たむぷりん?
今回は、現ワールドオブスターダム選手権王者中野 たむ選手の『白の聖典』
を読みました。
プロレスラーになる前は、アイドルだったという経歴。
なぜアイドルからプロレスラーになったのか、その経緯や苦労が語られていますが、私個人としては、それだけではなく、アイドルとプロレスラーという一見異なる職業だけども、多くの共通点があるのではないかと彼女の語りから読み取れました。
「子どもの頃から人前に立って自分を表現して生きたいと思いながらも、何度も何度も自分自身の限界を目の当たりにして、その都度、挫折してきた。それはチャンスに恵まれなかったからかもしれないし、タイミングが合わなかっただけかもしれない。そして、才能が伴わなかったからかもしれない。しょせん私はこの程度の人間だ……それが私の人生だと思っていた。いつしかいくつもの"諦めのかけら"ばかりが私の目の前にあった。」p18-19
中野たむ選手の過去をすべて知ってるわけでは、もちろんありませんが、書籍に出てくる中野たむ選手のこれまでの人生を物語っている感じがこの一文に濃縮されている気がします。
「たくさんの選択に迫られて迷うときがあるけれど、どの道が正しいかではなくて、自分が選んだ道を正解にできるようにがんばればいい。自分で選んだなら、きっとそれはがんばって歩ける道だから。」p50
この一文も決して珍しいことを言っているわけではありません。でも、紆余曲折を経てワールドオブスターダムのベルトを巻いているたむ選手だから、個人的に刺さるのかもしれません。
「諦めたらそこでおしまいだけど、諦めない限り可能性は生き続ける…自分の限界は、自分で決めたりしなくていい。」p50
中野たむ選手は、2016年5月15日に後楽園ホールで見た紫雷イオvs岩谷麻優のワールドオブスターダム王座を「観ている者の息が止まるような、張り詰めた緊張感。駆け引きの中から繰り出される華麗な技。リングの2人はほとんど言葉を発しないけれど、喜怒哀楽、あらゆる感情が観る者に伝わってくる。」p94と表現しています。これは、私自身のプロレス観にとても近いと感じ抜き出してみました。
初めてスターダムを観戦した時の感覚が甦ってきて、身震いしました。そうなんですよね、リングの上の対角線上にいる2人は通常、言葉を発しません。でも、何を考え、相手に立ち向かっているのか、あらゆる感情がありありとわかる(気がする)のです。
「リングの上では、試合を通じて選手の人生が露になる。たとえばその選手の経験してきた挫折、今現在抱えている葛藤、これからすすもうとしている未来への覚悟、そういったものすべてが試合の節々に如実に反映される。観客は、その選手の人生という、1本のノンフィクションの映画を見ることができる。逆に言ったら、リングに上がっている選手ひとりひとりが、映画の主人公なのだ。」p152
この一文も、思わず、「そのとーり!!」と読みながら口にしそうになりました。
そうなんです、それぞれのレスラーの見た目(これはこれで、ひとりひとりの魅力として、もちろん大事なことではあるのですが…)だけでなく、その選手の人生が垣間見える。
だから、思い入れてしまう。それまで全然応援していなかった(失礼な言い方をすれば、好みの選手でもないのに)、急に親和性を覚えたり、惹きつけられたりする。
だからこうして、今までのnoteにも投稿してきましたが、TAJIRI選手、里村明衣子選手、ジュリア選手や朱里選手などの書籍を読み、その人となりを知ろうとする。こうして記録することで、自分の記憶に残そうとする。
「スターダムには、いま約30人の選手が出場しているから、それだけの数のストーリーがあって、選手の組み合わせで様々な人生が交錯する。しかも、目の前でそのリアルが重なり合っていく。」p152
スターダムだけではないかもしれませんが、生え抜き組と移籍組がどの団体にもあります。中野たむ選手は、移籍組として、「感情の根っこには、もしかしたら嫉妬心や劣等感みたいなものが渦巻いているのかもしれない。ただ、そこで問われているのは、そういった感情をプロレスラーとしてリング上でぶつけて、お客様の感情を揺さぶる燃料にできるかどうか」p158
というように、おそらく新陳代謝の活発なスターダムでは、こうした感情がありありとわかることが魅力なんでしょうね
逆に東京女子プロレスでは、こういう感情は明確には見えませんが、冒頭のアイドルとプロレスの共通点みたいなものが鮮明に見える気がします(もちろん東京女子プロレスの所属選手がみなアイドル色が強いわけではありません)。
以上、中野たむ選手の書籍の気になるところをまとめ、自分なりに浅いながらも分析考察してみました。
こんな投稿をしていると、他の団体(たとえば、センダイガールズなど)の試合も観戦してみたいと思う、ひめのひとりごとなのでした
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