淀んだ空気が肺を侵食していた 重い足を引きずりながら外へ出る 電車に揺られる憂鬱 もて余す時間 たどり着いた場所は 懐かしい通学路 満開の桜 散る花びらを手のひらに誘う 穏やかな風が頬を撫で 誘われるように見上げた空は 抜けるように青かった
貴方がいない長い夜は 心細くて 恋しくて 自分の膝を抱えて ただ時が過ぎるのを待つ 眠るには早すぎて ぼーっとテレビ画面を眺める 情報なんて一つも入ってこないのに 早く帰ってきてね 無事に帰ってきてね ただ願うことしかできなくて 顔を見る瞬間まで 不安な気持ちに苛まれ 長い長い夜が明けたその先の 貴方に触れる瞬間を 待ち焦がれるのです
願い、祈る 私の小さな世界の幸せを 大きな世界の幸せを あなたと一緒にいたいから 平和であれと叫び続ける 晴れた日に日向ぼっこする幸せ 雨の日に読書をする幸せ 美しい月夜に夜空を眺める幸せ 温かい食事をする幸せ 大切な人を大切にできる幸せ 全ての幸せを 余すところなく味わい尽くして死にたい
呼吸をする度に情景が浮かび おしゃべりをするように文字を紡いだあの日々 書くことが生きることだったあの日々よ どうか遠くへ行かないでほしい 画面を前にした私は ただ白いキャンパスを見つめ 真っ白な思考の海から 小さな文字の一つを探し泳いでいる
蓮の花を見た お釈迦様を連想し 天国に焦がれた 生きることは苦しい 死ぬことは怖い なぜ生まれてきてしまったんだろう 答えのない問いかけを繰り返し 疲弊する日々 一輪咲いた蓮の花の 溢れる生命力を眩しく思う 強くなりたい 強く生きたい それがたまらなく難しくて 今日も私は蓮の花に焦がれるのだ
花は甘い。 蜜の味がする。 大地の力をいただき、私は生きている。 退屈な箱庭。 幾度となく繰り返したチェス。 退屈すぎてあくびが出るけれど、私の根は地面の奥深くまでしっかりと張っていて、ここから出たら死んでしまう。 二人でここから逃げよう。 花は私が育てるから。 手を取り合って箱庭を出る。 汚い空気に肺が悲鳴を上げた。 血を吐き倒れる私。 あの子は泣いて、私も泣いた。 二人きりで生きられたあの箱庭に帰りたいけれど、もう力がない。 そば
リハビリがてらSSを積極的に投稿していけたらと思っていますが、ちょっと自信はないです。
雪 ふと目が覚めた。遮光カーテンを締め切った部屋は薄暗く、うすぼんやりした意識でスマホの電源を入れる。 6時35分。アラームを設定している時間よりも25分も早い。 もう少し寝ようとごろりと寝返りを打つ。布団が少しめくれ、むき出しになった肩に感じた空気の鋭い冷たさにぞっとした。 そういえば、夜にかけて雪が降ると天気予報で言っていたような気がする。 気になった私は意を決して起き上がる。上半身を包む冷気にめげそうになりながら、厚手のルームソックスを履き、上着を羽
宝塚観に行けました!
スポットライトで煌めく瞳 指先が魅せる星の瞬き 甘く囁く愛の言葉 全てがこの胸をときめかせ 止まっていた時間が動き出す 覗き見た世界は極彩色の輝き 一枚の鍵を手にして この扉を開け放つ あぁ、この世界はなんと眩しいことか! 魅了してやまない星々 止まらない拍手 幕が下りるその瞬間まで 華やかな夢を見た
頭がなかなか創作に向いてくれなくて困っています😢
「さようなら」 淡雪のように彼女の身体が溶けてゆく。 指先が、顔が、どろどろと溶けてゆく。 僕が望む間だけ、彼女はそばにいた。 世界を憂い、その身を散らした後もそばにいてくれた。 彼女の愛は真綿のように温かく、柔らかく、僕の首を絞めていた。 僕が望まなくなった一瞬の隙に、彼女は消えてしまうのか。 彼女は二度死んだ。 二度目は僕が殺した。 彼女を失い大海に解き放たれて初めて気づく。 彼女は僕の湖だった。 そして僕は淡水魚だった。
スポットライトで煌めく瞳 指先が魅せる星の瞬き 甘く囁く愛の言葉 全てがこの胸をときめかせ 止まっていた時間が動き出す 覗き見た世界は極彩色の輝き あぁ、この扉を開け放ちたい 鍵は幻の姿をしていて 手のひらからこぼれ落ちていく あぁ、この世界に飛び込みたい 願いは今日も叶わないのだけど
アニメ「かげきしょうじょ!!」をアマプラで見て、激しく宝塚歌劇が観たくなりましたがチケットが買えません。悲しい。
背中に砂の柔らかさを感じ 腹に水の重みを感じ 水底に横たわる身体 遠い地上の光りがゆらゆらと揺れ 伸ばそうとした腕は 水の重みに抗えない 目蓋は熱く ゆるゆるとまばたきをする度に 体液が水に解けていく 誰も気づかないで 誰も思い出さないで 悲鳴に似た祈りを 重たい水が抱き締める 早くこの二本の足の爪先から 燃え上がる火柱のように 泡となって消えてほしい 私のいなくなった世界は きっと今より煌めいて(色褪せて)いるから
藍色の空の裾が オレンジに染まる頃 革靴の音を響かせて 貴方は行ってしまう 手を振る私 貴方は微笑み 私の真似をする 長い長い時間を共に過ごす約束が 私たちを守ってくれるから 遠ざかる貴方の背中を見つめて 明日を想うことができるのです