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ニッチなテーマでサイトを作る──“ファンタニクル”ホームスタジオへの道
小説「エスキャトロギヤ」の執筆と改稿を進めるうちに、作品世界をもっと深く楽しんでもらうには「小説投稿サイト」や「既存のキリスト教系サイト」だけでは限界があるのではないかと感じ始めた。
そこで思いついたのが、自分自身でサイトを立ち上げ、“ファンタニクル《幻想古典》”という新ジャンルを軸にしたコミュニティを形成するという構想だ。
アイデアとしては、2024年の春頃には一度思いついていたものの、当時は形にできずに“塩漬け”状態だった。今回改めて「Wry Wonders」と名づけたこのサイト構想を再始動しようと思った背景と、そのコアコンセプトについて語っていきたい。
サイト構想の誕生と塩漬けの経緯
2024年5月に思いついた「Wry Wonders」
そもそも私が「Wry Wonders」というサイトを思いついたのは、2024年5月頃のことだった。
当時は「エスキャトロギヤ」以外にも、クリスチャン文学や古典的作品をファンタジー風に再解釈したようなコンテンツを発信したいと思っていた。
しかし、アイデアを具体的にまとめ上げるノウハウも時間も足りなかったし、小説を発表する場所をWeb上に特化させるかも悩んでいた。
保留となった背景
結局のところ、「掲載するコンテンツはエスキャトロギヤしか思いつかないし、小説を置いておくだけのサイトなら既存の投稿サイトでもいいのでは?」 という考えが先に立ち、独自サイトの構築は後回しになった。
作品のポートフォリオとして利用するだけなら、「わざわざ一からサイトを立ち上げる労力に見合わない」という判断だ。
しかし改稿や世界観の再構築を進めるにつれ、「千年王国というテーマに特化し、ファンタニクルという独自ジャンルを打ち出すためには、自前のサイトが必要だ」という思いが強まっていった。
加えて、既存の小説投稿サイトでは広告(主にアダルト)が多い問題や異世界ジャンルのなかに埋もれてしまう現実に直面し、理想に合ったプラットフォームを作るなら自前がベストだと考えるようになった。
どっちみちこれから長い時間をかけて活動したり宣伝したりするとしたら、いちばん納得のいく形で打ち込みたいと思った。
コミュニティサイトの構想とコアコンセプト
文脈・世界観を用意する場としてのWry Wonders
キリスト教や千年王国といったニッチなテーマを扱うには、どうしても前提となる背景知識が必要になる。小説を読んでもらうだけでなく、「物語のもとになっている聖書箇所は何か」「登場する用語にはどんな神学的・歴史的背景があるのか」といった疑問に答える仕組みが欲しかった。
そこで思いついたのが、「改稿したエスキャトロギヤをサイトで連載し、必要な聖書や豆知識をコラムとして補足する」という形だ。読者は小説を読み進めながら、気になった単語をコラムで調べ、物語世界をより深く理解できるようになる。
さらに、コメント機能やコミュニティ要素を取り入れることで、読者同士が作品への感想を語り合い、新たなアイデアを生み出す場に育てたい。
漠然としていたコアコンセプトを明確化する意義
もっとも、自分でサイトを立ち上げれば、好きなものをどんどん詰め込むことはできる。だが、「ただ情報が置いてあるだけの倉庫」になってしまっては意味がない。
ユーザがサイトに来て、どんな価値を得られるのか――そこを明確にする必要があると感じた。
競合調査をしてみると、キリスト教系サイトは聖書研究や神学的情報が豊富にまとめられている一方、UGC(ユーザー生成コンテンツ)が少ないという特徴があることがわかった。
逆に、小説投稿サイトはUGCが主体で活発に回っているけれど、キリスト教や神学の深い情報は当然見当たらない。
つまり、「神学×情報提供×UGC(コミュニティ)」という掛け合わせはまだあまり見られず、 ここに独自の価値を生み出せる余地があるのではないか――これが「Wry Wonders」のコアコンセプトを打ち立てる上での大きなヒントとなった。
ニッチなテーマでサイトを立ち上げるときのヒント
1) サイトやプラットフォームを立ち上げる際に必要な要素
コンセプト設計
