見出し画像

【樹木の人間味!】:植物の知性と、木々が語る自然界のヒミツやしくみ。

自然に浸ると、誰もが心地よいと感じたことがあるでしょう。
木々ってなぜか、人に優しい側面がある?
動かないけど、知性がある?
そんな木々の人間味をお伝えします。

木々も群れをなす?

森の中をイメージすると、1本1本独立した木々が立ち並ぶ風景… そんな絵が浮かぶ人も多いと思います。
でも、実は木々も人と同じで群れをなして生きてるんです。
土砂崩れで根っこ部分の断面が、露出している所を見るとそれが分かります。

樹木同士の共存

木々は根っこどうしで繋がり、糖分など栄養素を分け合う。
こうしてお互いを助け合うことで、風や天候から身を守りバランスの取れた森林環境が作られます。
こうした森は暑さ、寒さに強く沢山の水を蓄え、空気を適度に湿らせる。
仲のいい者同士は、時に一緒に死んでしまうほど親密な関係を築きます。

森の成長のカギ

キノコなどの菌類は、木の根では行き届かない地中深くも、その細い根で入り込むことができます。
キノコは木の根に水分やリンなどの栄養素を受け渡し、代わりに糖分を物々交換しています。これらが群れをなすことで、バランスのとれた森林環境が育まれ、木の根っこ同士の情報伝達も可能になります。
これを、ウッドワイドウェブと呼び、樹木のインターネットに例えられています。

栄養以外の連携

空気での情報伝達。

☛サバンナアカシア(アングレアアカシア)
この樹木は、キリンが葉を齧ろうと近づいてくると、有毒物質を葉に集めはじめます。
この物質は、警報ガス(エチレン)の役割もあり、周囲の木々もこのガスを受け、同じように葉に有毒物質を備えます。
そのため、キリンもその一軍を避け、数100m離れた木を狙うか、警報ガスの届いていない風上の木を狙うようになります。

☛ニレ、マツ、キャベツなど
これらの植物も空気を介して、害虫の天敵になるハチ類を呼びます。
なんと、植物はこの害虫には、この物質を!という風に
害虫の唾液を分類し、駆除に有効な物質を分泌します。
見方を変えれば、植物にも味覚のようなものがあるといえます。

害虫が葉を齧る→ハチの好きな匂いを放つ→ハチが害虫に卵を産み付ける→害虫の内側から幼虫が育ち、結果的に害虫が駆除される。

どちらの例も自然界の厳しい環境を彷彿とさせます。
また、植物も葉を齧られることに痛みを感じていることが分かっています。
齧られた周辺の組織が変化することがその証拠だそう。

電気信号での情報伝達。

実は木も人と同じく、電気信号で自身にも仲間にも情報伝達を行います。
人は全身に1/1000秒の速さで、電気信号を送りますが、木はなんと、1分に1㎝の伝達。葉に防衛物質を集めるのには1時間かかります。
やはり樹木は、おおらかで寛容ですね笑
ナラの仲間同士の情報伝達では、1秒1㎝と、なぜか自身の情報伝達より、かなり速い速度で情報伝達します。
これは、ミミズやクラゲと同等の速度で、植物としてはそれなりのスピードといえます。

木も言葉を話す?:220㎐の周波数

空気による情報伝達は自身にも仲間にも速く、遠くに飛ばせるメリットがあるが、風次第というデメリットもある。
なので、根っこによる伝達でカバーしている側面もあるが、木は他の手段でも情報伝達していると考えることはできないでしょうか?
西オーストラリア大学の研究で、地中の音を聴く研究が行われました。
実験は、穀物の苗を用いて、測定。
すると、根が発する静かな「ポキッ」という220㎐の周波数を記録。
これはただの騒音と違い、その特定の音がする度になんと、別の苗の先がその方向に傾きました。客観的に見て根が話し、苗が聞いている構図になる…
植物も音によるコミュニケーションを図っているのかもしれません。

自身を守る能力

ナラの木

樹皮と葉に苦くて毒性のある「タンニン」を送り込む。
よって美味しかった葉がまずくなり、害虫は逃げ出すか死滅する。

ヤナギの木

ヤナギの「サリシン」も同じような働きがある。
虫にとっては脅威の物質だが、樹皮を煎じてお茶にすることができる。
これは、頭痛薬や風邪薬になり、アスピリン(頭痛薬)の成分にもなっています。
フィトンチッドなど、害虫にとって有害なものが、人にとって健康的なのはとても興味深いですね。

まとめ

木々は、見た目以上に複雑で知性的な存在です。彼らは群れをなし、互いに助け合いながら生きています。根っこを通じて栄養を分け合い、風や天候から身を守り、バランスの取れた森林環境を作り上げます。特に、菌類を介した情報伝達システム「ウッドワイドウェブ」は、木々が互いに情報を共有し、協力し合うための重要な手段です。

  1. 空気による情報伝達

    • サバンナアカシアはキリンが近づくと有毒物質を葉に集め、警報ガス(エチレン)を放出し、周囲の木々にも警告を伝えます。

    • ニレやマツなどの植物は、害虫の天敵であるハチを呼び寄せる物質を分泌し、害虫を駆除します。

  2. 電気信号による情報伝達

    • ナラの木は葉に防衛物質を集めるために電気信号を使用します。

    • 人間の電気信号伝達速度は1/1000秒ですが、木々は1分に1㎝の速度で伝達します。

  3. 音による情報伝達

    • 西オーストラリア大学の研究によれば、根が発する220㎐の周波数の音を他の苗が感知し、その方向に根を伸ばします。

このように、木々は互いに助け合い、情報を共有し、環境に適応しながら生きています。彼らの知性と協力の仕組みは、私たち人間にとっても学ぶべき点が多いと言えるでしょう。


いいなと思ったら応援しよう!