【基本的生活習慣特集4】排泄について
排泄=トイレトレーニングという簡単な方程式で考えていた保育士1年目。苦労しました(涙)
保護者への対応も先輩の真似で曖昧で「時間がたてば」「根気よく関わって」と言うことでアドバイスして根本を知らずに関わっていました。
この暖かい春〜夏の時期にトイレトレーニング!と思っている養育者も多くいます。
実はトイレトレーニングは親子関係が崩れやすい大きなハードルです。そして、子どもが初めて自力で行うものです。これは身体の発達が心理的な成長を引き寄せる大切な場面。発達を理解し、適切な関わりをするなかで子どもに負担のいかない自立を促しましょう!
まずは
<排泄に関する0~6歳の発達について>
※これはおおよそです。個人差があります。
0歳から?!と思いましたか、そうなんです。
0歳からもうトイレトレーニングは始まっています!
0歳
膀胱が小さいため、少量を何度も排尿する。
皮膚の感覚も発達中、感情も「快」「不快」の2分化です。そのため、まだ自分で伝えることが出来ないので泣く・ぐずる等でしたい・出たを伝えます。
1歳
排尿が規則的になってきて、排尿間隔が40~60分ほどになる。
便意はまだ伝えられない。
1歳6か月
排尿が出たことを知らせることもある。
排尿間隔が1時間半~2時間ほどになる。
出なくともトイレに座ろうとしたり、興味が湧いてイメージをするようになる。
便器に座ることが出来るようになる。
2歳
排便が出たことをしらせることもある。
排便と排尿の感覚の違いが分かるようになる。
トイレを拒むことも出てきます。
2歳6か月
排尿予知がある。
午睡中の排尿が無いことが増える。
排尿間隔が2時間程で安定してくる。
トイレで排尿をすることも見られる。
女児が自分で陰部を拭けるようになる。
3歳
自分で排尿を出そうとする力がつく。
排便予知がある。
遊びに夢中でおもらしをすることがあったり、風邪等で出来たりできなかったりする。様子が不安定になる。
男児の立ち便器ですることが出来る。
4歳(年少)
夜の睡眠中も排尿が見られなくなる。
排尿間隔2~3時間になる。
排便の後始末(お尻側へ手をまわして拭く)を自分でするが仕上げが必要。
5歳(年中)~6歳(年長)
排便の後始末が自立する。
活動に見通しを持って排泄を済ますようになる。
トイレを綺麗に使えるようになる。
排泄に関する発達の順序はこのような様子です。
今、自分のクラス・担当の子がどのくらいの様子か把握して年齢に合わせず、発達に合わせて薦めましょう。養護学校に通学している子も同様です。
<布パンツはいつから進める?>
これは本当にどの保護者も、どの支援者でも気になるところだと思います。
意外とはっきりと答えられる方はいないんです。
布パンツを始める前にチェックしておきたいことを確認しましょう。
●排尿間隔が2時間以上で安定しているか?
●便座に座ることに慣れているか?
●布パンツに興味があるか?
●排尿予知があるか?
●おもらしをしても、怒らない心の余裕が大人側にあるかどうか?
この●項目が全て「いる」「ある」で答えられる場合は布パンツに移行しても良いタイミングです。
では●項目にすべて「いる」「ある」でこたえられるためにできることは何
紹介します。
<トイレトレーニングの土台作り>
1.筋力強化をします
身体を動かして遊ぶ中で下半身・腹部の筋力が増し、膀胱もおしっこを多く溜められるようになります。
また、腹圧を(力を下腹部の奥へ)かけることでおしっこが出ます。
2.皮膚・深部の感覚を刺激します
五感についてでも以前書いて服従する部分もありますが…
おしっこをする際に使う筋力は皮膚の中にある内臓(膀胱)を自分で緊張させたり緩めたりして調節して使います。
そのためにはまずは皮膚の感覚を刺激することで感覚を受け取る脳の機能を育てます。
そこからさらに皮膚を超えて内側の感覚も育てていくのです。
ゆえに、皮膚の感覚を刺激する遊びや皮膚の奥の奥の筋力を自分でコントロールする遊びをしていくことが必要です。
ブランコ、お相撲、バランス遊び、ジャンプと着地等 堅苦しく考えず、外に出るだけでも風を感じるのも温度を感じるのも皮膚感覚を育てる刺激です。まずは体を動かしてみましょう!
