ドイツのこと〜③恋バナ
背が高くて〜金髪で〜澄んだブルーの目で〜とっても知的な大学院生。
二つ年下だったけどこの男の子のことは知っていた。同じ授業に出ていて
日本語で話しかけられたことがあったからだ。うわーこれが金髪なんだー。
染めてる訳じゃない。目もなんて綺麗なんだろうって思わず吸い込まれるような
深いブルーだった。しかも彼は日本にも進出しているドイツ家電メーカーの副社長
令息だという噂だった。彼は小学校は丸々東京で過ごしたのだとか。
さらに風の噂で最近彼が元カノと別れたばかりだとさえ聞いていた。
うわ〜、チャ〜ンス!、、、なーんて考えるほど私は自惚れたりはしていない。
彼、ミヒャエルとたまに軽く雑談することはあったけれど自分から
話しかけたりはしない。恋愛ってそういうものじゃないと思っていた。
もっとフィーリングっていうかピンとくるものが欲しいし、何より偶然、
運命?の働きかけがなければ気の合うパートナーにはなれない。
そう、まずちゃんと友達にならなきゃいけないけど、彼との距離は
もっともっと遠いものだった。
そのミヒャエルがこちらにおいでおいでしている。これがきっかけってやつ?
残された我々二人のうち、相棒の彼女はもうこのガサガサした雰囲気に
飽き飽きしてもはやさっさと帰らんとしている。まあここを出てしまったら
私たちの部屋は目と鼻の先なんだけど。
そして彼女は帰ってしまった。彼女は彼とは面識もないしそもそもオトコノコに
興味なんてなかった。
私は彼とその仲間たちに向かって一歩を踏み出した。