感想「ひぐらしのなく頃に業 綿騙し編」
時間が出来たので、綿騙し編について語って行きたいと思います。
鬼騙し編についての感想は以下。
以下、綿騙し編並びに過去作のネタバレ注意!
↓
↓
↓
綿騙し編
「鬼騙し編」も謎が多いストーリーでしたが、今回も非常に謎が多いです。
元々「鬼隠し編」における謎は全て、「圭一の妄想」という一事のみで片付けられる単純なものです。もちろんその単純なネタを物語に落とし込み、ホラーとして完成させるだけの演出力が見ものなのですが……
対する「綿流し編」における謎は、圭一の視点からでは見えない詩音の暗躍により、かなり複雑な様相を呈してきます。詩音の凶行がたまたま祟りの内容と一致してしまった事、魅音と詩音の入れ替わりのタイミングが絶妙な事、解答編である「目明し編」においても梨花の行動の理由が明かされない事等から、見るべきところは多いです。
もちろん「綿流し編」の派生である「綿騙し編」もまた、そのような複雑さがあると思ってよいでしょう。たっぷり語れそうです。
とりあえず一つずつ語って行きましょう。
・ゲーム大会のぬいぐるみについて
「綿流し編」では、圭一がもらったぬいぐるみをレナにあげてしまう事で、巡り巡って惨劇が始まってしまう……という筋書きでした。分岐のあるDS版だと、このイベントを踏むかどうかで「綿流し編」に進むかどうかが決まるわけです。
当然、この状況を梨花ちゃんが読んでいないわけもありませんでした。圭一にアドバイスをして、魅音に人形を渡させるナイスアシスト。これでこの世界は安泰……
ではないですね。
「鬼隠し編」でも「鬼隠し編」と同様の解決策を取った挙句に想定外の死に方をしているわけですからね。全く油断がなりません。
・エンジェルモートにて詩音と遭遇
一回目の来店時、圭一は詩音と初顔合わせでした。
が、そもそもここで出会った人物は本当に詩音なのでしょうか。
双子の入れ替わりトリックが成立する関係である以上、本人の弁をうのみにしてはいけません。何事も疑ってかかりましょう。
そして、ここの詩音は魅音だと思います。言うまでもなく、圭一に対する反応がモロに魅音のものだからです。魅音から圭一の話は聞いているとはいえ、初対面であの慌てっぷりはあり得ないでしょう。ここは間違いなく魅音でしょう。
ちなみにこの説を提唱する際、問題になるのは魅音の背中の刺青について。エンジェルモートの制服は背中が大きく割れた格好で、魅音は詩音と違って背中に刺青があります。いくら二人の髪が長いため通常は背中が隠れるとはいえ、通常は雇用主側が接客をさせないでしょう。だから、エンジェルモートでエンカウントする詩音は全て詩音であるという推論が立ち上がります。
しかし忘れてはならないのが、エンジェルモートは園崎系列のお店であるという事。言うなら魅音は経営者側の人間なわけです。魅音が望めば、刺青がある状態で制服を着て接客をする事くらいは可能でしょう。
であるからして、上の推論はとりあえず無効とします。ここの詩音は詩音です。
・ご飯を作ってきてくれた詩音
圭一に晩御飯をくれた詩音……これもまた魅音でしょう。翌日の学校の様子からみても明らかです。この部分に関しては、特に考察の余地はありませんね。ただし、翌日学校にいた魅音が詩音だった場合には、その限りではありません。そうなると複雑すぎてわけわかんないですが。
・エンジェルモート前で不良から助けてくれた詩音
この辺りから複雑です。
ダム騒動の事を話していた時の様子やスキンシップの程度から見ると、何となく詩音っぽいというくらいの感想はありますが……確信に至れる描写はありません。
・詩音からの電話
エンジェルモートに招待する旨の電話。これが詩音でなければ、次の日の魅音が別の場所でアルバイトをしているのがおかしくなってしまうので、詩音で間違いないでしょう。
しかしここで気になるのは、電話口の不穏な雰囲気。
「綿流し編」に則って考えると、魅音から圭一に対するのろけ話を聞かされて苛立った詩音の意趣返しといったところでしょう。そう考えると翌日の展開にも説明がつくというものです。
・スイーツの試作モニターを持ち掛けてくれた詩音
こここそ確実に詩音です。なんせ、その後魅音と直接出会っているわけですからね。
しかし詩音、圭一を手玉に取るのが上手です。この辺詩音がやたら積極的なのは、魅音への当てつけなのでしょう。やや不穏な事を言っているのがちょっと気になりますが、「許せない事」への報復がこれだとすると、優しいものです。
ただし、魅音の受け取り方次第ではえらい事ですが。
・魅音が避けたがる祟りの話を促す詩音
ここにおいてもまだ、詩音の報復が続いているという事なのでしょう。そしてそれに対する魅音の反応がかなり露骨になってきたように見えます。
・祭具殿への侵入について
詩音の押し、こんなに強いんでしたっけ? 祭具殿への侵入に対し、かなり強めの拒否感を持っている圭一に対し「ぜひ見てもらいたい」とまで言って断る道を絶つ詩音。そこまで言って圭一を道連れにしたい理由が、詩音にあるとでもいうのでしょうか。
