オタクによる『鬼太郎誕生』全力プレゼン(ネタバレなし)
はじめに
こんにちは。青眼鏡と申します。
突然ですが皆さんは『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』はご覧になりましたか?Twitter(X)では本映画を観に劇場に行くことを「入村」と表現したり、パンフレットが公開一週目で完売し、オンラインストアも入れない状況に陥ったり。FAや二次創作漫画が今までにありえない頻度でTLに流れてきたり。
作品の盛り上がりをリアルタイムで体感し、私は嬉しさと戸惑いが混じった変な表情になっています。私が中学生だった頃(鬼太郎6期が放送される前)じゃまずありえない・・・。
私は公開2日目に1周目を鑑賞してまいりました。当時私の住んでいる地域では1箇所のみでの上映だったため、駅から出ているバスに1時間半揺られ辿り着きました。その映画館は初めて行ったんですが本当に遠かった…。
周囲の(インターネットではない方の)友人が「鬼太郎」の話題を出すことすら最初は驚きました。周りに話せる人が居なくて一人でコソコソ推してた中学生の私、見てるかー?今凄いことになってるぞ。マジで。あの時水木作品(アニメ、鬼太郎原作、ほか漫画作品)を漁りまくった時の知識が存分に生かされてるぞ!え、というか、私◯年も(自主規制)水木作品推してるの・・・? 怖・・・。
当時私がどれくらいのオタクだったかというと、原作や関連作品を読み漁ったり、6期放送時にはおまけ付きウエハースやグミを収集したり。
雑誌・アニメージュにはファンアートを制作スタッフが選出する「フリースペース」というコーナーがあるのですが、私が鬼太郎6期放送時に描いた絵を載せて頂いたり(ありがたい!)。
好きな水木作品(漫画)は『錬金術』『人魂を飼う男』、TVシリーズは2007年版第5期(鬼太郎CV:高山みなみ氏)です対戦よろしくお願いします。
話を戻します。
映画の人気が影響し、今週金曜からは(私の住んでる地域では)駅前の映画館でも上映されることになりました。しかも入場者特典第二弾も配布決定。やったーー!!!
ここからはまだこの作品を観てない方に向けて、ネタバレなしの紹介をしていこうと思います。先に言っておきますが以下の文章を読んでいなくても楽しめる作品に仕上がっておりますのでご安心ください。読んでいたらもっと楽しい、かも!(かも)
Q.『鬼太郎誕生』とはなんぞや
A.元は原作漫画のエピソードです。(下は講談社コミックDAYSで公開されている本編)
鬼太郎漫画が無料で読めるなんて凄い時代だ・・・!
血液銀行に勤務する青年・水木が、「輸血すると妖怪になる血液」の正体について探り、その中で「幽霊族」(ここでは「妖怪族」表記)の秘密と歴史を知る・・・というお話。今回の『鬼太郎誕生』の映画もこのエピソードをベースに制作されています。鬼太郎親子が尋常ではない苦労をしながら、それでも生きている。「どこでもいい 足のむくままいこうじゃないか」という引きのセリフが印象的な作品です。
Q.で、『ゲゲゲの謎 鬼太郎誕生』は実際どういう話なの?
A. まずは簡単なあらすじから。
↑予告編(ネタバレなしバージョン)
先ほど紹介した原作のエピソードをベースに、アニメ第6期(2018年版)の設定でアレンジした作品です。原作にはないオリジナル要素が多分に出てきますが、あくまでも「鬼太郎6期の世界でのお話」ですのであしからず。
(アニメの鬼太郎はシリーズによってキャラ造形、性格、必殺技、作品テーマなどが大きく異なる)
6期の鬼太郎はアニメシリーズで唯一、「水木青年に育ててもらった」と言及されています。トラブルを起こす妖怪を退治し人間を助けている理由も、「自分を育ててくれた人への恩返し」なのだと。これを知っているとより本作品のラストが身に沁みてくるかもしれません。
原作との一番の違いは、なんといっても「身体を失くす前の鬼太郎の父」が出てくる点です。彼はなぜ妻を探すのか。水木青年と出会い、交流を持ったその因果とは。その答えはこの作品の中盤、水木と父の旅の果てに明かされることになります。
Q.鬼太郎について何も知らないけど、観に行って大丈夫?
