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白熱電球の価値
白熱電球の話題は以前、「焙煎機の技術的メモ2:焙煎機の照明、LEDで本当にいいの?」でもとり上げましたが、ここで四方山話としてもう一度書こうと思います。
私にとって白熱電球はとても重要な存在です。
白熱電球は19世紀後半に誕生し、20世紀半ばに登場した蛍光灯とともに20世紀の夜を照らし続けてきた明かりです。
白熱電球はLEDや蛍光灯に較べ消費電力が大きい(10倍以上)、寿命が短い(LEDの約20分の1)など、省エネルギーの時代を生き抜くには余りにもハンデが大きく、2010年代には国内メーカーすべてが白熱電球の生産を終了しました。(一部特殊なものは除く)
しかし、LED照明がすっかり普及した今でも、白熱電球が最も優れた点もあるのです。
それは「自然な色味」を表現できるという点においてです。
白熱電球の平均演色評価数(Ra)は100です。
つまり白熱電球は太陽光と同じ色味が表現できる光源だということを意味します。
これはLEDにも蛍光灯にもいまだに出来ないことです。
この強みは、焙煎前と焙煎後の珈琲豆の状態を確認し、欠点を除去する作業の際にその威力を発揮します。見やすさの上で白熱電球の右に出るものはありません。
そして豆それぞれの色の違いが分かり易いだけでなく、表面のテクスチャもはっきりと視認できます。
しかもチラつきがないので眼球への刺激も少ないです。
付記:実は白熱電球もフリッカー(チラつき)はあるのですが、交流電流の周期(関東50Hz、関西60Hz)にフィラメントの点滅が追いつかず、完全に消えてしまう瞬間が無いため、明るさの変化が穏やかなものになり、結果眼球への刺激が少なくなるものと思います。
現代の脱炭素社会一辺倒の風潮の中で、白熱電球を使い続けることを高らかに宣言することに後ろめたい気持ちも多少はあるのですが、それでも白熱電球に勝るLED(LEDではないかもしれない)が登場するその日まで、私は白熱電球を使い続けます。
きっぱり。
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