これからエンタメ産業は中心になっていく。けれど、お客様を呼ぶための観光の仕組みがまだ足りない〜梅澤高明さんの講義〜
私が通っている大学では、年に4回、様々な分野の専門家に講堂で教養講座を開いてもらいそれを聞く、ということが必修になっています。
私もこれまで4年間、年4回ずっと受けてきたのですが、
興味がない内容もあるし、爆睡しちゃう時もあったし、
何より希望の講座に抽選で落ちて全文英語の教養講座を受けたこともありました。(あれはきつかった。)
昨日、A.T.カーニー日本法人会長の梅澤高明さんが登壇されました。
表題は「TOKYOの観光都市戦略とナイトタイムエコノミー」
なんじゃこれ?ナイトタイムエコノミー?夜の時間の経済?観光????
そして、約1000人収容できる大講堂の、前から二列目。しかも、登壇者が立っている目の前。
うわー、ライブだったら嬉しいけど……。と思いながら着席。
観光興味ないし、夜はお家にいたい派なので夜の経済の貢献はできないなぁ、と思いながら講座が始まりました。
正直に申し上げます。
冒頭3分は聞いてませんでした。
私の耳に入ってきたのは、「CIC」という言葉。
え、それってなんかおっきい起業家サロン的ななんかじゃなかったっけ……?
と思ったらその通り。(サロンじゃなかったけど)
この人何者!?と思ってすぐWikipediaで調べました。
クールジャパンや福島復興、NEXTOKYOプロジェクト……
そして何と言っても、デザイン経営。
私がもっとも関心がある分野で、専攻分野でもあります。
という訳で、ここから私は真面目に話を聞きました。
このnoteはいつも演劇のことを書いているけれど、ちょっとだけ(?)外れて、講演内容とそこから考えた私の意見を綴って行きたいと思います。
東京って、実はすごい都市らしい
東京って、海外からすごく評価してもらえてるらしいんです。
講堂内では携帯電話の使用が禁止で(使ってないとは言っていない)、写真を撮ってはいけないとのことだったので記憶を頼って検索してみたのですが、
見せていただいたランキングが手に入りませんでした。
住みたい街とか行きたい街とか、プラスの意味でのランキングが東京は3位とかだったんですよね。
noteなのに資料ないのかよ!本当にごめんなさい。心で感じて。
とりあえず言いたいのは、
東京はまだアジアナンバーワンの都市だよ!!ということ。
これなら「まぁそうだよなぁ」という感じだと思います。
しかし、東京という街の観光客の受け入れ体制はまだまだ改善が必要な模様。
東京ならではというか日本らしいというか、「ご近所コミュニティ」は大切にした方が良い。
じゃあ、これから東京はどうなればいいの?
NEXTOKYO PROJECT
この記事がとっても詳しく書いてあって、興味がある方は読んでみてください。
NEXTOKYO PROJECTは、11人の民間チームで、ライゾマティクスの斎藤さんなんかも参加しています。あと陸上選手の為末さんとか。
東京は成熟都市。どの街も似たようなコンセプトで、緑と高層ビル!ショッピングセンター!高級感!みたいな感じ。
梅澤さんがおっしゃっていたのは
「六本木ヒルズは画期的だった。あそこにいけばなんでも揃う、なんでもできる。けれど、それが渋谷とか池袋とか、他の街に似たようなのができても嬉しくないよね。」ということ。
成熟都市の東京は、これからオフィスや住居の新規需要はそんなにないらしいんです。
つまり、バンバンビルやマンションは作る必要がないということ、だと思う。
大切なのは、都市の中身をどう進化させていくのか、ということ。
東京と言えど広いです。
その中の、例えば渋谷とか、秋葉原とか、銀座とか、
街の個性を活かして差別化されたオンリーワンの街を作って行こうよ!と。
そこで、NEXTOKYO PROJECTではこんなことを掲げています。
creative city 文化を作っていく産業、町ごとに文化が違う集合体、夜間経済の創造。
Tech city 先端産業、先端技術がすでに東京にはあり、それを世界の才能と結びつける。
fitness city 健康的なライフスタイルを確率し、水辺と緑の活動を行う。東京の水辺(皇居周りとか海とか)でイベントを行ったりする。
かなり私の解釈が入ってしまっていると思うのですが、大まかにはこんな感じ。
どれもその通りだなぁと思って聞いていました。
私は特に、creative cityに注目しました。
東京には、食やファッションなど、注目されているものがあります。
そのほかにも、若手の先鋭アーティストが眠っていたりします。
ファッションと言えば、原宿がイメージできるかと思います。
事例として、kawaii monster cafeが紹介されました。
THE☆ハラジュクという感じですよね!!!
