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「君はこの研究室にはむいていない」と言われたら

 迷わず新しい研究室を探しましょう。それ一択です。受け入れてくれるよう交渉するよりも、むしろ、受け入れてくれる別の場所を速攻で探しましょう理由を聞いても納得いかないか傷つくだけです。あえて、忖度なしで考えられる理由をいくつか挙げてみましょう。

理由1:希望する研究テーマはその研究室ではできない

 これは、希望する研究テーマと研究室のプロジェクト・リソースとの不一致が理由です。極端な例ですが、植物の研究室で動物の研究はできないでしょう。ここまで極端ではなくとも、害虫に対する植物の応答を調べる研究テーマで、植物ではなく害虫の方を主に研究することも不一致に相当します。また、実験系の研究室なのに理論系の研究をやりたい場合も、指導できる人員がいないという不一致があります。韓国料理屋に入って、日本の精進料理を注文するような振る舞いをしていませんか?

理由2:研究室のレベルについていけないだろうと思われている

 留学生が多いような研究室では、公用語が英語である場合もあります。雑談など日常会話は日本語でも構いませんが、セミナーや論文紹介など、オフィシャルな場面では英語で発表・議論をするということです。そういう研究室では、英語が苦手な方は、ちょっと。。。ということになります。また、数値解析やシミュレーションを行う研究では、微分積分や統計熱力学、プログラミングが必須になるでしょう。ある程度の高校数学・物理の知識、PCスキルがいるのに「選択は生物と地学でした、PC? 触ったこともありません」という場合は、研究室に入ってから相当苦労することが予想できます。

理由3:研究室主催者または研究室メンバーが嫌がっている

 研究室主催者も人間なので、他人の好き嫌いはあります。「この学生とは相性が合わないなあ」と思うこともあるでしょう。ですが「あなたが気に入らないので、ウチの研究室にはきてほしくない」と、はっきり言う先生は、今どきいないと思います(いたらいたで、問題ですが)。また、博士課程まで確実に進学してくれる学生が欲しいが修士で卒業して就職する学生は取りたくない、ということかもしれません。教授の研究テーマをやる学生は欲しいが准教授や助教の研究テーマをやる学生は取りたくない、ということも考えられます。チームワークの必要なプロジェクトのため研究室内の和が重要視される場合、先生自身は特別問題は感じていないが、他の複数の研究室メンバーが嫌がっているのかもしれません。ですが、何が嫌なのかは、結局わからないことが多いです。皆いい大人なので、面と向かっては理由を言わないものです。

理由4:研究室主催者がいなくなる(研究室がなくなる)ことが決まっている

 内定状態なので公にはできないが、研究主催者が他の大学に異動するので、いま研究室に入ってもらっても困る、ということかもしれません。あまり知られていないことなのですが、日本の大学の人事制度は雇用関係において雇われる側が圧倒的に不利なことが多いです。内定通知書を送ってくれば良い方で、口約束状態で着任日に辞令を貰うまでは油断できません。なので、少数の身内を除いて公にせず、着任後に挨拶状で異動を知ることも珍しくありません。

研究室選びは恋愛と同じ

 よく言われることですが、研究室選びは恋愛と同じです。特に、実験系の研究室に入ってしまった場合、どうかすると家族よりも長い時間を同じ空間で過ごすことになるので、研究指導者や他のメンバーとの相性は馬鹿にできないものがあります。そのような「濃い」人間関係の中で、少なくとも、人間関係のトラブル無く日々を過ごせるかどうかは、研究がうまくいくかどうかと同じくらい大事なことです

 また、あなたは「研究室の選び方の罠」にハマっていませんか?興味の視野が狭くなってないでしょうか(罠その1)?研究以外の要因がないでしょうか(罠その2)?研究室主催者からの誘い(罠その3)は危険信号ですが、(やんわりとした)拒否も、ある意味、危険信号です。まともな指導をしてくれる中間管理職的な指導者がいるならまだしも、研究室に入って早々に「放置プレイを」受けることになるでしょう。

 繰り返しますが、研究室選びは恋愛と同じです。理由を知る必要はありません。あなたを大事にしてくれない(かもしれない)研究室に恋い焦がれない(執着しない)ようにしましょう

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