙都子の名前が出てくるのが不自然です。
沙都子の足取りの時系列としては間違いなく北条家→古手神社なのですが、どうして沙都子はあの後普通に皆と合流したのでしょう。圭一が大変なのだから、もっと他に取るべき手があると思うのですが。
圭一が沙都子の家にいたという事を知っている以上、レナもその辺りの違和感はあるはずです。もっとも、それどころではないでしょうけれど。
沙都子の動きが不気味過ぎて、全く意味が分かりません。
・なに……? あれどういう事なの? 私は何を見たの?
レナの困惑の様子からして、単に誰かが銃を乱射したというわけではなさそうです。レナにとって理解不能な何かが起きた結果、4人が撃たれて殺されたという結果に行きついたようですが……
単純に大石が発砲したというのは考えづらいところですが、レナが「大石も撃たれた」と言っていない以上、被害者でもなさそうです。加えて熊谷刑事が圭一の質問に言い淀んだところを見るに、被害者でも加害者でもないというわけでもなさそうです。「何者かに銃を奪われ、そのせいで4人が死んだ責任を感じて辞職した」とかが今のところ考えられる妥当な線でしょうか。
・レナの状況について
4人が死亡した事に対して、何故レナは無傷で生きているのでしょうか。
レナの言葉からして、部活メンバーが狙われたのは間違いなさそうです。であればその場にいて全てを見聞きし、皆と同じように狙われる立場にあったはずのレナが何故生き残ったのでしょうか。単に犯人が殺しそびれただけなのでしょうか。あるいは何か別の思惟があったのでしょうか。でも詩音や梨花はともかくとして、魅音や沙都子まで殺されているのにレナだけ狙われない事なんてあるでしょうか。
・時期
レナが長袖を着ているところから、秋くらいの季節なのでしょう。梨花ちゃんが死んで何か月も経過したのが分かります。それなのにやはり雛見沢大災害は起こっていません。やはり鷹野は動いていないようです。
そして綿騙し編と違い、今回は山狗が一切登場していません。代わりに現れた入江先生が鍵なのでしょうか。
総評
最後の10分くらいで謎を量産しにきましたね。案の定ほぼほぼ答えが出なかったのですが……今回は特に不可思議です。怪しかった沙都子への疑惑もいよいよ確信出来るレベルになってきましたが……その目的は一体なんでしょう。
次回は猫騙し編。聞いた事のない回ですが、完全新規のストーリーでしょうか。楽しみです。
祟騙し編の満足度:94/100