世界一美しい鳥を見に行く旅。
本日はお題 #旅とわたし で書きます。
みなさまは、「コスタリカ」という国にどんなイメージがあるだろうか。サッカーが強い、くらい?もしかしたら、どこにあるのかすら知らないという方がほとんどなのではないか。
コスタリカは中央アメリカ(中米)にある。中米とは、北米と南米の中間(当たり前)で、北米のメキシコと南米のコロンビアの間にある7つの国を指す。コスタリカは北にニカラグア、南東にパナマに隣接し、パナマを超えるとすぐに南米大陸である。
私は2008年12月にコスタリカを旅したのだけど、ほんの半年前ですら、まさか自分がコスタリカどころか、中米に行くとは想像すらできなかった。
コスタリカはどうでしょう
結婚するときに、オットが言った。
「新婚旅行に、世界一美しい鳥を見に行きませんか?」
ペンネームの陽菜ひよ子からもわかるように、私は鳥好きである。
でも恥ずかしながら、「世界一美しい鳥」というものの存在を知らなかった。その鳥はかの有名な手塚治虫の「火の鳥」のモデルだと言われており、古代マヤ文明の守り神でもあるという。
ちなみに「世界一美しい鳥」ケツァールってこんな鳥。
とってもかわいらしいが、こんな顔してこいつはオトコなのだ。
ケツァールの写真を見て、「こ、これはかわいい!見たい!」と思った私は、一も二もなく快諾し、鳥好きな私のためにそこまでしてくれる彼に感動したのだった。
実はコスタリカには、彼の大好きな「水曜どうでしょう」でもケツァールを見に行っており、彼にとっても私にとっても「聖地巡礼」(?)という非常に好都合な旅なのであった。
しかし、コスタリカはそんな甘っちょろい考えで行くにはなかなか過酷な国だったのだ。
ガイドは森男、ではなくフリオ
私たちは運が良かった。というのも、コスタリカに行くには、TACA航空という航空会社を利用するのだが、何とその代理店に友人が勤めていたのだ。
当時コスタリカのガイドブックは、私の知る限り「地球の歩き方」一冊しか出てなかったのだが、その監修・執筆がその会社の社長だった。
そんなわけで、友人に旅をコーディネイトしてもらい、現地でガイドを雇い、四駆で旅をするという、なかなか素敵なコースが決まった。
ガイドのフリオは、日本人からは森男と呼ばれるくらい森に精通しており、日本からテレビ取材が入る時には必ず頼まれる人物だとのこと。森の奥深くに棲むケツァールは、必ず見られるとは限らないと念を押されたが、10日間の旅でチャンスは3回、森男がついてるから大丈夫な気しかしなかった。
これがフリオ。一番好きな鳥はハチドリ(ハミングバード)。
ワイルドな風貌に似合わず気のやさしい彼にはハチドリも心を許す。
さぁ、いよいよ出発だ!
遠い遠いLAを経由してさらに5時間!
