自由って意外と不自由だと感じた話~noteがきっかけで来たお仕事
フリーライター&イラストレーターの陽菜ひよ子です。
このnoteには、自分が今まで手掛けたお仕事について書いています。それを時系列順にまとめたマガジンがこちら。
自分の備忘録であると同時に、これからイラストや文章の仕事をしたい人に、何かしら参考になるとよいなと思い、記録。
意識して「学びになること」を入れているので、よかったら最後までお読みくださいね。
名古屋市のクリエイター支援事業「ナゴヤ・アーティスト・エイド」
このお仕事が来たのは2020年夏。コロナ禍になって最初の夏です。
当時、国や自治体がさまざまなクリエイター支援のプロジェクトを発足。名古屋市のナゴヤ文化芸術活動緊急支援事業「ナゴヤ・アーティスト・エイド」もそのひとつでした。
参加作品『みんなの教科書 ナゴヤ・アーティスト・エイド篇 - NAGOYA ARTISTS AID』に私のイラストが登場しました。
当時はyoutubeに動画が上がっていましたが、今は役目を終えて削除されています。
動画では名古屋の名所が一風変わった視点で紹介されています。わたしのイラストは2点。
上の爆発は、ステーキハウス・あさくまのロケ。あの『西部警察』で渡哲也さん演じる大門団長。レイバンのサングラスは彼のトレードマーク。
ということで、似てますかね?
てつさんからのご依頼
このお仕事、noteでもご活躍中の動画クリエイター・てつさんからのご依頼でした。1年以上交流していましたが、まさかお仕事をいただけるとは。
てつさんのご依頼にあたって、ちょっと戸惑ったのも、いい想い出話。
通常、イラストの仕事は、以下の要素がセットになっています。
今回でいえば、目的は動画内に挿入するイラスト。建物の爆破やハードボイルドな男性など、結構激しい感じになるのは想像できました。でもそれは自分の感覚なので、そこをもう一歩突っ込み、相手のイメージを探ります。
でもてつさんからは「おまかせします」の言葉・・・
イラストの仕事をしている方なら、この「おまかせ」は危険なワードだとわかります。
慣れてない方は「え?なんで?好きに描いていいんなら、言うことないじゃない」と思うかもしれません。しかし、それが落とし穴・・・
「おまかせ」といっているとき、相手の頭の中には明確なイメージができていないことが多いのです。そして、描き上げたものを見て「う~~ん、なんか違うんだよね」といわれてしまうのです・・・そこからは延々と修正の嵐。
このような地獄行きを一度でも味わった人は、「おまかせ」といわれた時に思わず身構えます。
てつさんの意外な考え
てつさんは錚々たるプロ。今までにイラストを依頼した経験も豊富なはず。そこで「てつさんの中にあるイメージを、できるだけ細かく伝えて欲しい。そうでないと、イメージと違うものができるかもしれない」と率直に伝えました。
するとてつさんからは意外な答えが。
「自分は陽菜ひよ子さんというアーティストから出てくるモノが見たいんです。それが自分の想定とは違っていてもかまいません。いやそれだからこそ、見てみたいんです」
もうびっくりしました。
「イラストレーター」とは、自分の好きに描いていい職業ではありません。相手の要望に沿って、制約の中で作品を仕上げるのがイラストレーターの仕事。
てつさんの言う通り、自分の中から出て来るものを形にするのは「アーティスト」です。
自由って意外と不自由
てつさんの「おまかせ」は本当の意味での「おまかせ」なのだとわかりました。じゃあ喜ぶべきかといえば、単純にそうとも言い切れません。ずっと制約のある中で描いて来たわたし。
自由に描いてって言われると、どうしたらいいのかわからない。わたしの中からって言われても・・・わたしって何?
どれほど悩んでも、自分では「自分らしさ」はわかりませんでした。
最終的には「いつものように描く」ことが、結局は「自分らしい」のではないか、と考えました。
結局、いつもの「イラストレーター・陽菜ひよ子」のイメージ、タッチで描きました。
てつさんには満足していただけたようで、よかった。わたしにとっても、いい経験になりました。ありがとうございます!