モハマヤバート誕生秘話〜夫と目が合う
虹の岬まつりに参加
ボーボー教のベジタリアンになった私は、
その後もインドの各地を思い切り謳歌して
また必ずこの大地を踏む。と、
心に誓って帰国をした。
帰国すると、今まで自分が好きだったもの
興味のあるものが一変していた。
もちろん化粧はしない
ハイヒールもグッチのバッグも
もう私には必要なかった。
日常にまだ浸り切らないうちに行ったのは
日本各地でヒッピーたちが開催している
キャンプ+音楽+カルチャーイベント、
通称 まつり と言われる、
全国の旅人や元旅人
ヒッピーや、今でいう
自然派ママの原型のような人たちが
日本中から集まるイベントだった。
ある人は、まつりこそが
フジロックの原型だとも言っていた。
人々が野原に1週間近くテントを張って
焚き火で煮炊きをし、
あちこちで民族楽器などを使った
セッションが自然発生していて
誰でもその輪に入れて
踊ったり、歌ったりできるような
インドでハートも感性も、
バチバチに開ききった私にとって
パラダイスのような場所だった。
そこには夫もバンド仲間と来ていて
その時に初めて目が合って会話をした。
『インドどないやったん?』と。
後々、夫から聞いた話だが、
その時初めて私を『話せる人』と
認識をしたそうw
それまでは住む世界が違いすぎて
話す気にもならなかったという。
ツルツル教からボーボー教へ。
それが夫と目が合い、
話すきっかけになろうとは思いもしなかったけど
(いや、毛の問題ではない)
その後、色々ありながらも
半年も経たないうちに
夫と付き合うことになった。
ケンちゃんのスチームベジタブル
夫は私をどこでも一緒に連れて行ってくれてたのだが、
その度にあちこちで
『ケンちゃんのスチームが食べたいなぁ』
と言われているのをよく聞いた。
スチーム というのは
スチームベジタブルという
ジャマイカのラスタマンの食事のこと。
たっぷりの野菜を、オイルとタイム、オールスパイス、
胡椒でじっくりオイル蒸ししたソースで、
コーンミールと小麦粉で練った硬めの団子を食べる、
ラスタマンたちのソウルフードのこと。
レゲエのミュージシャンでもある夫は、
現地でのレコーディング経験があって、
本場の料理をラスタマン達から習っていた。
それがめちゃ美味しいくて!!
(本当に美味しい!!!!)
その美味しさを知っている仲間達から
『ケンちゃんのスチームが食べたい』
と、あちこちで言われていたのだ。
私は、料理って人から必要とされて
誰にでも喜ばれるものなんだなぁ。
自分の得意なものがあるって羨ましいな。
と、純粋に思った。
私には何も特別なものがなく
得意なものがなかったから、
自分にも人から必要とされるものが欲しいな。
13歳年上の夫への憧れと
尊敬も含めた思いもあって、
そこから『何か身につけたい』
という思いが募っていった。
インドの話が噛み合わない
夫は、初めて行ったインドが楽しくて
バウルのアシュラムの滞在も
とても楽しかったらしい。
付き合ってから、
『インドであれ食べた?』
『あそこの◯◯おいしかったな』
『ゴアでは何食べてたん?』
『アシュラムの◯◯がな・・・』
しょっちゅうインドの食べ物の話をされたけど、
インドの食が受け入れられなかった私は
ほとんど覚えていないし、
全く話が噛み合わなかった。
逆に、ほぼツーリストレストランで
お世話になっていた自分の行為が
残念&恥ずかしく思えて、
(それこそ若く素直だったw)
翌年に私は1人またインドへと旅立った。
まさに、恋の力、である。
インドとカレーが好きな夫と
インドの食の話がしたい。
この人に喜んでもらいたい。
『ケンちゃんのスチーム』のように
『さやかのカレー』と言われたい。
まだ20歳の私、13歳上の大好きで憧れの彼氏。
そりゃ、話も噛み合いたくて
すぐにでもインドに行くでしょう?