体も心も指先も発達する「積木遊び」について
積木遊びを大切にしている保育園・幼稚園があります。
こんなに色んな遊びが発達したり広がりを見せる中で昔からこだわって育児に導入する意味とは…
早速解説します。
①身体的な協応力を高める
積み木は倒さない様に積み上げようとすると”やさしく””ゆっくり”手や指を使って置くようになります。
また、曲がっていたら”そっと”直したり高いところに置く時には台に乗ってバランスを取りながら置くなど、小さな動きに全身の力加減を上手に使う能力が必要となります。
積み木の重さ・感触・音・見た情報を理解しながら積んでいく、教科書や人に教えられて覚えるものではない感覚の学びが得られる遊びとなります。
②想像×表現の活動
ただ積み重ねる行動の中にも「高く積むぞ!」という目的を達成する為に行動しています。
目的・意図のある行動の事、物理的表現を運動学では随意行動と言います。
目的は想像がある上で成立します。始めは横に並べるから始まり、徐々に天井へ向かって並べるようになり、2~3歳くらいからは何か目標を持って
作る行動になっていきます。
おおよそ4歳後半からは友だちと一緒に作る姿が見られ「イメージを共有する」ということが可能になり、集団で共同的に楽しめる遊びに変化します。
目的があると達成と失敗、試行が待っています。
友だちや周りの大人に刺激されながら表現が膨らんでいき、想像力を高めていく中で創造的な活動を繰り返していく時間になります。
③自主性・協調性を通して社会性が高まる
積み木を通してまずは場所や積み木の数などを共有するルールを学んでいきます。「ちょうだい」「どうぞ」「いいよ」「だめよ」この4つの言葉だけで子どもたちは大きな社会性を学びます。
「ちょうだい」という欲求を自主的に主張する
「どうぞ」という許容
「どうぞ」と言ってもらえるような環境づくり
「いいよ」という自信
「だめよ」という自我と葛藤
おおよそ3歳以降になると「いれて」も聞こえてきます。
同じものを作るのにも役割分担をして遊ぶ連合遊びの発展も見られるようになり、集団の中で自分の立ち位置を理解して行動する様になっていきます。
友だちの失敗を受け入れたり、みんながいたから何度もやり直せたり、時には不穏な空気が流れて言葉をぶつけあったり(笑)と社会性の基礎を培われる場面を含む活動が積み木の中にあふれています。
④問題解決力・課題遂行力
課題遂行力が聞きなれない方もいるかもしれませんが課題を発見して、解決に向けて最後までやり抜く力を指します。
認知科学者の苫米地英人先生は人は失敗することで成功を考えると書籍でもおっしゃっています。
積み木を何度も崩して、試行錯誤しながら目的を達成させていくなかで課題・問題点を発見し、応用力を身に着け成功を手にします。
崩れやすい積み木だからこそ身につく力です。
⑤集中力、情緒的な豊かさ
課題遂行力には集中力も並行して必要となります。
集中力にはモチベーションを維持する事も必要です。
そのためこのタイトルの2つが関係なさそうでありますが、一緒に並んでいます。同じ作業を何度も繰り返す作業は子どもにとって情緒的な安定をもたらすともいわれています。
また、それが達成して喜びを感じた時には次の遊びへのモチベーションへと繋がります。一人で遊んでいると気にも様々な感情を転々とさせながら活動しているのです。
もちろん、集団で遊ぶとさらにその感情が広がりを見せ、達成感・悔しさに共感も一緒にくっついてきます。
共感されないという悲しみも味わうことがあるかもしれません。
自分たちでルールや役割を決めたり、イメージを共有する中で情緒的な豊かさを身に着け、楽しさからイメージや目標が膨らみ集中力が見についていきます。相乗効果が生まれます。
⑥空間認知力、数学的概念、科学的概念
学習面でも学べるのも積み木の良いところです。
同じ形のものはどれか、同じ高さの物はどれかなど形状、重さ、大きさなど
手の感触や見た情報から学習していきます。
はじめは平面的なものに始まり横の世界から、縦の世界に発展し
奥行きを考えたりするようになります。
お家等の住居や乗り物などを作るようになると中の構造にまで発想を膨らませ、大きさの帳尻を合わせたり数を考えたり、左右対称にしたり自然と立体図形を学んでいるような活動になります。
机上の上の学習に入る前に感覚や目で見た情報から学んだ数学的概念、
科学的概念を得ていると紙面の情報を頭の中でイメージすることが
上手になります。なにより、楽しんで学べるので子どもたちはどんどん取り組んでいくのです。
以上が私がまとめた積み木の子どもに与える影響です。
6つの項目を読んででわかると思いますが、
「ただ積み木を与える」
と言うことで身につくものではありません。
そこに子どもの気持ちを支えたり、認めたりする大人や仲間がいて楽しめるものです。
このような環境を含めた総合的な遊びの凄さや大切さを理解しているからこそ、今でも積み木と言う遊びを積極的に取り入れている保育園・幼稚園があるのだとおもいます。