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お年玉を一度も使ったことがない話。
小さな頃、毎年お年玉を貰っていたが一度も使ったことがない。
祖父母から結構な金額を貰っていたが、金額を確認しただけですぐ母親に取り上げられていた。
そのお金は使い込まれた訳ではなく、私用の積み立て貯金にされていて、成人してから渡されたのだが全く嬉しくなかったことを覚えている。
そのお金で助かったこともあったが、私が欲しかったものではなかった。
今でもお金を一度にたくさん使う時は怖くて仕方ない。
これは必要な買い物だから、と自分を必死に説得しないと高い買い物がとても苦手だ。
お子さんがいる親御さんからしたら、子供に高いお金で好きな物を買わせるのは怖いかもしれないが、是非とも好きな物を買わせてあげて欲しい。
きっとそうやってお金の使い方を覚えていくのだ。
冬休み明け、お年玉で何を買ったか楽しそうに盛り上がる友人達の会話に、私はついに一度も入れなかった。
高額な物でなくてもいいのだ。何か欲しい物が思いつかなくてもいいのだ。
自分の為に貰ったお金で、自分が選んだ好きな物を買った、という経験は、きっとお金にはかえられない大切な経験だと思うから。
こういう体験からも、自己肯定感は育っていくと思う。
この悲しくて苦い経験を、私はすっかり忘れていた。
まとまったお金を使うのが苦手なんだよな、ぐらいの自覚はあったが、どうしてなのかは分からなかった。
気が付いたのは、去年の年末のRTAを見ていた時。
私が子供の頃流行っていたゲームを見て、急に思い出した。
もしかしたら学校で、このゲームをお年玉で買った子がいたのかもしれない。
このゲームだけ、妙に拒絶感があるな?と感じてようやく気が付いた。
子供時代にお年玉をもらう期間はそんなに長くないと思うが、心の傷は何十年も残る。
後から考えたら結局、お年玉を好きに使っていた方がコスパがいいと思うのだ。
自分で好きな物を買ったり選んだりすることがなかったので、今でも好きなもの選んでいいよと言われると固まってしまう。
どうか私のような、悲しい思いをする子供が1人でも減るように祈るばかりだ。