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ずっと前 ブラウン管の向こうで 誠実に愛する姿を観た ほんの少し前 液晶画面で 底知れぬ美しさに目を見張った 2週間前 スクリーンを観に行こうか 迷った作品はまだで こんな自分が はるかに長くうつつに居て 猫を守りはじめたばかりなのに 憧れだった その人は 鬼籍へと移っていったらしい この椅子に座ったかもしれないから 今夜は 夢で見てみたい
呑めないままで 一生を過ごすと 損するよ それじゃだめだよ 今は言われないけど 視界に入っていないのはわかる
窓のレールでうたた寝する 小さなたれ耳 色違い 干した毛布で見えない外の 風を感じ 聞き耳を立てる 次に起きたら あそぼうか 自分の右手で腕枕 半眼
雲が消えて 真っ青に変わった お昼過ぎ 北西の空 毛繕いに余念がない 同じくらい 自分を大事にしよう
行ったことのない街みたい 知らない感情 わからない気持ち 言葉が通じないところなんて まるで そのまんまでしょ 噛み合っているつもりでいた たぶん 君も幸せだった もちろん 人生史上 もっとも輝いた時間を過ごしたんだ 理性的に 順序どおり 整理できた一日だった 持ち物も 生活道具も 思い出は 思い出に 本当は知っている横顔を 知らないふりで すれ違うよう 隣に誰かいたとしても きっと 塗りつぶすでしょ そのために 今日を決めた たぶん 運命の分岐点 もちろん 人生史上
どんな本が並んでいたのかな どんな間取りに住んでいたのかな 一度も行き来しなかった 生活を知らないまま お互い やさしかった 大好きだった 素敵な逢瀬ばかりで 忘れようがない 水族館へ行った マンボウのキーホルダーを お揃いで買って渡したけれど 一度も見てない 疑うとか 怒りとかじゃなく ただ 君にとってが不明 会いたいときに会えて キスも 軽く 深く 思いのまま 「今日までありがとう 綺麗だよ」 色が溢れる2年間の君は 誰?
今度はどこへ行く? 楽しそうな君 水族館 綺麗だったなあ ねえ、どこがいい? 楽しかったね 手を繋いだり 食事も美味しく食べられて 夜は欲望のダイブ
画面越しに 懐かしい火花 目の前で見たのは どれくらい昔だろう 君の手が持つ小さなアカリは この夏の全てだったんだ
夕方までは 晴れるらしい タオルで色とりどりの窓辺 隙間から 借景を見つめる 毛玉の背中が 視界の隅に 自分の中で アニソンの分類 どこかで聞いたような たくさんの音数 高いキー 落ち着かなくて「ストップ!」 いつもの温度に戻ったら 穏やかに 言葉を探す せがむ毛玉に まあだだよ 借景の位置へ 戻って行った お腹が空いて 冷蔵庫を開ける すぐに食べられるものは ない 寒天でコーヒーを固め 冷えたら 蜂蜜をかけよう 少し暑い9月 日曜の朝 室温が28℃になったら そ
廊下の足音より大きく 外の雨が響いている サイレンが遠ざかる 隣人の物音まで頼りない
空調が寒い ファストフードのソーシャルディスタンスも 少し関係があるのかな パソコンとスマートフォンと本 大体3時間を過ごすお供 ここから出てくるものを きちんと拾って 引き出しへ入れたい
明るい曲が流れている 混み合ったカフェのひとり席 会話は聞こえない 笑い声も 音楽と足音とガラスの音 妬みが ときどき襲ってくる 動きたくても がんじがらめ こんなに時間がなかったことが あっただろうか 今ごろなんだ