3.気持ちいい・気持ち悪いという感覚を得る
0歳からおむつ交換時に「おしっこ出たね」「すっきりしようね」「きれいきれいになったね」と自然と声を掛けている方が多いと思いますが、これも立派なトイレトレーニングの前身!
おむつが濡れたら不快、おむつが新しいと快、というのを体の感覚と声の情報でつなぎ合わせて学習させている過程になっています。
これが排尿を知らせることや排尿予知への行動につながります。
おしっこをして怒るという振り返り行動を繰り返していると怒られないように排尿を知らせないことにもつながります。
4.決まった時間、決まった場所で
人間は同じ場面に同じ行動を2週間続けるとその行動を習慣化させると言われています。
そのため、お散歩に行く前にトイレに行く寝る前にトイレへ行くなどは
慣れてくると排泄をしようという意欲を引出しやすい環境づくりの1つとなります。
嫌がっている際には無理に行うともっと嫌になってしまうため、その時は避けましょう。
しかし、「おまる見てみる?」などから始めて興味を抱かせるように関わることはとても重要な導入です。
おむつを脱ぎたがらない子にも「おむつ青くなったかお尻のところ見てみようか」など関心をそらせながら少しずつルーティーンに参加させていくことも手です。
5.布パンツを拒む子もいます
紙パンツへの安心が本人を楽にさせている場合もあります。
無理に布パンツへ移行すると必要以上に排尿を我慢したり、便秘をしたりして体にも心にもよくありません。
嫌がる理由は様々ですが
1.水の感覚が皮膚につくのが嫌
2.服が汚れることが許せない
3.恥を感じやすい、失敗が怖い
4.遊びが中断されるのが嫌
・・・など理由はその子によって違います。
1.は水遊び泥遊びで水慣れをしたり、洗濯遊びをするなどで水に関する遊びを楽しいと思える体験が継続的に必要となります。
2.は着替えを見える場所へ保管したり、汚れても良い遊びを通して汚れへのこだわりを薄めたりします。
3.はスキンシップをとってリラックスできる遊びを継続して関係をさらに深めていきましょう。
生れ持って緊張しやすい子というのは一定数います。「なにをしてもあなたのことを受け止めますよ」という姿勢で日頃から関わるように心がけて、トイレトレーニングがプレッシャーにならないように自分から頑張ろうと思えるような、安心できる基地に大人がなりましょう。
4.は情緒発達がまだ自己中心性で他人の欲求を汲み取ったり、気持ちを切り替えるのが苦手な子に多く見られる姿です。矯正するような関わりでなく「トイレに行って排泄をしたらあなたにメリットがあるよ」というスタンスでかかわると気持ちが少し傾くかもしれません。
トイレ行っておしっこが出たらシールプレゼント!
おしっこ出たら、遊びの時間がプラス1分プレゼント!など大人が負担にならないプレゼントが続けやすいですよ。
いかがだったでしょうか?
膀胱の大きさは人それぞれなので1時間しか保てないから・・・と不安にあることもあるかもしれませんがトイレが近くにあるときは布パンツにするなど環境条件によって挑戦することも良いと思います。
園では大人が多い午前中からはじめようというのも良いと思いますよ。
本人がおもらししにくい環境で行うのは大人側にとっても安心です。
まずは自分がどのくらい受け止められるか
というモチベーションも見直せたら良いと思いますよ!