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与えたい愛と欲しい愛。すれ違う親子。
2017年、初夏。
脚本家の横月と、公園で次の脚本の題材探しをしていました。
私の家の近くの公園で
2人でぼーっと人間観察をしていました。
その時に
サッカーをしている親子がいました。
息子は父に対して全力でボールを蹴り
ゴールに入れようとしてします。
父は息子がゴールすることが出来るように
手加減してゴールを守ります。
公園でよく見かける
普通の親子の様子です。
でも
息子は父と対等に戦っていると思っていて
もし父が手加減していることに気がついたら
息子はどう思うのでしょう。
もちろん、大人が本気になってしまったら
子供はとても敵いません。
でも、息子が決めたゴールは
本当に息子が欲しかったものなのかな、
と考えてしまいます。
与えたい愛と欲しい愛
親は子供に愛を与えます。
それは褒めることも叱ることもありますが
全て「子供の為」です。
子供はその愛を受け取って成長していきます。
私が今演出を担当しているWANTEDという舞台は
国に大きな利益をもたらす発明をした祖父
祖父の意思を受け継ぎ国を守る父
父の期待に応えられていない息子
という三代の親子が軸になっています。
祖父は自身が社長を務める会社を辞める時に、
父に「おまえはこの会社を継いではいけない」と言います。
祖父からすれば
「こんな非人道的な発明を守って欲しくない」
という意味だったのですが
父は
「お前には無理だ」
という風に受け取ってしまいます。
これは、祖父は父を愛していたからこそ
父を想っての言葉だったのに
父はその愛を理解できなかった。
父も息子も
親が立派な人だったので
常に寂しい思いをしていました。
そこで息子は父に
「立派な父親なんていらなかった。
ただあかりのついた家に帰りたかった」
と言います。
親は子供に不自由させないように
良い思いができるように働きます。
しかし、それは子供には届かず
親と一緒にいることを望んだ。
サッカーの親子のように
与えたい愛と欲しい愛が
親子でズレてしまっているのです。
愛がズレるとすれ違う
祖父、父、息子の三代の親子は
お互いすこし距離を置いていました。
それは
相手から送られるものと
自分が欲しいものが
ズレてしまっていたからです。
これは舞台にも言えることです。
お客様が観たいもの、
欲しい展開
納得する描写
いい意味で裏切るのはありですが
ある程度舞台の上から送るものと
お客様が欲しいものが一致しないと
お互い満足は出来ないですよね。
これは愛の受け渡しと同じなのではないでしょうか。
舞台が発する愛を
お客様が受け取る。
それが与えたいものと欲しいものになれば
素敵な舞台になる。
逆に言えば
舞台側だけが気持ち良いものを作っても
お客様に愛が届かなければ
その舞台は評価されません。
何がほしくて何を与えたいか。
それを見極めると
舞台はもっと良くなるのかな、と思います。
愛を見極める
自分は相手になにを与えたいのか
相手は何が欲しいのか
その意識をもって日々いれば
様々なすれ違いは無くなるのではないか
と思います。
愛を見極める。
それがもしかしたら一番必要なことなのかも知れません。
劇団Яeality第6回公演「WANTED」
劇団Яeality 第6回公演
「WANTED 」
演出:香西姫乃 脚本:横月まひろ
日時:9/6-9/9
場所:荻窪小劇場 (荻窪駅より徒歩10分)
公演時間予定:80分
◆Introduction◆
過去の大戦での敗戦国。「理性的な国家」を目指すため、感情が一定量をこえると警告音が鳴る機械、U−checkが国民全員に着用が義務付けられた。
八作は、U−checkの開発者である香月太郎の孫であり、現在U−check管理局の局長である香月陽人の息子。
ある年の夏休み。
八作と友人である乃亞、小恋、瑛琉の3人は、U−checkのあり方を疑問視する八作の叔母、桜に誘われ、太郎が晩年を過ごした無人島を訪れる。そこで待っていたのは、U-checkを破壊できるアンドロイド、山田であった。
◆Information◆
【日程】
9/6 14:00(B) 19:00(A)
9/7 14:00(A) 19:00(B)
9/8 14:00(A) 19:00(B)
9/9 13:00(B) 17:00(A)
【チケット】
前売り(特典付) 3000円
前売り(特典無) 2500円
当日 3000円
【特典】
公演パンフレット+役者ブロマイド1枚
(¥1100相当)
◆Member◆
シングルキャスト
色鳥トヲカ (劇団Яeality)
丹波枠(劇団Яeality)
ノザワミネヒロ
Aキャスト
おかもとまゆ
黒田拓真
菅井菜穂
橋本翼
田川莉子
Bキャスト
喜田よつ葉(劇団三日月座)
柴田茉莉
竹田大晟
中村拓海(劇団Яeality)
深町あみ
演出 香西姫乃(劇団Яeality)
演出助手 中村拓海(劇団Яeality)
脚本 横月まひろ(劇団Яeality)
舞台監督 大野竜
照明 大高藍香
音響 土屋彩香
宣伝美術 ポーラは嘘をついた
スチール撮影 本橋佳奈
制作 青木まり(劇団Яeality) 深水宙(劇団Яeality)
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