自己愛とアスペルガー
結婚後、夫は定期的にモラ夫になり、イラ夫になる。
これはモラハラ気質?自己愛?が、一般的に語られるそれよりもやや軽度だからなのか、それとも、モラハラかつ自己愛の強い人によく見られることなのか、身近に夫しかそういう人を知らないのでよくわからない。
ただ、仕事柄、発達障害を抱える人や子どもたちに関わることが多いので、彼らがストレスに非常に弱い、ということはわかる。夫も結局、調子よく生活している時はいいのだけれど、ストレスがこんでくると、もともとの困った気質が表にどーんと出てきて、コントロール不能の状態に陥るということなのだろう。
ここ半年ほど、夫の言動はあまりにも異星人的で、恐れてはいたけどとうとう全く話が通じない人になってしまった。という印象。自分が調子のいい時は優しくにこやかで、そうかと思えばあくる日は口も聞かない。
4ヶ月ほど前、その言動に手が震えてくるくらいの怒りを感じてしまったことがあるのだが、そのとき、とある縁から自己愛性人格障害に詳しい方に相談する機会があった。
夫自身のこと、私との関係、結婚に至るまでのこと、結婚後のことや家族との関係など、これまでに感じた違和感や、意味不明の発言などを説明すると、こんな回答を得る。
「ご主人は、アスペルガー症候群か、それに近いものがあるのかもしれません」
夫は共感性がなく、自分の趣味や好みは絶対で、悪い点を指摘されても無視。たとえば深夜の騒音。ギターを掻き鳴らして自分の世界に酔いしれて大声で歌うのだが、「夜中だから」「ご近所迷惑だから」と何度説明しても憮然とした顔。その場では黙ってやめるが、しばらくするとまた同じことを繰り返す。
私の言ったことに対する反応はナシ。完全無視。でも、不機嫌そうにやめる。そこに反論もなければ、「ごめんね」と謝ることもない。表情は不機嫌だけど、私に対してはまったくの無反応。
で、アスペルガーはそういった反応を見せることがあるそう。
「こういう人に振り回される周りの人、特に配偶者のことを、カサンドラ症候群という位置づけをすることがあります」
これは、野波ツナさんの「旦那さんはアスペルガー 奥さんはカサンドラ」という漫画で一躍有名になった。私も知っているし、すでに本も読んでいる。薄々、そうではないかと思っていたし、ご近所の人や共通の友人、私の家族など、「もしかしてアスペルガーなんじゃないかな?」という話は度々あった。
ちなみに、この本の中でも、アスペルガーの旦那さんが、作者である野波さんに意見されて、無反応になってしまう、スイッチを切ってしまう場面が幾度か出てくる。
「アスペルガー症候群の人が自己愛性人格障害を持っているのは、よく聞きます。自己愛っぽいふるまいを身につけることで自己防衛しているとも言われています。しかしご主人の場合は、もともと両方持っているような感じですね…」
アスペルガー症候群だけなら、まだいろいろと妥協点や折り合いがつく部分があるようで、世の中にはなんとか乗り切っている奥様もいるらしい。しかし、そこに自己愛が加わるともう無理!というのがほとんどの人の見かただそう。
うちの夫は、世の中で言う「もう無理案件」であるということだ。
これまで本当は、何度も離婚を考えてきたし、実際にそう告げたこともある。だけど、その度話しあって「わかってもらえた」と安堵し、でもまた同じことの繰り返しで改めて話し合ってみると、実は全然わかってなかった、というか全然明後日の解釈をされていた、ということが何度もあった。
そのたび、「ぜんぜんわかってなかったんだ!」と驚き、ショックを受け、悔しさと悲しさと不可解さに全身が痙攣を起こしたかのように震えた。
普段、なんでもなくコミュニケーションが取れているひとが、ある一定の状況下では全くコミュニケーションが取れなくなり、エイリアン化する。
この衝撃と言ったら言葉では説明ができない。
つきつめていくと、認めたくはないが、毎日「通じている」と思っていた会話も、実は全然通じていなかったりするのだ。ただ、なんとなく相手があわせていただけだし、わかっていなくてもわかっていたふりをしているだけ。
面倒だから、通じていなくてもわかったふりしてニコニコしていただけ。
長年の積み重ねである日それを理解したとき、私は離婚という選択しか考えられなくなった。
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