さて、「鬼騙し編」以降の世界には羽入が存在しません。だから「綿流し編」で祭具殿に侵入した際に詩音が聞くどたばたという足音は必然的に聞こえなくなっています。
また、オヤシロ様像が五体満足なのも気になります。本来、祭具殿のオヤシロ様像は、過去に沙都子の侵入により破損しているはずです。破損が無いという事はつまり、過去に沙都子が祭具殿へ侵入していないという事になります。
これは今までのループには無かった事です。
梨花の巻き戻しで辿り着く先は、昭和58年とは限りません。「暇潰し編」が分かりやすい具体例でしょう。だから巻き戻り先によっては、過去の沙都子の行動が変化するという事も十分に考えられる事ではあるのですが……
代わりと言わんばかりに割れていたオヤシロ様の頭部は、一体何を象徴しているのでしょうか。謎が深まるばかりです。
・綿流し後の詩音からの電話
圭一の一人称視点を離れ、詩音にスポットが当たっているのでここは詩音でしょう。魅音はおそらくもう祭具殿への侵入を確信しているでしょうし、わざわざカマをかけにはいかないでしょうからね。
逆上した圭一の電話も、魅音ならぶつ切りにはしないでしょう。そう考えると、ここは「綿流し編」通りですね。
・富竹・鷹野行方不明について
ここは非常に重要な項目です。
前回「鬼騙し編」においても、本来死亡するはずだった富竹さんが鷹野さんと揃って行方不明という扱いになっており、そこが重要なポイントだったのですが……
それが「綿騙し編」においても同じ事が起きたとなると、重要度はけた違いです。しかもその経緯が二人で結託しての逃亡という事なので、いよいよもって不可解です。
二人は一体何故そんな行為に身を投じたのでしょう。二人とも裏で暗躍する組織の一員であるため、表立って犯罪を犯すなんてあまりに不合理です。
山狗が鷹野の手を離れて暴走している説でしょうか。二人が組織の手を借りずに逃亡する理由なんて、そのくらいしか考えられません。
・梨花ちゃんの反応
……
…………
……………………
こいつ投げやがったな!
いくら視聴者が梨花ちゃんの正体を知っているからといって、ここまで露骨に正体表す事もないでしょうに。あまりのヤケクソっぷりに初見で爆笑してしまいました。
ここには含みなんて何もありません。ただ梨花ちゃんが試合放棄しただけです。まあ村長がやられてしまったらもう軌道修正は無理ですよね。
でも梨花ちゃんが前の世界のルールに固執していそうな部分だけは気になっています。富竹さんの死を確信していて、行方不明扱いなのも「珍しい」という程度に考えているあたり、まだ手探りといった風ですね。
・梨花ちゃん行方不明の経緯について
ぶん投げ直後に行方不明とは、いっそエンターテイナーですね。
魅音によると「作業着の男と話していた」とのこと。おそらく山狗でしょう。山狗が何故学校にいたのか、梨花ちゃんはどういう話をしていたのか。さすがに考察のしようがありません。ただしその後すぐに行方不明になった事を考えると……
そして、沙都子の様子がおかしいです。あまりに露骨な描写なので、絶対に重要な場面です。先程までルール不明の謎球技に勤しんでいたとは思えないほどの落ち着き具合と、何故か圭一を疑うような言動。一体どういう富豪なのでしょう。現時点では考察のための材料が全く無く、ただただ謎です。
・はしごを揺らす魅音
シチュエーションは違えど、「綿流し編」でもあったシーンでした。こういうファンサービスに近い演出、大好きです。
さてここでは魅音、梨花ちゃんが御三家の一員である事を挙げて暴走しているようです。祟りが梨花ちゃんの仕業だとして、恐れているような言動です。
さて、この魅音は本当に魅音でしょうか。
魅音なら立場上、こういう類の疑心暗鬼にはならないはずです。
では詩音でしょうか。どうでしょう、「目明し編」を参考にすれば、詩音もまたその手の猜疑心を持ちそうにもありません。
もしかすると、ここの魅音のセリフは圭一の幻覚という事も考えられます。直前まで梨花ちゃんに不信感を抱いて然るべき話をしていたわけですし、疑心暗鬼の対象としては最も適しています。圭一が心の奥底で抱いた疑念が、幻覚というかたちで登場している……という考え方もあるでしょう。
ですが圭一は魅音に呼び止められてトイレに入るのをやめ、屋根に上っています。知恵先生も魅音の存在をしっかり認めています。咎めるような口調から、はしごを揺らしていたのも見えていたのでしょう。つまり、魅音が何らかのかたちで発狂しているのは真実という事になります。
敢えて言うなら、詩音でしょう。魅音なら、圭一を危険な目に遭わせるような真似はしないでしょうから。まあ雛見沢症候群に罹っている場合はその限りではありませんが。なにせ魅音はこれまでのループで一度も発症していないわけですし、発症した場合どうなるかなんて分かりません。
しかしここが詩音となると、朝から入れ替わっていた事になります。果たしてその真意は?
