劇団Яeality、お金の流れ大公開の巻。
先日、劇団Яealityは解散しました。
そこで、旗揚げ公演「WHITE LIE」と、卒業公演「習作だった僕の神」の費用を公開しようと思います。
劇団Яealityとは?
2014年12月に、香西姫乃と横月まひろ(おかもとまゆ)が主体となって立ち上げた団体。
母体大学を持たない学生団体で、役者からスタッフまで全て大学生(またはそれ相応の年齢)が運営している。
2018年3月、杉並演劇祭にて優秀賞を受賞。
Яealityは7人の団員から成り立っており、
香西姫乃…演出・パンフレット等美術・音響
横月まひろ…脚本・役者・制作
色鳥トヲカ…役者・物販関係全般
青木まり…役者・可愛いことが仕事・渉外
深水宙…役者・稽古場調整
中村拓海…役者・予算管理・票券管理・その他様々な事務
丹波枠…役者・SNS更新
という役割分担で行なっていました。
団内で責任がしっかりわかる仕組みだったので、あまり揉めませんでしたね。
各々得意なことというよりかは「自分がやらないと他の奴には任せられねぇ……」という雰囲気を感じていました。信頼があるんだかないんだか。
大体の公演で、私が大まかに「このくらいお金使いたい!」という予算を出し
それを中村拓海が精査して予算表を作って
それを見ながら衣装小道具(香西色鳥深水あたりが分担)とかを買っていました。
予算はまずslackの#領収書の所にレシート(領収書じゃなくてもOK)を誰がいくら出したのかを明記して添付、
それをスプレッドシートに打ち込んで管理、という形を取ろうとしてました。
取ろうとしていました、というのは、最初の方はみんな余裕があるのでやるんですが
後半になると手が回らなくなるんですよね。。。
あと忘れちゃう。こういうの私めちゃくちゃ苦手なんですよね。。。
スプレッドシートは、デバイス間の共有も楽だし、リアルタイムに更新されて行くのでめっちゃ便利だと思います。
稽古予定とかもスプレッドシートで行なってました。
台本以外ペーパーレス目指してます。
旗揚げ公演「WHITE LIE」
2016年3月、大山サブテレニアンにて4日間7ステージ上演。
役者6人、チケットノルマ20枚。
チケット一枚2500円。
という感じでした。
それぞれのお金の内訳が
稽古場…26050円
劇場代…135000円
小道具…29250円
制作費…51923円
という感じ。
稽古場は地区センター(主に横浜市)を使用。一コマ500円とかだったので、かなり抑えられました。
あとは、横浜市の青少年センターは無料で使えたので、稽古場代はあまりかかりませんでしたね。
この26050円というのは、頓挫してしまった0回公演(別名アトリエ公演)の時の稽古のものも入っているので、WHITE LIEだけで考えると10000円くらい少ないです。
劇場代はそのままです。5日間借りました。
小道具は、衣装代も入っています。
この公演は結構衣装作ったので、ちょっとかさんでますね。
主にケープやエプロン、ネクタイを作りました。
小道具はほとんど手持ちか100均で揃えてました。
制作費には、物販費も入っています。
物販は被災地支援のヘアアクセサリー(これがめちゃくちゃかさんだ)
台本、パンフレットです。
この時はブロマイドとかやってなかったので、とてもシンプル。
支出が242223円でした。
収入ですが
有料動員183人で、チケット売り上げが434700円でした。
高校生割引とかあったんで半端な数字になってます。
これに、物販売り上げが34500円。
合計で469200円の収入となります。
単純に収入から支出を引くと、226997円。
役者たちのバックやら何やらを引いて(ここの細かい記録が残ってませんでした。。。)
帳簿に書いてあった利益が38807円でした。
結構こじんまりした公演だったのですが、旗揚げで利益出てたんですね。。。
この時は、大道具なしでブロマイド撮影なんかもやってなかったので
制作が大変浮いております。
卒業公演「習作だった僕の神」
2019年3月、溝ノ口劇場にて4日間8ステージ(ダブルキャスト・片組4ステージ)上演。
役者17人、チケットノルマ、シングルキャスト30枚、ダブルキャスト20枚。
特典なしチケット2500円、特典ありチケット3000円。
お金の内約
稽古場(撮影スタジオ代込)…67763円
劇場費(劇場稽古代含)…520000円
小道具・衣装…73882円
制作…119241円
大道具代…80000円
合計で860886円。WHITE LIEの3倍以上です。
稽古場は今まで通り青少年センターがメインなのでほぼ無料です。
その代わり、ブロマイド撮影が3日に渡りありました。
これが合計4万円ほどかかっています。
機材とか借りるとそのくらいになりますよね。。。
ブロマイドは一枚200円で販売しているので、単純に200枚売れば利益なのですがこれも意外と達成できない。
劇場費は、公演期間の500000円と、劇場稽古の20000円の合計です。
劇場費が3倍になってます。キャパシティとか設備とか考えると納得なんですが、
客席数が3倍になっている訳ではないので、利益とのバランスが難しいですよね。
小道具・衣装は、今回和服を買ったり刀を買ったり、結構普段使わないものが多かったのでかなりのお値段行きました。
小道具や衣装って、なかなかリサイクルできないので使い捨てみたいになるのですが
みんなで協力して貸しサイトみたいなの欲しいですよね。
一ヶ月いくらで貸しますよ!メルカリではないけれど安くいろんなものが借りられる、みたいな。
制作費どうしてこんなにかさんでるの!?となるのですが、
半分ほどは特典パンフレットです。
前売り券の3000円チケットにはパンフレットが付いてくるのですが
これが200部で5万円ほど。
これを特典としてつけるので、赤字なんです。
なぜかというと、特典付きチケットの+500円分は全て役者へのバックになるから。
一枚売れるに付き250円劇団が持っている計算なんです。
誰だよこんなガバガバ予算組んだの!!!!