A. まっっっっったく問題ないです。むしろウェルカム。設定は原作漫画とテレビシリーズ6期がベースですが、この作品単体でも全然イケるので。
私は「あえて」原作及びアニメを復習せずに観に行ったくらいですから。これはオタクにありがちなことなんですが、原作漫画を網羅しすぎてると逆に重大な部分の展開が読めてしまうという弊害が発生するのです。今回はこの作品オリジナルの要素もちょうどいい具合に入っており、「そうきたか!」という驚きもあったので良かったです。
Q.なんでそんなに推すのさ
A. もちろん私が鬼太郎という作品に支えられてきたオタクだから、この作品群によって価値観や趣味嗜好が形成されていったから、というのはあるんですが。
今回の映画、舞台が昭和31(1956)年ということもあり、時代考証が綿密に行われています。水木のスーツが現代風の細身のものではなく50年代らしい野暮ったいデザインになっていたり、「とあるキャラ」の見た目が当時の価値観を反映したものになっていたり。後者に関しては原作履修済のオタクが一番驚いた部分だと思います。
詳しくはキャラデを担当された谷田部透湖さんがTwitterや雑誌インタビューで話されています。そちらも読むと鑑賞がより楽しくなりますのでぜひ。
これは余談なんですが、谷田部さんの鬼太郎オタクっぷりは凄まじいものがあるのです。
私が谷田部さんの名前を知ったのは『三者三葉』『龍の歯医者』が放送されていた2017年頃だったんですが、その頃からこの3期鬼太郎のアイコンでTwitter上で鬼太郎の話をされていたり、(これは6期放送開始後の話ですが)鬼太郎の二次創作イラスト本を頒布されていたり。
更に言うなら卒業制作『木の葉化石の夏』の頃から鬼太郎を代理キャラと見立てて制作日記イラストをアップされていましたし(Twitterの仕様変更で過去の画像漁りづらいのが惜しい…!)、
とにかく鬼太郎大好きなアニメーターなのです。そんな方が2018年から6期に参加して、本編の原画描いて、6期ED『見えんけれどもおるんだよ』のアニメーション(原画動画演出全て!)担当されて。
そして2023年、キャラデを担当された『鬼太郎誕生』の公開。感無量でした。谷田部さんの鬼太郎好きの集大成なんだな、幸福の第四条「好きの力を信じる」が達成された結果なんだな、と私はいちオタクでしかないのですが勝手にめちゃくちゃ感動していました。それは第一弾入場特典やTwitterにアップされていたイラストにもよく現れていると思います。「造詣が深い」のレベルを超えた「愛」で鬼太郎を描かれている方だなあ、といつも感心しています。
(谷田部さん、勝手にTwitterやpixivの投稿引用してごめんなさい・・・!)
(『水木サンの幸福論』より 引用元:https://grapee.jp/26544)
おわりに
「『鬼太郎誕生』はいいぞ」をつらつらと綴ってきました。鬼太郎映画が公開されること自体がオタクにとっては一種の「お祭り」なんですが、ネットの口コミでここまでの盛り上がりを見せているのはいちファンとしてとても嬉しいのです。ありがとう、観てくれて。そして関連作品に興味を持ってもらえるともっと楽しい(こっちが)。
ストーリーはもちろん作画や撮影、CGのクオリティも申し分ないので、是非劇場でこの「業と命」の物語を体感してください。損はしないので、絶対に。私は日曜日、友人と一緒に2周目行ってきます。
みんなもレッツ入村!
(おわり)