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【第14回】毎月300字小説企画『わすれていいよ』

こちらの企画の参加作品です。
2024年になったら参加しよう!と思っていましたが、普通にわすれていて2月からの参加になりました。


『わすれていいよ』

テーマ:忘れる
作:やまこし

「エリちゃん、帰ってきたね」
「うん、君は今日も期待してるんだね」
「もちろん。最後にお話ししてから三七六八日経つけど、三七六九日目にまたお話ししてくれるかもしれないでしょ?」

ピョン太は呑気だ。
ぼくは知っている。次にエリちゃんと話せるときは、エリちゃんとお別れする時だ。

「ねえ、ポチ太。エリちゃん、この箱開けようとしてない?」

こんなに近くで声を聴くのは久しぶりだ。ぼくらは、全身の神経を綿に集中させる。

「ママ、この箱だよ」
「本当だ。この子たちとはもうさよならかな?」
「ねえみて!ピョン太!」
「よく覚えてるのね」
「うん、ピョン太のことは、忘れるわけないよ」

ぼくは覚えている。
さよなら、エリちゃんとピョン太。

(了)

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やまこし
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