布団はふっとばないよ、

夕日が目に滲むのを感じながら、
音楽を耳から入れて、
後頭部の少し上あたりに広げていくと、
よくわからない多幸感が広がってくる。

最近読んだ小説のなかで、

「幸せを感じると、かなしくなるんだ」

みたいな一言があった。
なんてことのない、どんな小説にも書かれてそうな一言だけど、
その本のその言葉でやっと自分の中での意味とは出会えた気がした。

おすすめで流れてきた動画には、
ブラック企業で働くペンギンとパンダがあれこれと生き方について面白おかしく教えてくれていた。
しっかり者のペンギンは、楽天家のパンダと一緒にとんでもないブラック会社を辞めて日雇いバイトで将来を真っ暗にしていた。

それを見て僕は、じゃあ僕はもっと暗い、ブラックホールみたいな黒じゃないかと無意識に思った。
楽天家のパンダでさえ、僕よりちゃんと生きていた。

それこそパンダは真っ暗には生きていなかったけど、
ペンギンは真っ暗にして資格を取ることにしていた。


夕日が目に染みる。

単純に“色”ではなく、全体のグラデーション、雲の造形、視界を広がる空、そしてこの時間に出会えた限定性、人生観。

全てが絶妙に絡まってこの瞬間に出会えた感動が押し寄せて来る。


黄昏時。たそがれどき。
誰そ彼。

大して街燈もない時代には、
少し先にいる人の顔を見えなくなってくる時間だったそうで。

ここからだんだんと真っ暗な世界と移っていくわけです。


幸せな時間が過ぎた後の真っ暗な世界がぼんやりと頭の中で姿を映します。

結局ペンギンは資格を取ると決意したところで動画は終わりました。

15分くらいの動画だったか。
別の動画では、またしっかりとペンギンは別世界を生きていました。

夕日がどんどん空を赤く染めていきます。
不安になる程に、薄い青の空中を染めていきます。


お洒落なジャズがカフェを活気づかせています。
そのうちお酒を出し始めて、若者から髭面のおじさんまでがジョッキ片手に踊り出しそうです。

そんなことを想像しながら、段々と心が静かになってきます。


明日の夕日も、多幸感と、不安と悲しみの種を持ちながら、眺めているのかしら。



と、ここまで書いて思ったのだけど
あたしゃ心が弱ってるんか???

お金もないし、仕事もないし、いろんな手間なことを先延ばしにして生きていて、そりゃ不安しかないけど、
何とか生きていくしかないので、頑張っていけよ!

よし!もうすぐ30代!!

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