サイト全体の方向性、伝えたい世界観、読み手にとってのメリットを明確にする
ナレッジベース
小説や記事だけでなく、キーワード集や関連情報を体系的に整理しておく。ゲームの攻略本や設定資料集のイメージだ。
千年王国やファンタニクル、聖書箇所など、初心者が理解しやすい導線づくり。
コミュニティ運営
コメント機能やフォーラムの設置など、読者同士が交流できる場を用意する
投稿ガイドラインやルールを設け、安心して書き込みできる環境を作る
何より重要なのは、「何がしたいのか」「読者に何を価値と感じてもらうか」という問いだ。
運営側が満足しても、読者にとって意味のないサイトでは誰も訪れない。
ニッチであっても、「世界観をもっと楽しみたい」と思っている潜在的なファンの存在を見込み、彼らに向けて価値あるコンテンツを提供することが鍵になる。
2) 「ニッチなテーマ×世界観解説×読者参加型コミュニティ」の可能性
宗教や思想といったテーマはタブー視されがちだが、実際のところ「語りたい」人はかなり多い。
特に教会や既存のコミュニティでは発言力を持たなかったり、自分の想いを表に出しづらい人もいる。そうした“サイレントマジョリティ”が集まり、対話できる場所を提供できれば、大きな可能性があると感じている。
さらに、キリスト教の中にも繊細なテーマは多い。たとえば女性信者の立場、多様性の考え方、終末論に対する各教派の見解など、教会内でオープンに語りにくい議題があるとき、考える素材を集めたり、共通の関心を持つ仲間が集まる場があれば意義深いだろう。
私が思うのは、分断された人々が一致できるテーマこそ千年王国やファンタジー要素を含む「Wry Wonders」の世界観ではないかということだ。
真面目な神学的議論に限らず、物語や創作活動を軸に自由に語り合えるスペースがあれば、立場を超えて意見を交わしやすくなるのではないか。
今後のロードマップ(半分妄想)
サイトの正式立ち上げ
デザインや機能を整え、エスキャトロギヤの改稿版やファンタニクル関連の作品を順次公開
コラムや豆知識ページを充実させ、読者が千年王国の世界観を理解しやすい導線を用意する
第二部の執筆・第一部の改稿・コミカライズ準備
エスキャトロギヤ第二部のプロットづくりと並行し、第一部に改稿を加える。
コミカライズに向けたデザイン案や脚本案を練る。
コミュニティ内でフィードバックを募りながら、サイトをブラッシュアップ
世界観の広がり・UGCの促進
読者が自主的に創作できるよう、イラストコンテストや二次創作企画などを企画
サイト内にフォーラムや投稿ページを整備し、ファンが積極的に参加できるコミュニティ環境を育てる
「Wry Wonders」は単なる個人の小説置き場ではなく、「ファンタニクル《幻想古典》」とキリスト教的世界観が交差するホームスタジオ」として機能していくのが理想だ。
最終的には、千年王国の概念に興味を持った人同士が集まり、新たなコラボや創作が次々と生まれる――そんな未来を思い描いている。
結びに
「Wry Wonders」構想を再始動する背景には、ニッチなテーマを扱うためにどうしても必要な“文脈づくり”へのこだわりがある。既存のプラットフォームでは実現できない世界観の表現やコミュニティ運営を、自分の手で作り上げようという挑戦だ。
もし神学的要素やファンタジー、創作活動に興味がある人がいたら、一緒にこの計画を楽しんでもらえたら嬉しい。ひとりの思いつきから始まった計画ではあるけれど、仲間が増えるほど多様な価値観やアイデアが溶け合い、より大きな“驚き”が生まれるはずだ。
いよいよこれで、“サイト立ち上げまでの経緯”にまつわる4本の連載は一区切りとなる。
今後はサイト設計の進捗、デザイン面や技術面についても随時シェアしていきたいと思う。ニッチで奥深い世界観に興味を持ってくださる方がいれば、ぜひ覗いてみてほしい。そして、あなた自身の創作や信仰、発信のきっかけにしてもらえれば、これ以上嬉しいことはない。
▼サイト立ち上げ日記 その1
▼サイト立ち上げ日記 その2
▼サイト立ち上げ日記 その3
▼サイト立ち上げ日記 その4
▼サイト立ち上げ日記 その5
▼サイト立ち上げ日記 その6
▼サイト立ち上げ日記 その7
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