・園崎本家へ
魅音からの呼び出しで園崎本家へ行く圭一。
気になるのは、魅音が途中で着替えのために離席している事。入れ替わりの余地があるとしたらまさにここですが……見ている限りそんな事をする意味は全く無さそうです。ここから先は全て魅音だと思ってよいでしょう。
・圭一の監禁と魅音の主張について
「圭一を監禁して守る」という尋常ではない行為に加え、「祟りの体現者を倒す」という「罪滅し編」のレナに似た使命感、「警察は信用できない」という弁から、おそらく魅音は雛見沢症候群に罹っているのでしょう。
けれど「誰も信じられなくなる」疑心暗鬼の病気の中で、特定の誰か(ここでは圭一)を守ろうと考えるのは、これまでになかった行動パターンです。それだけ魅音が特別に強い精神力の持ち主であるという事か、あるいは雛見沢症候群とは似て非なる何かが蔓延している状況なのか。
・セーフルームの扉について
エンジェルモート通いの太ましい男一人に勝てないもやしっ子の圭一が鉄格子を破壊するというのは、なかなか狂っています。見掛け倒しだったのか、あるいは圭一の認識でも狂っていたのか。ちょっと笑ってしまう箇所ですが、よくよく考えるとこのシーンが意図的でないわけがありません。何かしら重要であるはずです。
・山狗について
今回はよく山狗を見かけますね。帰り道にさりげなくいたり、圭一監禁後に園崎本家に押しかけていたり……と。
山狗の動向は警察が把握していないため、本当に何をしているのかが不明で、だからこそネックになりそうです。推論を重ねて足りなかった部分は山狗に埋めて貰いましょう。
・結末
お魎さんと公由村長の死はともかくとして、詩音が井戸から死体で揚がっているというのは「綿流し編」とは全く違う事です。
そして梨花ちゃん。まさかの便槽で死亡というのは……さすがに凄惨すぎて逆に笑えます。そりゃあはらわたを引きずり出されるとかよりはエグさはありませんが、別の意味で目を逸らしたくなる死に様です。
今回梨花ちゃんに手を掛けたのは誰でしょう?
最後に出会ったという山狗でしょうか?
タイミングよく圭一をトイレから遠ざけた魅音(詩音?)も怪しいです。
でも魅音が犯人だとすれば、はしごを揺らしていた時の梨花ちゃんに対する考え方がちょっとおかしくなりそうです。
順当にいくと、
梨花ちゃん山狗に接触→何故か殺されて便槽へ→魅音がそれを発見→あまりにショッキングなのでとりあえず放置→圭一近づく→圭一のトラウマになったら可哀想だから止める
……と、こんな感じですかね。いや、予想ですけれどね。
それと魅音の死に何故か沙都子が関わっている事。
沙都子は何故園崎家の廊下なんかにいたのでしょうか。魅音が拳銃で応対した相手が沙都子だったのでしょうか。ならば魅音はどうして沙都子が敵であると認識したのでしょう。沙都子周りがあまりにもきな臭い一方で、何一つ確信に持っていけそうな情報が出てきていないがゆえにもどかしいです。ですがとりあえず、二人ともただ相打ちというかたちではなさそうです。第一体格差+拳銃持ちの魅音が、トラップも仕掛けられない他人の家に上がった沙都子を相手に相打ちに持ち込まれるとは到底思えません。第三者の介入があったのは間違いなさそうです。
総評
……
あれ、レナは?
今回、レナは何もしていませんね。仮にもメインヒロインなのに……
まあそういう事もありますか。
さて「綿騙し編」端的に言うとあまりに情報が足りない状態です。
まだ出題編の残りである「祟騙し編」が来ていない以上、あまり確実な事は言えそうにないです。それでも強いて挙げるなら、
・今回の発症者は魅音(+圭一?)
・死者は「綿流し編」と同じ
・発症者である魅音が圭一を守るという特殊な行動をする
・梨花ちゃんが便槽に捨てられる
・沙都子の様子がおかしい
という感じですかね。
で、犯人……というか黒幕はやはり鷹野さんから独立した山狗というのが有力そうな気がします。
さて、次回は「祟騙し編」。沙都子中心のお話であるため、「綿騙し編」でしっかり怪しかった沙都子の変化が身て取れそうです。
楽しみです。
満足度:94/100
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?