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木の芽と山椒の話

 春になりました。テラスの山椒の新芽が出るのを待って今年も「ちらし寿司」を作りました。新芽は、ちょっと気を抜くとすぐに大きく厚くなり、食感が悪くなります。機を逃さず、せっせと摘みます。
 木の芽は、数枚入りパックが200~300円することもある高級品。収穫した木の芽は、洗ったらさっとゆでて冷水に取り、色止めをします。ラップの上に1枚1枚丁寧に並べ、包んで冷凍しておけば、いつでも爽やかな香りが楽しめます。
 木の芽がたくさん収穫できたときは、すり鉢でよーくすって西京みそ、みりんと砂糖を合わせて「木の芽みそ」にします。下味を付けたたけのこやうど、イカを和えた、「木の芽和え」はきれいなグリーンで、器の中の新緑を堪能できます。
 学生のときに習った木の芽みそは、「青寄せ」を加えていました。青寄せは、ほうれん草の葉と水、少しの塩をミキサーにかけ、漉した緑色の水を火にかけて煮立て、緑色の苔のようなものをすくい取ったもの。緑の着色料です。青寄せを使えば、木の芽が少ししか使えなくても、きれいな緑色が出せます。
 先日、スーパーの野菜売り場で、葉を数枚付けたポット苗の木の芽を見ました。“毎年葉が摘めるならお得!”と思って買われる方もいらっしゃるでしょうが、山椒はとてもデリケートな植物。小さな苗のうちに葉を全部摘むと弱ってしまいます。2年ほどおいて、しっかり育った後に少しずつ収穫します。私もそれで、何度も失敗しています。
 山椒の新芽に続いて、ぶどうの新芽も出てきました。我が家のテラスが、食べられる植物でまた賑やかになります。

【食のトレンド情報  vol.911 2023年4月10日配信分】


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