自動車整備アラカルト
自動車整備アラカルト01
こんにちは。自動車整備アラカルトへようこそ。
元自動車整備士である著者が自動車整備の経験をつづります。
まず第一回目は、私が経験してきた整備の内容をご紹介したいと思います。
私は1970年代半ばに生まれ、工業高校を卒業してから1990年代後半に自動車業界に入社しました。まず高校卒業後5年ほどで2級整備士を獲得します。
エンジンを中心とした整備に明け暮れた日々でした。
タイミング・ベルト交換、ウォーター・ポンプ交換、発電機交換、オイル漏れ・水漏れの修理、タペット調整、クラッチ交換などは元より、エンジンのオーバーホールなども行いました。
電気関連では、ディストリビューターのポイント調整などと呼ばれる接点の調整なども熟練者に習い、行いました。
気が付くと毎日エンジンに取り付いている日々でした。
もちろん吸気・排気系などの整備もあるのでエンジンばかりではないのですが、かじりつくほどやっていた覚えがあります。
タイミング・ベルト交換
クランク・シャフトの駆動力をエンジン上部のカム・シャフトに伝達する重要なベルトです。
ゴムとガラス繊維でできている丈夫なベルトです。日本車ではおよそ10万キロで交換する部品です。構成部品はタイミング・ベルト、アイドル・プーリー、テンショナー・プーリーで構成され、メーカーによってはテンショナーと呼ばれるベルトの張力を自動で調整してくれる部品が付きます。ここ最近の車種は、タイミング・チェーンと呼ばれる金属製の部品が使われるようになってきています。
タイミング・ベルトと同時に行われるのが、クランク・シャフトとカム・シャフトのオイル・シールの交換です。オイル・シールはシャフトとブロックのすき間を密封してくれる役目を担っていて、経年劣化でゴムの柔軟性を失い、エンジンオイルが漏れる原因となります。
タイミング・ベルトの交換時にオイルが漏れている場合が多いのでよく交換しました。
ドライバーやラジエーター・ホースリムーバーと呼ばれるアイスピック状のツールや専用のリムーバーツールを使ってオイル・シールを外したものです。
ウォーター・ポンプ交換
エンジンの冷却に重要なポンプです。最近では電動タイプも出ていますね。
タイミング・ベルト交換時やVベルト交換時にウォーター・ポンプの交換もよく行いました。シャフトのシール部から水漏れがある場合やガタ、異音がある場合もよく交換しました。
ほとんどのウォーター・ポンプが非分解式で異常が見られれば、アッセンブリで交換です。
同時にパッキンも交換です。パッキンはエンジンブロックにしっかり張り付いていて、スクレッパーではがすのが大変でした。
発電機交換
ダッシュ・ボードに充電異常のランプが付いたり、過充電や充電不良が考えられる場合に交換しました。小さいのに重いです。まれにシャフトを支えているベアリングが摩耗して異音を発生させている場合もありました。車歴が長い車ほどその傾向がありました。
オイル漏れ、水漏れ
経験してきた中で必ず行ったのが、オイル漏れと水漏れでした。オイル漏れの大半はオイル・シールの劣化で、水漏れは密封不足と冷却部品からの穴あきでした。
オイル漏れの原因は経年劣化とオイル交換時期の長期化によるものが原因でした。オイル交換を長い期間怠っていると前述したようにオイル・シールの柔軟性がなくなり、オイル・シールが固くなって油道が形成され、オイルが染みでてきます。オイル・リーク剤なども一定時間は効果がありますが、最終的には交換が必要です。
水漏れは、シール部材の劣化、ホース類の劣化、外部的要因による損傷や冷却水の未交換によるイオン化が原因で部材から漏れ始めるなどがあります。
オイル漏れ、水漏れで厄介なのが、複数個所が同時に発生している場合です。
あっちもダメ、こっちもダメなど重症なケースもあります。もちろん修復には時間と部品が必要です。
タペット調整
ガソリン、ディーゼル・エンジン共に行った整備です。この調整は、吸気・排気をつかさどるバルブと呼ばれる部品がエンジン上部に付いています。これが開いたり閉じたりすることでエンジン内部の吸入空気と排気ガスが出入りするようになっています。
このバルブはエンジンの熱によって伸び縮みする傾向にあり、機械的すきまを人間がゲージと呼ばれる器具を使って調整する必要があるのです。これをタペット調整と言います。
主にエンジンが温まった状態で行う作業です。
これを行うとエンジンの静粛性やバルブの開くタイミングの精巧さにつながります。
クラッチ交換
エンジンとミッションに滑らかに動力をつなげる装置です。
クラッチ・カバー、クラッチ・ディスク、レリーズ・ベアリングの3つを同時交換します。
これも重要な作業でした。クランク・シャフトのミッション側のオイル・シールもオイル漏れも同時に起こっている場合があり、クラッチ交換時にフライホイールも外してオイル・シールを交換したものです。
ミッションは外すよりも、取り付ける事の方が大変でした。クラッチ・ディスクの中心がミッションのインプット・シャフトと合っていなければならないで慎重に行う必要がありました。
エンジン・オーバーホール
いわずと知れたエンジンを完全に分解する仕事です。
市場にエンジンがない場合、また値段が高い場合に行いました。
ピストン交換、ピストン・リング交換、クランク・ジャーナル・ベアリング交換、エンジン・ヘッド、シリンダブロック研磨などを行いました。
これらの整備を各タイトル化してお届けしたいと思います。