ケルト音楽への誘い
こんにちは。私のプロフィール欄の趣味に ”ティンホイッスル演奏” というのがありますが、これはケルト音楽を奏でるのに重要な伝統的な笛の一つです。
今日は私がケルト音楽と出会ってからその後の私のケルト音楽との関わりについて書きたいと思います。
ケルト音楽を初めて認識したのはタイタニックを初めて見た時なので5歳くらいでしょうか。My heart will go on、ジャックがタイタニックに駆け込むシーン、ジャックとローズが地下でダンスを踊るシーン、彼らがローズの恋人キャルの付き人から逃げるシーン、など、沢山の場面で使用されていて、初めて聞いた当時は何という音楽のジャンルなのかも知りませんでしたが、メロディーやリズムに含まれる、ふるさとを思い出すような懐かしい感覚がやみつきになっていたのを思い出しました。
小中高時代、私はアナログ人間だったのでケルト音楽を聴く機会にも巡り合わず暫く離れていたのですが、大学入学式当日に早稲田ケルト音楽サークル(ワセケル)というのがあるのを知り、いきなり小さい頃の思い出がフラッシュバックした感じでした。とても魅力的だったのですが、以前から大学に入ったらボランティアサークルで活動したいという思いがあったので、ワセケルには入会しませんでした。しかし、学校祭やその他のイベントでワセケルが演奏すると聞くと必ず足を運び、心に広がる見えない故郷を感じて楽しんでいました。
スウェーデンに留学した際は、ケルト音楽の生演奏を求め、アイルランドと北アイルランド行きを決めました。アイルランドはダブリンに滞在したのですが、2晩ともThe Old Storehouseで地元のミュージシャンの生演奏を聞いてからホステルの近くのパブでライブのケルト音楽のを楽しんでしました。ベルファストでは日中からケルト音楽の生演奏を行っているところが多くお邪魔しましたが昼間から満席です。確かその日は普通に平日だったはずなのに(笑)
(このネオンの光が輝くのは、ツーリストスポットのテンプル・バーエリアです。沢山のパブがあり、The Oldstorehouseもその一部です。)
(こちらはダブリンで滞在したホステルの近くにありましたパブです。フィドルとギターだけのバンドでしたが、2時間ぶっ通しで力強く演奏されていて圧倒されました。)
(これは実は人生初のアルコールです。この前の年の10月に20歳になって日本でもヨーロッパでも合法の年でしたが、なぜかアルコールを毛嫌いして全く飲んだことがありませんでした。旅の恥は搔き捨てなのか何なのかよくわかりませんが、頼んでみました。飲んでみました。苦く過ぎてもう少しで一生アルコール飲まないと決めそうになりました。結果パイントの7分の1しか飲めませんでした。)
そして遂に大学4年生の終わり頃、きっかけは覚えていないのですが、とてつもなくケルト音楽を聴いたり自分で演奏してみたくなりました。
そこで、一番手を出しやすいティンホイッスルという笛を買ってみました。勿論ピンキリですが、一番安いもので1600円程で買うことができます。金欠だったので私は一番安いものを買ってみました。
音楽には小さい頃から親しんでいたので、ドレミの出し方を学んでから何本か知っている曲を、暗譜で吹いてみました。結果、低い音はわりと出しやすいのですが、高い音はどうも出せずに裏返ってピーとなってしまいます。
笛のせいか、私が下手くそなのか、それとも想像した以上に難しく高度な練習が必要なのか、とあまりにも聞いていた音楽の様に演奏できることを期待していたのでかなり落ち込みました。
ある日気分転換に、そういえばケルト音楽のライブやってないかなと思い、ダブリナーズというアイリッシュパブでケルト音楽のライブを頻繁にやっているという情報をキャッチャし、さっそく直近のライブに足を運びました。それが、私のケルト音楽への熱を変えたターニングポイントでした。
場所はダブリナーズの新宿店でして、1995年に建設されたチェーン店の中でも最も古い店舗です。バンドの名前はSonoraと言いまして、4人のメンバーがフィドル、ギター、コンサンティーナ(小さなアコーディオンの様な楽器)、バウロン(ばちで鳴らして奏でる太鼓)そしてティンホイッスルの5つの楽器でケルト音楽を奏でています。
バンドの目の前の席が空いていたのでそちらに腰かけました。始まる前にバンドメンバーの方が何人かと親しげにお話しされていて、常連さんなのかなーと思いながら眺めていました。
そして始まりました。なんと懐かしい響きでしょう。Youtubeにアップロードされている録音されたのもとてもクオリティが高いですが、ライブはやはり力強さがあって心に訴えるものの迫力が違うなと感じます。時間を忘れて楽しんでいるうちにあっという間に第一ラウンドが終わってしまいました。
休憩中、先程バンドメンバーの方と演奏開始前にお話されていた男性の一人が私に話しかけてくださいました。とても気楽に、「アイリッシュ好きなの?と」(笑)。私は、はい、と答えタイタニックの話から経緯を話しました。一人で来ていたので話し相手ができて嬉しかったです。一方で彼はケルト音楽だけではなく、ケーリーというアイルランドの伝統的なダンスにも熱が入っていて、様々なイヴェントに参加していらっしゃるみたいです。
Sonoraさんとはダブリナーズだけではなく、他の場所でも長い付き合いがあるみたいです。彼は後にダブリナーズデ一番近しいライブ友達となりました。
彼と話しているうちに、バンドメンバーの方も徐々に話かけてくださいました。学生で来ているのは私だけで珍しかったみたいです。聞きますと皆さん大学からの友達で、普段は会社で働いてダブリナーズさんには毎月第三木曜日、他の場所でも時々ライブを行ったりしているみたいです。自分のキャリアと伴に好きなことを継続されているってとても素敵だなと思い、実際皆さんとても輝かれています。