こういう感じの、その街ならではの、特徴を活かして観光客呼ぼうぜ!!!
秋葉原とかアニメとゲームの聖地だし、渋谷のスクランブル交差点は世界一人が横断する交差点だし、確かにいかせるよなぁと思いました。
観光大切なのは、いかにお客様を呼ぶかということはその通りだと感じる方は多いのではないでしょうか。
東京には、その力が弱いというお話が出ました。
海外の都市では、富裕層向けのプランがあるそうです。
例えば、空港で1時間チェックインするのに時間がかかるとします。
10倍の値段を出してもいいから、10分で終わらせて欲しい。。。
VIP向けのラウンジも日本にはない空港もあるし、お金を落とさせる仕組みができていない。
実際、日本に来てすることのメインは買い物らしいです。
新宿や池袋の家電量販店とか、外人の方多いですよね。
でも、これからは体験価値の時代。
この場所でしかできないような体験が必要だと、梅澤さんはおっしゃっていました。
海外の、頻繁にホームパーティーを開くような富裕層は、端的に言えばそのホームパーティーで自慢できる話題が欲しいそうです。それは、体験。
そこで、ナイトクラブの話題が出ました。
日本の風営法ってここ最近までおかしかった
ここでいう風営法は、クラブのお話です。
2016年まで、12時以降の音楽かけて踊るような場所は法律違反だったらしいんです。
だから劇場も10時とかでしまっちゃうんだ。。。
と、なると
日本に「夜遊び」という文化があまりないのは納得ですよね。
だってそういうお店ないんだもん。あっても法律違反なんだもん。
そうなると、夕飯を食べた後の娯楽って無いに等しいんです。
確かに、演劇公演でも遅くても19時頃始まります。
19時って普段夕飯食べてませんか?私は食べています。
観光客は、昼間は観光地巡りや買い物で忙しいそうです。
だから、娯楽を楽しむなら夕飯後がベスト。
その文化!!!めっちゃ作りたい!!!!!!
