あしもとの小さな宇宙
キセルガイをごぞんじだろうか。
長さ3センチほどの、たてながの渦巻きの貝がらをせおう、かたつむりだ。
彼らはブロックベイや、木の上にはいない、
落ち葉の下にすんでいる。
私がこの貝にであったのは、少し前まですんでいた農業の町だった。
民家の垣根の、木がしげっている下は、蓋のある排水溝があり、そこに落ち葉が少しつもっている。
ある雨の日、そこを通ると3センチほどの貝がわらわらとはっぱの上を這っていた。
めずらしいかたつむりだ、と、私はうれしくなり、当時、かたつむりの好きだった息子と一緒に、それを2匹もちかえった。
彼らの生息地は不思議であった。葉っぱが毎日おちているのに、積もってじゃまになったことがないのだ。
それは、このキセルガイたちが、はっぱをたべ、分解して土にするという、微生物の役割をしていたからだった!
落ち葉の一番下は、土のようになっている。
こんな小宇宙が近所に展開されているなんて!
子供に、自由研究にしたらどうかとすすめたが、興味がなかったらしい。
ので、私的、世紀の大発見を、ここに書いているのである。
丸いかたつむりと同じく、彼らは環境の変化にとても弱い。だから、子孫も、子供の形で生まれてくる。
プラケースの中でも、彼らは遺伝子情報のままに子孫を残し、現在、私は二代目を飼っている。
老眼鏡をかけても見落としそうなサイズから数年かけて、ようやく3センチになった。
彼らを眺めながら、あの町の、あの小さな宇宙におもいをはせる。
いつも、ロマンをありがとう。
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