コスタリカへは、日本から直行便は出ておらず、アメリカ国内の都市を経由せねばならない(2008年当時)。LAまで約10時間。そこで半日以上時間をつぶして、さらに5時間で、ようやくコスタリカの首都・サンホセに到着。
途中LAで見た美しい夜景。
セロ・デ・ラ・ムエルテで本物の冒険を味わう
最初に滞在したセロ・デ・ラ・ムエルテの宿の暖炉の前には、たくさんの長靴が並んでいた。宿の主人は、私たちのスニーカーを見て「そんなのじゃ全然ダメだ」と長靴を指さす。翌朝、ケツァールを見るための散策に出かけて、そのわけを理解した。
行くのは、ほぼ崖。しかも、そのうち長靴ごと泥にズボズボとはまり出す。
前を行くフリオの言葉「リアル・アドベンチャーだ」。
納得。ホントその通り。
そしてこれは、もはや、道なのか・・・???森男が遠い・・・
そんな苦労の甲斐あって、最初の2回の散策でケツァールのメスとオス、両方見られた。あともう一回ケツァールを見られる最後のチャンスは最終滞在地のモンテベルデを残すだけだ。
鳥の棲む国はやっぱり豆の国でもあった
ここで、コスタリカの料理についてお話しようと思う。地球の裏側に近い場所に行くのだから、随分食文化も違い、さぞかし食べるものには苦労しそうだと行くまでは心配していた。しかし、コスタリカのポピュラーな料理「ガジョ・ピント」は、意外にも日本人の口に合う味をしていた。
この左下の米料理が「ガジョ・ピント」。何が一番近いかと言えばズバリお赤飯。黒っぽい豆と一緒に炊いた赤黒いご飯なのだ。
朝はこれに数枚の焼いたパン、卵料理にプランテーン(大型のバナナを焼いたモノ)というのが定番。昼や夜もガジョ・ピントは大抵出てくる。それでも私たちはまったく飽きずに毎食おいしく食べていた。
フリオが気を遣って、イタリアンやペルー料理などに連れて行ってくれたのだが、正直、私たちはガジョ・ピントの方が口に合った。フリオが言うには、ガジョ・ピントは缶詰が売っていて、それと米を一緒に炊けば誰でも同じ味になるんだそう。道理でどこで食べても同じ味でおいしかったわけだ。
レストランで朝食事をしていると、こんな風にテラスに鳥がやってきたり。
鳥好きには最高な毎日。愛嬌いっぱいのハナグマもかわいかった。
世界で一番美しい鳥
最終地のモンテベルデでも、無事ケツァールは見られ、3回のチャンスをすべてモノにできた。残念ながら手持ちの一眼レフでは距離が足りず上手く撮れなかったので、コンパクトカメラを使ってデジスコ撮影したのがコチラ。
ケツァールはマヤの守り神で、見た人に幸福を呼ぶという言い伝えがある。
これをご覧になられた方にも、ご利益がありますように。
フリオは2日目くらいに、オットに向かって「ゆうさんはボクのお友達」と片言の日本語で言った(オットは年上男性からなぜか愛される)。どうやら、私たちのことを気に入ってくれたらしい。帰りに「今度はきみたちがガイドになって、日本のお友達を連れてきてください」と言ってくれた。
それが10年経った今も果たせていないのが悔しい。
森男の正体
フリオは動物に詳しくて、ケツァールの鳴き声や、好物のリトルアボカドのこと、ハチドリのことなど、いろんな話を聞かせてくれた。コスタリカは両生類や昆虫を含めると、世界一多くの動物が見られる国。本当にたくさんの動物がいて、野生のイグアナもナマケモノも見た。牛もアヒルも犬もいたけれど、なぜか猫は一度も見かけなかった。
フリオが日本のNHKの取材班を連れて、水の上を走れるトカゲ・バジリスクを撮影したというのに驚いて「それ、私見た!」と言うとフリオはすごく喜んだ。どうやら日本のテレビ取材をガイドするというのは本当らしい。
さて、帰国して何年も経ってから、私たちは偶然あることに気が付いた。
なんと、フリオ、私たちが旅行した2008年に「イッテQ」にも登場していたのだ。当時は見損ねたが、たまたま視聴する機会があった。ご覧になった方ならわかるが、イモトにスカンクを投げつけたり(?)とお茶目なガイドっぷりのあの野性味あふれる男性がフリオその人である。
動物学者だったんだね・・・
フリオの正体をはじめて知った私たちであった。
色々物議を醸しだしているこの番組だけど、私はかなり好きだし、フリオは本物の「森男」だったことは、ここで強く伝えておきたい。
コスタリカは、豊かな自然を資源とした観光立国で、登場したモンテベルデなどは国立公園となっている。駆け足で書いたため、まるで山しかないように見えそうだけれど、首都のサンホセはとっても都会であるし、コスタリカは中米一豊かだと言われている。
ここに記した以外にも、本当に魅力のある国なので是非機会があれば行ってみてほしい。(ちと遠いけどね)