これから、AIの発達なので人間の余暇が増えるのは目に見えていると思います。
そんな時、東京の、この場所でしかできない体験があったら行ってみたい!!と私は思います。
確かに、「ニホン!カブキ!」という外国人に、4時半から見ろってのは酷ですよね。。。
日本には、夜の文化が無い。
それは観光にはとても弊害になると私も思います。
なんとなくの体感ですけど、日本ってあんまりアートとか芸術って受け入れられていない気がするんですよね。。。
(ネタバレがメインの話でちょっと違うけど、助成金が無いと赤字という事実も。。。)
その中で、これから演劇含めたアート・エンタメカルチャーはどうなっていけばいいのだろう。
梅澤さんに、質問してみました。
エンタメはこれからの中心産業
1000人の学生がいる講堂で、初めて挙手をして質問をしました。
「エンタメと観光産業について、演劇を含むエンタメカルチャーはこれからどうなっていけばいいと思いますか?」
梅澤さんの答えはこうでした。
(簡略化してるしメモ取りきれなかったんで雰囲気で聞いてください)
これからのエンタメ産業は、中心産業になると思う。
AIなどの発達により、人間の労働生産性は上がって人生の可処分時間が増えて行きます。
その余った時間を何に使うのかというと、趣味や旅行、体験に費やして行くのです。
エンタメには多様性が大切で、趣味が細分化され、様々な面白い体験が必要となっていきます。
その中で、プレイヤーとして成功するなら、他と明確に差別化できるユニークなエッジが必要だと思います。
……いやまじでその通りだと思う。
本当に、本当にそうだと思う。
これは他の学生からの質問の回答からの引用なのですが、
日本には富裕層ってものすごくいるらしいんですね。
そして、世界中の富裕層が今日本に注目してくれている。
その富裕層たちを引き込んで市場改革をするのが良いのではないか。
日本の文化として、見せびらかさないというのはあると思います。
日本の富裕層は、ひっそりと存在している。
そこをめがけて、体験を求める富裕層たちを引き込めれば、
日本の産業は、大きく変わるのではないかという可能性を感じました。
講演後、もう一回話を聞きに行った
全員の前で質問したにも関わらず、もう一度梅澤さんとお話させていただきました。
私はこのnoteで発信しているように、主に小劇場がどのようになったら発展していけるのか考えています。
その話をして、なんかアドバイスください!!という非常に無茶で雑な質問をしてしまったのですが、真摯に回答していただけました。
梅澤さんは大学在籍中、バンド活動を行っていたそうで、音楽に例えてお話していただいたのですが、
音楽の箱(ライブハウスとか)は、1000人規模の会場までは結構あるそうなのです。
けれど、そのうえが2万人になってしまう。
確かにサンプラザ中野とかなくなっちゃってるしなぁ。
そこで、抜けている箱の大きさのものを作るだけで、人気が出て階段を駆け上がりやすくなるそうで。
演劇だと500キャパとかになるのかな。
確かに、と思いました。
そして、海外への発信も必須だと。
演劇では英語字幕とかやっているところもありますが、まだまだ主流じゃない。
私的にはGoogle翻訳とかうまく使えばいけるんじゃ!?とは思っているのですが、踏み出すことはできず。
海外を視野に入れた、演劇情報の発信は必須。
そのための、面白いとか、素敵とか、
「これを観たらこんな体験ができるよ!!」
というキュレーションメディアがあればいいね、とおっしゃっていました。
小劇場って、結構面白い体験だと私は思っています。
ちっちゃい箱で、役者の息遣いまでわかるって面白いよな、と。
その体験をもっと知ってもらうのは、必須だと考えています。
卒制とかぶる部分もあるし、やってみようかな。がんばろ。
そしてもう1つがチケット販売。
海外の方でもちゃんとわかるように、英語は必須。
劇団Яealityを始める前、金曜の夜の集会さんという団体にお手伝いとして入らせていただいたことがあります。
小劇場楽園で公演を行ったのですが、その時外人のお客様がいらっしゃったのですね。
私がボディランゲージをふんだんに使ったブロークンイングリッシュで対応したのですが
「この公演は英語でやる?もしくは英語のサポート(字幕とか音声とか)ある?」
と聞かれて。
ああ、せっかく興味を持ってくださったのに、対応できないんだ。
と痛感しました。
知っている人は知っている。
けれど、作る側がそれに追いつけてない。
チケットを買うところから、終演後の対応まで
英語でできたらきっともっと多くの人が興味を持ってくれるのにな。
まとめ
観光という話からエンタメに飛んで、最後には英語対応の話。
長い文章にお付き合いいただきありがとうございました。
これからは体験価値の時代。
せっかく、演劇はその体験を提供できる場なのだから
もっと多くの人、それも日本人に限らず視野を広げて考えなければ、と思いました。
梅澤高明さん、貴重なお話をありがとうございました。
もっとお話できたらいいなぁ、なんて思ってます。
日本の未来を観光と体験から考える。
とても面白かったです。