何人かメンバーとお話ししました。
フィドルはSonoraさんの中では主にメロディーを担当していて、聡明な感じの女性が演奏されていました。彼女とはアカデミックな話をしました。ちょうどその際私が卒論作成で煮詰まっていて、スウェーデンのロマ民族に関して書いていると言うと、彼女は卒論で、音楽やダンスなどの芸術がもともとは差別された歴史を持つ民族によって発展を支えられた歴史に関して書かれたようで、面白い視点だと思いました。
コンサンティーナという楽器はこの時初めて拝見しました。アコーディオンの様ですが、こちらは右手で鍵盤を弾き、左手でひだのある幕の様な物を押したり引っ張ったりするのに対し、コンサンティーナは両手でいくつものボタンを押して音を奏でながら幕を動かして音の長さや大きさなどを調節します。説明が難しいです(笑)。こちらは優しい雰囲気の女性が奏でられていまして、女子大学生が聴きにくることがあまりにも珍しかったらしく、とても嬉しそうに話しかけてくださいました。
彼女は時々ティンホイッスルも演奏されるのですが、とても綺麗な音を奏でていましたし、楽器も何やら権威のありそうなものを使われていたので、ティンホイッスルの練習に関して聞いてみました。
そうすると、やはりどのティンホイッスルを使用するかというのはとても重要だということです。特に初心者は楽器がそれなりに良いものだと音も比較的簡単に良いものを作られるので、向上心が高まるとアドバイスをくださいました。ちなみに彼女が使われていたのはアメリカ製の黄土色の笛で、少し吹かせてもくださいました。沢山の練習楽曲が載っているサイトまで教えてくださり何から何まで感謝です。
バウロンを演奏されているのはこのバンドのリーダーの男性で、誰とでも気軽に話すことができるような人懐っこさを持つ様な方でした。毎月第三木曜日に新宿ダブリナーズでライブをやっているので是非と。
その日はとてもフレッシュな気分で帰宅し良く眠れました。
このひと時から数週間後が卒論とスウェーデンの院への書類提出の締め切りで人生で一番目に隈ができたのではないかというくらい根詰めてそれらに取り組みました。
そして何もかも終わってフリーダムな感じになって、新しく注文した笛で楽曲を演奏しました。この笛は高い音が出しやすく、やっとのことで好きな音楽が綺麗な高い音で奏でられた時、本当に嬉しかったです。コンサンティーナの女性に感謝です。
インスタグラムのティンホイッスル専用アカウントを設置して投稿してアドバイスをいただいたり、他のケルト音楽奏者からインスピレーションを受けたりしてスキルアップを目指していました。
それから毎月第三木曜日が楽しみで楽しみで、スウェーデンへ発つまで毎月皆勤賞でした。およそ半年だったのですが、更に沢山の常連さんとお友達になり語り合いました。
ある人は私がティンホイッスル真剣に練習していることを伝えますと、本場アイルランドでケルト音楽の大会があることを教えてくださいました。いやまだ全然そこまでのレベルではないんですが。またある人は珍しいことにハープを趣味で演奏する傍ら、リバーダンスという足を高速で床に打ち付けるダンスができたりとマルチだったり。
毎月1回木曜日の約3時間はまるでダブリンのパブにいる様で幸せでした。
スウェーデンに院で行くと報告した際皆さん温かい言葉をかけてくださったので、帰ってきたからと何事も無かったようにまたダブリナーズに顔を出すのは気が引けて、暫くはご無沙汰でした。
しかし彼のお誕生日が2月で何かサプライズをしたいと思った時に、なぜか思いついたのがSonoraさんの生演奏でした。久しぶりにコンタクトを取った際にも温かく歓迎してくださり大まかなプランを練りました。
そして当日、私はサプライズが上手くいくのかハラハラでした(というよりも彼がシャイなのでもしサプライズが重荷だったらどうしようという心配をすごくしていました(笑))が、Sonoraさんの演奏が始まると、その心配を無意識に忘れて、約半年ぶりにまたこの大好きな音を聞けていることに半泣きで感動しました。
サプライズは大成功で、彼はOne of the most memorable bds in my lifeと今でも時々振り返って伝えてくれます。良かったです。
それから彼もSonoraさんをとても気に入り、3月のサントパトリックスデーにはダブリナーズさんと他のパブのライブどちらにも一緒にお邪魔しました。彼はスコットランド出身なのでケルト音楽とは恐らく物心ついた時から親しんできたと思いますが、Sonoraさんの何が気に入ったかというとやはり私も思ったように彼らが心から楽しんで演奏して見えることらしいです。
残念ながら現在のコロナウイルスで最近の全てのライブが中止されています。何とか動画で毎日の様にケルト音楽を聴いて体がもっていますが、いつまで耐えられるでしょうか。一日でも早く収束する日を願います。そして全てのケルト音楽奏者とファンが以前の様な楽しいひと時を過ごせることを願っています。
最近たまたま見つけてはまっているバンドがありまして、シェアしたいと思います。Skipinnishというスコットランドのバンドで、Walking on the Wavesという曲を聞いた時、心が吹っ飛びました。あ、ちなみにシンガーはめちゃめちゃスコティッシュアクセントです。
最近そういえばティン・ホイッスルから離れていたのですが、このおうち時間を機会にまた練習再開しようかと思っています♪
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