【精神病質パーソナリティ〈サイコパス=反社会人格障害〉と自己愛性人格障害の違い】
サイコパスは精神病質パーソナリティ(Phychopathic Personality)を指す用語です。
様々な研究者による定義づけが発表されています。
精神病質者とは、
非社会的・攻撃的で極度に衝動的な人物であって、
ほとんどの場合全く罪悪感を持たず、
また他人とも永続的な愛情のきずなを結ぶことが出来ないものをいう。
この言葉は精神医学の父とされるクレペリン,Eのパーソナリティ研究にまで遡ることができます。
古くからパーソナリティの異常を対象とした研究は存在していましたが、
クレペリンは1986年に、心理臨床の現場で得られた知見を通じて、
異常な人格である精神病質パーソナリティの分類を行いました。
そして、クレペリンによる精神病質をより詳細に記述したのがシュナイダー,Kです。サイコパスを
「本人が異常に苦しむ」もしくは「周囲の他者が苦しめられる」パーソナリティであるとし、
以下ような10類型を提唱しています。
なお、これらの類型は先天的な個性であるとされています。
シュナイダーによる異常性格の類型
発揚性:明るくて行動的だが、浮かれやすく思慮が浅い。
抑うつ性:自己否定的で物事を悲観的に考え、絶望しやすい性格。
自信欠乏性:自分に自信がなく、些細な悩みを抱えたり、しきたりや決まりにとらわれ強迫的な行動を示す。
狂信性:単一の思想や価値観に傾倒し、それ以外を排除しようとする。
顕示性:優れた人物として周囲から尊敬・注目を集めるためにどのような手も用いる。
気分易変性:気分が変わりやすく、ハイになったり抑うつになったりを繰り返す。
爆発性:衝動や怒りを抑えられず、短気で暴力的。
情性欠如性:感情表現が乏しく、周囲と親密になることが困難で幸福感が乏しい。
意思欠如性:しっかりとした主張ができず、周囲に流されやすいため、他人からの勧誘・誘惑にすぐ乗ってしまう。
無力性:意欲や行動力が乏しく、自分が重篤な病気でないかと不安を抱きやすい。
このシュナイダーによる異常性格の分類は現在のパーソナリティ障害の類型のベースとなっています。
また、サイコパス=反社会的人格障害という定義づけもあります。
・自己中心的
・権力主義者で支配欲が強い
・自尊心が強固
・自分の利益や満足感を追求する
・共感力が著しく低い
・人を傷つける行為(詐欺、脅迫、暴力、暴言等)をしても心が痛まない、罪の意識を感じない
・良心の欠如 ・人と親密な関係を構築する能力が低い
他に、サイコパスの類似概念として 反社会性パーソナリティ障害と定義づけもあります。
「攻撃的・衝動的で無責任な行動を繰り返す。
人を騙したり、犯罪を行う事に良心の呵責がまるで無い」 といった、
サイコパスのPPI-Ⅱ型に酷似した特徴を示します。
よく似た自己愛性パーソナリティ障害とは、
「自分の価値を高める為、賞賛をや注目を浴びる為に手段を選ばない」
反社会性と自己愛性の両者は
「他者への共感性の欠如や利己的で他人を利用する事に躊躇ない」
という共通点を持っています。
しかし、自己愛性パーソナリティ障害は
「賞賛を得るために不適応行動をとる」 という明確な理由があり、
反社会性パーソナリティ障害の持つ
「攻撃性や衝動性の表出は、社会的制裁を受けるような事件性のあるものにまで発展すること」
は通常ないという違いがあります。
サイコパスの判断には、 犯罪心理学者であるロバート・D・ヘアがまとめたPCL-Rが用いられる。 以下の20項目をそれぞれ0点~20点で評定し、 成人で30点を超えるとサイコパスと判断される。
【対人/情動面】
①口達者/表面的な魅力
②誇大的な自己価値観
③病的な虚言
④偽り騙す傾向/操作的(人を操る)
⑤良心の呵責
⑥罪悪感の欠如
⑦浅薄な感情
⑧冷淡
⑨共感性の欠如
⑩自分の行動に対して責任がとれない
【衝動的/反社会的行動面】
⑪刺激を求める/退屈しやすい
⑫寄生的生活様式
⑬行動のコントロールができない
⑭幼少期の問題行動
⑮現実的
⑯長期的な目標の欠如
⑰衝動的
⑱無責任
⑲少年非行
⑳仮釈放の取消
【どちらにも含まれない項目】
・放逸な性行動
・数多くの婚姻関係
判断基準と一つとして確認をしてみましょう。