残りは、ブロマイド印刷だったり照明のゼラだったり、小道具直すためのものだったり細かいものです。
養生とか何回買ってるんだよって感じでした。
やっぱり固定稽古場あるといいね。。。
大道具は80000円振り込んだのですが、多すぎと言われたので帰ってくるみたいです。
豪華なセットとかどんだけお金使ってるんだろう。。。
収入は、有料予約414人でチケット売り上げが1097000円。
物販売り上げ一覧がまだ手元に届いていないのでわからないので省略。今回全然売れませんでした。
役者やスタッフへのバックをすると
-20000円、くらい。
くらいというのは物販が正確ではないからなのですが、
全て計算すると2万は確実に足りないぞ、という感じ。
こんだけやって赤字なのか。。。
二つの公演からの考察
旗揚げは動員200人にも満たず、大道具もない、シンプルな舞台でした。
しかし回数を重ねるに連れて、衣装とか大道具がどんどん派手になっていき
売り上げ100万を超えても赤字になってしまった卒業公演、という。
ここで、私が疑問に思うのは
「舞台のクオリティってなんぞや」ということ。
演技が一番だろ!!と思っていた時期もあるのですが
舞台は総合芸術。
照明や大道具、衣装に力を入れれば入れるほど、世界観はわかりやすくなると思います。
WHITE LIEは、旗揚げということもあって結構お客様に暖かい目で見てもらえたな、と思うのですが、
例えば第4回公演「WANTED」は、大道具使わず、衣装も普段着という中でも世界観がわかったという感想が多かったです。
けれど、卒業公演は確実に衣装と大道具に助けられていました。
あそこにお金かけなかったらダメだったろうな、と思います。
正直、台本によって使うべきお金の場所が違うというのが正しい気もしますが、
やはり見ていて華やかな舞台は楽しいもの。
どこにお金をかけることが、舞台の成功に繋がるのかというのをしっかり見極めなければ、ということは感じました。
そしてそのクオリティに見合ったチケットの値段をどう決めるのか。
劇団Яealityは、大体2500円のチケットが一般的なのですが、
今回は「安すぎる」というご意見も頂戴しました。
物販も、ブロマイド一枚200円。台本800円、パンフレット1000円程度。
高い方ではないんじゃないかな、と思います。
自分たちの芝居に価値をつける、というのが、とても難しく感じました。
学生劇団に3000円も払わないだろ。。。と思っていても
それ以上の価値を感じてくれる方もいたり。
他の団体さんはどうやってチケットの値段決めてるんですかね?
本当に知りたいです。教えてください。
あと、お芝居をよく観る方は、適正価格って何を基準に考えますか?
その辺、やっぱり一人では考えられないと思いました。
あと、これは多くの方がおっしゃっているのですが
ちょっと波に乗ると利益出なくなるよね問題。
多分、この100万のラインって一番利益が出ずらいのでは?と思いました。
クオリティが高くなってきて(演技や衣装、大道具など)いるのに、動員が見込めない、という時期なんじゃ、という推測。
これは、正直何回も公演して乗り越えるのが一番早いと思うのですが
それもお金がなければなかなか難しい。
けれど、このくらいの大きさの舞台って、一番近い感じがしてお得だよね、とも思います。
ここの打開策が見つかれば、多くの劇団がもっと演劇を続けられるんじゃないか、と。
スタッフや役者にきちんとお金はらいたいし、かといって舞台にもお金かけたい。
けど動員が見込めないからチケット高くできないし……。
このジレンマよ。
この辺サポートしてくれる専門家というかアドバイザーが切実に欲しい。
というか
経営学とか簿記とかソーシャルマーケティング、もっと学んだ方が絶対良いのでは??
という思いもあります。
劇団って一個の小企業だな、というのはつくづく感じました。
一人でできるもんじゃないですよ、これ。
役者をやりたい人はたくさんいるけれど
それを支えられるお金に強い人が私の周りにいなかった、という感じ。
インターネットが発展している現代でのマーケティングももっと勉強しないといけないな、とも。
その辺のノウハウを私研究したいわー!!!と思いました。
卒制、これやろうかな。
とにかく、演劇以外の勉強をせねば、と思ったЯealityでした。
あのジブリだって宣伝しないと動員できないんだから、私なんてもっと頑張らないと。
次の公演はいつになるかわからないけれど、次回こそ、いろんな意味で成功できる公演を!!!
いただいたお金は!!!全て舞台裏のためのお金にします!!!!殺人鬼もびっくり☆真っ赤っかな帳簿からの脱却を目指して……!!!