九つのあなたへ
明け方 ぼんやりとした空気
肌を刺すいくつかの痛みの前で
今日も 変わらず 上り 沈む
ある一面だけの天体
身を包めと誘う 忘れろと説く
感覚を零下まで 解放できると
色も温度も移り変われば
小さな自分が 消えると信じた
永い記憶は 失われて
きっと 美しく羽化するのだ
凍えていた ひとりの夜を思い出す
皮膚の痛みと 寂しさの痛みの前で
その夜も 変わらず 上り 沈んだ
美しい姿を保つ
狂ってしまえと誘う 逃げろと説く
ほんのわずかな羞恥心を 捨てられず
色も温度も移り変われば
小さな命は すぐ消えるだろう
古い記憶は 忘れたかった
ただ 忘れたかっただけなのだ
選べなかった自分へ
今は 幸せを感じる時間もある
ただ 選んでいたとしても
後悔は 無かったと伝えよう
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2020年度に創作した詩
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有島緋ナとして、初めて有料で公開した詩のマガジンです。 作者である私がラジオ配信で朗読したものございますので、あらかじめご了承くださいませ…
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