その人の書く文章と、実際に会った時の印象が違うなって感じること、割と多いように思います。ネットで長く付き合った相手とオフで会う(今はこういう言い方しないかな)機会の増えた昨今ならでは、かもしれません。
しなやかで軽やかな印象
Bar Bossa林伸次さんの小説の文庫版「恋はいつも なにげなく始まって なにげなく終わる」が発売されました。
私の感想等はまた改めて書くことにして。
文庫版発売にあたり、募集されていた解説文に選ばれた日野笙さんと林さんのやり取り、とても興味深いです。
林さんも日野さんも、お互いに「文章と印象が違う」と感じたのだそうです。林さんの日野さんに対する印象は明かされていませんが、日野さんは林さんに対して「想像より軽やか」だと述べておられます。
ええっ!林さんはあの文章より軽やかなの?
これはかなり私には衝撃でした。私の中では林さん=渋谷の都会の夜をしなやかに、優雅に軽やかに泳ぐ大人の男性、というイメージ(すみません、林さんとは同じ年なんですけどね、私)。
軽快でソフィストケートされてて、嫌味なところが少しもない。きっとお店での林さんの接客も、この文体を彷彿とさせるものなのだろうなぁ、と勝手に想像しているのでした。
もちろん、文章通りのイメージの人と会うことはめったにないことは私も承知しているので、違うことは予想していましたが「軽やか」というのは「ええ?そっち?」という感じ。
敬体と常体
林さんの文章が軽やかなのは、あのやさしい語り口調のせい、だと思います。語尾が「ですます調(敬体)」ですよね。
林さんの文章って不思議で、単純に敬体、というより、林さんがバーカウンターの向こうから、やさしく話しかけてくれているような気持になるんです。
もし林さんが「だ・である調(常体)」で書かれていたら、全く違った印象になると思うのです。
この敬体と常体のどちらを使うかは、悩ましいところです。noteのように自分で好きに書く媒体の場合は、どちらを選んでもいいのですが、ひとつの記事に敬体と常体を混ぜないのが基本。
どちらが書きやすいかと言えば「その人の書くものによる」ので、一概には言えません。今私が書いているような「考察コラム」については、常体の方が書きやすいとされています。
というのも、敬体には語尾のバリエーションが少ないので、文章に変化がつけづらいのですよね。
私はnoteは自身の文章の鍛錬の場だとも思っているので、あえてどちらかに限定せず、そのときどきによって文体を変えています。自分に対する印象を固定化したくない、という意図も少しだけあります。
敬体と常体、私の使い分け
仕事で書く場合は、その媒体によって変えます。
拙著「ナゴヤ愛」やその後中日新聞に寄稿したコラム「ほんの裏ばなし」では常体で統一しています。
常体を選ぶ理由はいくつかあります。
・断定しやすく、強い印象を残しやすい
・語尾のバリエーションが多いため、変化に富んだ文章になる
・文字数が節約できる
特に紙の媒体の場合、最後の「文字数が節約できる」というのは大きいのです。1時間くらい取材をして、起承転結のある記事1500~2000文字くらい(「ナゴヤ愛」の場合)に落とし込むって、実は結構大変なんですよね。
特にどの話もいい話ばかりで削れない!ってとき。
たとえば上記文章を常体で書くと
特に紙の媒体の場合、最後の「文字数が節約できる」というのは大きい。約1時間取材をして、起承転結のある記事1500~2000文字程度(「ナゴヤ愛」の場合)に落とし込むのは、実は結構大変なのだ。
で10文字削れます。これが結構大きいのです。
文字制限のないnoteに書いたら、5600文字もの大作になってしまったのが、以下のインタビュー。
お陰さまで「そんなに長く感じない」とは言っていただいております。インタビュイーの編集長の魅力で「読ませて」くれるとも言えます。(感謝!)
同じく仕事で書いているコラムでも、中日新聞の広報誌に連載している「ナゴヤ愛はどこにある?」は敬体で書いています。
このコラムについては、前任の方も敬体で書いておられたので、それに習った、ということもあります。
いちばんの理由は、掲載誌が全体的に固めで、その最後に私のゆるいイラストが登場して「ちょっとホッとするページ」という役割(だと自分では思っている)なので、やわらかく読みやすい敬体を採用しています。
文字数1300文字前後なので、かなり心を鬼にして削らねばなりませんが。
漫画ブログを読んだ人からの印象
このnoteもお陰さまでそこそこたくさんの方に読んでいただいていますが、自分史上一番盛り上がった自己メディアは、10年くらい前にアメブロで書いてた漫画ブログです。
当時は東京に住んでいて、3ヶ月に1回くらいの割合で、都内のギャラリーなどで展示をしていたのですが、ブログの読者さんがすごくたくさん遊びに来てくれて。
その時聞いた印象が漫画になっていました!
・・・どうやら、私はマンガより実際の方が子供っぽいらしいです。
このマンガ、登場するのは全員ひよこ。
王冠をかぶっているひよこが私(ぴぴちゃん)で、その私に向かって「(キャラクターの)ぴぴちゃんより、(描いている)ひよ子さんのほうが子どもっぽいですね」と言っているわけです。ややこしい。。。
マンガに関しては、基本のエピソードは実話でも、面白くするためにあえて「実際には言いそうにないこと」を登場人物(主に私とオット)に言わせたりもしていました。
だから「思ってたのと違う!」というのは当然だな、と思います。
不思議なのは、なぜか「人生相談」みたいなのをされることが多くて。
どうやらWebを通すと、私はすごく「モノのわかった人」「頼れる人」という印象になるみたいです。でも実際には結構「幼児性がある人」だと自分でも思います。
祝・初講演!
そんな私ですが、な、なんと、地元愛知県にある安城市で講演を行うことになりました。ここではどんな印象を持たれるのでしょうか?
安城市は、新幹線の「三河安城駅」のある街です。「ごんきつね」などで著名な新美南吉(愛知県半田市出身)が、青春時代を過ごした街としても知られています。
自著を語る その9 陽菜ひよ子『ナゴヤ愛 地元民も知らないスゴイ魅力』
http://www.library.city.anjo.aichi.jp/event/2021zicyowokataru.html
日時 2021年10月2日(土)
時間 14:00~16:00(開場13:30~)
会場 アンフォーレ本館(3階健康支援室・講座室)
〒446-0032 愛知県安城市御幸本町504番地1
対象 一般(高校生以上)
定員 30名(先着順)
申込み 2021年9月4日(土)9:00より申込み開始
①氏名 ②連絡先 をお知らせください
電話:0566-76-6111(平日9:00~20:00、土日祝9:00~18:00、火・第4金は休館)
FAX:0566-77-6066
メール:tosyo@city.anjo.lg.jp
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